毎週点滴に通い始めた。行って寝てしているだけなので、最初はさほどではなかったが、回を増すごとに、その為に時間を取ることが大変になっていった。2時間~2時間半となると結構苦痛だ。帰りは帰宅ラッシュに遭わないように急いで帰った。

 

確か3回目くらいに、看護師さんが『しびれは大丈夫ですか?』と聞かれて、そういわれてみれば、すね辺りがいつもより感覚が鈍っている感じがしていた。『皆さんこれくらいからしびれが出始めるんですよ』と言って、任意でビタミンB12の点滴を入れて貰えるとの事でお願いした。2本目以降は実費で500円と言っていたと思う。手足にしびれが出るとのこと、重症化すると仕事に差し支えるので1度追加をやってもらったが、特に楽になったとか感じられなく、3本くらい打つといいと言われたが、別途毎週1000円で1ヶ月4000円~5000円か…と計算してしまい、1本だけにして、経口ビタミン剤でビタミンB12を出して貰った。(点滴の説明では、投与が終わってから1年くらいしびれが残る人もいるが、回復も早まると言われた)

 

自分はそれまでの副作用も大したことなかったので、しびれも然程でないであろう、という自信があったが、例外なく回を増すごとにしびれは広がって行った。足先の方はもう感覚もなくなっていき、立ち仕事は問題なかったが、仕事から帰るころにはもう一歩も歩きたくないくらいに疲れていた。6回目で一度効果が出ているか診断をすると言われていたが、5回目を前に腕のリンパ節が傷み、腕にもしびれが広がってきたので、仕事が出来なくなると困るのと、抗がん剤が効かずに転移をはじめているのではないかという不安でクリニックに急遽診断を早めてやって欲しいとお願いした。抗がん剤全部での辛さはこの頃が一番だった。

 

診察担当の先生はすんなりエコーをしてくれて、『リンパが腫れている訳じゃないんだよ。でも効いてないからやめようか』と標準治療終了をあっさりと決断してくれた。他の方の体験などを見ていると、大病院などでは、標準治療以外の選択肢があまりないようだ。しかしこのクリニックではまだたくさんあるように言っていた。それと、手術を急ぐでもなく、出来る限り効果が目に見える形で効かせてからという方針(術後化学療法では、対象=癌が切除して無くなっているため、効いているのかどうかは分からないと)も、ネットで調べた限り私も納得できていたし、ここまで来るともう先生の言う通りにするしかない。

 

投薬担当の先生が看護師と数種類の在庫の確認などを何度もして、新薬を試しましょうという事になった。何が何だかわからないが、もう好きにしてください。聞いていない薬を続けても、副作用が辛いだけだし、この機転の早さは本当に有難かった。

↑帽子用ウィッグで仕事して居た頃。言わなければ気付かれなかった。

 

ちなみに、初めての前半の抗がん剤のときから、肌や爪がボロボロになるかも、と思い、シャンプーも全て1人でこなす店で働く美容師の私なので、そうなると仕事が出来なくなるのではと、とても心配だった。歩合だけの収入のため、働けなくなったら貯金を切り崩して治療と生活に当てなくてはならなくなるので心配だった。実際は肌はステロイドのせいもあってか元よりツルツルくらいであったし、爪に白い筋ができていて縞々になりつつあったが、ただそれだけだった。勿論髪は抜けて、生理も止まっていたけれど。その為、日々疲れが蓄積してくる後半のパクリタキセルの方が辛かった。幸い早めに切り上げたことで、手の指先まではしびれが広がらなかったので、仕事に支障が出ずに済んだ。(足の爪は黒ずんできた)