私も自分の身に起こるまでは、癌になっても抗がん剤は絶対にしないと決めていた。よく世間で言われているように『抗がん剤で余命を早める』『抗がん剤で弱る』『医療従事者は自身や家族に抗がん剤を使わない』『抗がん剤で殺された』『製薬会社と病院の陰謀説』などを信じていたからだ。もちろん、脱毛や免疫の虚弱化、吐き気や肌荒れ、手荒れや爪の変形変色など様々な副作用を聞いて、そんな目に遭いたくないというのも大きかった。

 

一般的に乳がんは抗がん剤が効きやすい癌だといわれているらしいが、乳がんが発覚した時も断固として受けるつもりはなかった。しかし放置していたらどうなるかを調べて行くうちに、どうにかしなくては悲惨なことになりそうだと気付いて、どんどん目に見えて大きくなるしこりと、抗がん剤しか対処のしようがないと言われて選択肢はなかった。私は意外にも、その運命に流されるしかなく受け入れた。

 

しかし、終わってみて言えることをお伝えしたい。二度とやりたくはない、が、想像したほど最悪ではなかったという事だ。これは人にもよるし、病院にもよるかもしれないけれど。

 

標準治療のアンスラサイクリンでは免れることのできない脱毛が怖かったが、いざ髪が殆どなくなってから暫くしてバリカンで刈って貰った。美容師でも女が坊主になることなどなかなか経験出来ないからだ。顔を洗ってその泡でそのまま頭まで洗って楽ちんだった。まつげも眉毛も徐々になくなっていくので、埃が入って大変だし、見た目も悪いのでつけまつげを毎日つけるのが面倒だった。タキソールは例外なくしびれが足から広がってきて、つま先には感覚がなくなってきた。立ち仕事の後はもう一歩も歩きたくなかった。手は腕からきて指先に来ると仕事が出来なくなると不安に思っていた。

 

私の場合は標準治療で効かなかったので新薬の抗がん剤も2種類受けた。新薬の方が副作用は少ないようだが、食べづわりのような空腹時の吐き気や、手足の荒れもあったが、最悪の状態まではいかなかった。そしてまだ投薬中だったにもかかわらず、全身が活性化したかのように一気に毛が生えてきた。人間の再生能力と生命力を感じた。

 

毎回血液検査もしており、私はどの数値もほぼ毎回平常値らしく『パーフェクト』と言われたので、元の肉体が元気であれば、抗がん剤治療に耐えうるんだと実感している。治療中の仕事のシフトはほぼ休まず働くことが出来たし、人によるとは思うが、こんな元気いっぱいな抗がん剤治療中患者もいるのだ。勿論これから先、再発や転移する可能性だってあるので、現状での感想しか言えないけれど、化学は進歩し続けているので新薬もどんどん開発されている。だから癌に罹った人も家族や友達も諦めないで欲しい。

 

 

 

そして、民間療法でまれに治ったという人もいるかもしれないし、癌の進行が小康状態で共存している人もいるだろう。ステージの上がった方などは、抗がん剤+民間療法で効果が出るかもしれない。初期の方で先に試したければやってみても良いと思う。でも、効果が出なければ早めに見切りをつけて治療を受けなければ間に合う人も間に合わなくなってしまう事もあるのだから、とにかく抗がん剤=悪だと決めつけるのは止めた方が良いと私は考えを変えられた。

 

私が試したことも後々書いていく予定だが、まだまだ生きたいと思っている人ほど、手遅れになる人が出ないようにと、切に願う。

 

 

 

口コミでは悪評が多いですが、この方のブログを見付けて、反面教師で私はむしろ治療を受ける気になったし、ブログのコメントにも丁寧に返信して下さり有難かったです。乳がん発覚・放置から既に7~8年、ご健在です。