2016年11月某祝日、友人が『癌に特化した神社が鎌倉にあるから行こう』と3人で連れだって鎌倉散策に向かった。なんだかんだ病気になる前からも殆ど2駅間を行き来する程度しか外出しない生活だったので、面倒くさがらずに出かけるのが嬉しかった。
ブラブラ歩きながら、まずは腹ごしらえしようかと、イタリアンにしようか、蕎麦にしようかと何軒か見つつ、昼時過ぎであったがどこも人が多く、この頃から本格的に糖質制限をしようか迷っていたが場をしらけさせたくなく、蕎麦屋に行こうと決まってから潔く賛同した。店の玄関も見えないようなところから並んでいたが、3人で他愛ない話をしている間にいつの間にか順番となった。
それから、いざ本丸の神社を目指して友達の先導で向かった。大きめの道路沿いの色々な店が並ぶ通りを店を見ながら進み、産直野菜を売っている所を曲がり、観光客の少ない方へと進んで行った。途中川の上の橋から、大きな鯉がたくさんいるのを見た。その後は正直友達に着いて行ったので、住宅街のようなところに入ってから道順やどの辺りなのかは全く分からない。『この辺の筈なんだけどな…』と迷っていたら、小さな門構えのお稲荷さんがあり、中を覗いたら『ここだ!』とやっと気付いたくらい分かりづらかった。
お稲荷さんの隣に、騒がしいほど旗や文字がたくさん描いてあった覚えがある。ひと気がなく、友達がそろっと戸を開けると、目の焦点のあっていない小さいおばあさん(下の画像参照。うる星やつらのチェリー風)がぬっと出てきて何の用だと聞いているようだった。友達が私の事を言ってお参りに来たと告げると、お守りを買うのかとほぼ強制的に、そして本人だけ神様の前に進めと促した。そして、神様にお賽銭を入れなさいと、これまた強制的、しかも札のみ。運悪く万札しか持っていなかったので強制されるのかと恐々『細かいものがなくて…』と言うと『両替してあげるよ』と5千円札を一番上にして返されたが、そこまで出すつもりで来ていなかったので、おばあさんが見ていない間に千円札を入れた。
そして『帽子を脱いで手を合わせて』と言われ、目を瞑ると『何妙法蓮華異教なんみょうほうれんげいきょう…』と念仏を唱え出して、≪え?神社って念仏だっけ?≫と頭がはてなでいっぱいになりつつも、せっかく治療している抗がん剤が効きますようにとお願いした。そして逃げるようにその神社を出て行った。
友達とまた一緒になり『怖かったよー』と言い合い、疑問は同じようで、友達がまた検索すると「ボランティアのお年寄りのような人が…」って神主はいないのか?とよく分からないまま。とにかく目的は終わったと、そそくさと鎌倉の駅の方へ向かって帰ることにした。この日までにも、友人やお客さんや母と、たくさんのお守りを頂いていたので、同じところに置かないように、枕の下、棚、パソコン脇、出歩く時の手提げ、仕事のシザーバッグと色々な所に分けていつもどれかの恩恵に預かれるようにした。

JR鎌倉駅の近くの有名な喫茶店でパンケーキを食べようと友達が言うので、最後の甘いものにしようかと、ここでも暫く席が空くまで待ち、一緒にゆっくりのんびりして、夜になる前に帰ろうと帰路についた。