別れた恋人への未練、原因はホルモンにあった

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 あれほど大好きだった恋人との別れ。忘れようとしても、どうしても忘れられない。そんな、別れた恋人への未練を断ち切れない経験をした人もいるだろう。なぜ、どうにもならないことに未練を残してしまうのか。東京工科大学学長であり、『愛を成功させる法』の著者でもある軽部征夫先生に伺った。
未練を引きずる女性、やっかいな未練を残す男性
 「未練は、別れても恋愛に影響を与えるホルモンが分泌され続けることによっておこります」(軽部先生)。このとき分泌されるホルモンは、男女によって異なるようだ。

 女性にはエストロゲンというホルモンがあり、これは恋をしたときに大量に分泌され、女性らしい体型やきれいな肌など、女性らしさを司るホルモンである。その反面、失恋したときには恋人を失いたくないという気持ちに作用し、もう一度恋人同士に戻りたい、と言った未練を強めてしまう。

 男性には、アンドロゲンというホルモンがあり、これが分泌されることで、何かに熱くならなくてはいられなくなる。そのため、別れた後に仕事や趣味といった別のことに熱中した場合はきっぱりと未練を断ち切ることができるが、別れた恋人を追い続けることに熱くなってしまった場合は、いつまでも現実を直視できないと言った、かなりやっかいな未練が残るようだ。

気持ちを反映して分泌されるホルモンの作用
 さらに未練を司るホルモンは一つだけではなく、別のホルモンも影響を与えていると言う。

 恋愛中は男女とも別名“恋愛ホルモン”とも呼ばれるフェニルエチルアミン(PEA)というホルモンが活発に分泌され、このホルモンによって、恋愛感情が高められる。ただ、このホルモン、恋愛感情を高めるだけでなく、未練も司っていると言うのだ。

「PEAは恋愛中に活発に分泌されるだけでなく、別れてもその人のことを考え、楽しかったときを思い出したりすることで、微量だか分泌され続け、別れの後は未練に作用するのです」(軽部先生)。そして、このホルモンが分泌され続ける限り、未練が続くのだと言う。

恋愛ホルモンには新しい恋の可能性を高める働きも

 PEAの分泌は、一般的には異性を好きになることで上昇し、失恋することで下降する。しかし、中には失恋後に急上昇することもあると言う。これは、大好きで仕方がなかった恋人との別れのショックがストレスとなり、それがPEAの分泌に多大な影響を与えるからだと軽部先生は言う。人間の脳は精巧にプログラミングされていて、極度のストレスが加えられると、それを防御するような作用が働く。この働きがPEAの分泌にも影響を与え、分泌を急上昇させるのだ。

 PEAが分泌され続ける間は未練を断ち切れないことは紹介した通りだが、実はこのPEAにはセックスアピールを表面に演出させる特性もある。結果、異性にとって大変魅力的な人と映り、新しい恋の可能性を高めるのだ。これは失恋のストレスから自分を防御するには新しい恋が必要だと脳が認識しているからかもしれない。

 大好きな恋人との別れは確かに辛い。「このまま思い続けていれば、また振り向いてくれるかも」という気持ちになるのも分かる。しかしいつまでも未練を残していても仕方ない。仕事や趣味に没頭したり、自分を磨いたり、できることはたくさんある。もしくは新しい出会いを楽しんでみるのも良い。自分を魅力的に、活動的に導くホルモンがせっかく働いているのだから。

文●Sala Yamada(エフスタイル)