さて、ミチルが病院に通いだして3回目の春が来た。

ミチルは花の中でとりわけ桜が大好きだった。

初めての年は、車の中からお花見をした、というか車の中から出られなかった。

外はすべて汚い。

そうカンジていた。

桜はとてもキレイだけど

ミチルと桜はかなり距離があって

現実と夢物語くらい

かけ離れていた。



2年目の春。

故郷の桜並木に車で行った。

近くに車をとめ

歩いた。

地元の人しか知らない

無名の桜並木。

すごく桜が近くカンジた。

1年前、ガラス越しにみた桜。

花びらを手に握り、現実に引き寄せた。

なんてカンジてた。



そして、今年。

桜の名所に行って来た。

ただ都合がわるくて小雨の中、散り行く桜を見に行った。

当日は日曜日。

葉桜になり、3割散ったカンジの桜。

それでも、観光客は多くって

お昼に雨がザーッと降って

人が減った3時ごろ、ミチルは名所に立っていた。

1週間前は入るのに4時間待ちだとか。

確かに満開で空も晴れ渡っていた。

けれど、ミチルはそんな時間待つのはキツいし、人混みも苦手。

雨が軽く降ってくれて嬉しかった。

雨と共に散りゆく桜も味があるな…なんて

大人な見方をして見た。



でもやっぱり、満開の桜を青空の元で見たい。



来年は、夢がかなうかな?