皆さんこんにちは。Karinです。

 

オーストリアでは11月11日の聖マルティンの日から灰の水曜日(今年は2月14日でした)までをファッシング(Fasching)と呼びます。ファッシングとは仮装パーティーのことを言うのですが、宗教と深く結びついた行事でもあります。カトリック教徒の多いオーストリアではキリストの復活祭(イースター)をとても盛大に祝います。その復活祭前の1か月間を断食の期間としているため、さらにその前の期間をファッシングと言う形で美味しいものを食べ楽しく過ごすというわけです。その中でも灰の水曜日の前日はファッシングの火曜日(Faschingdienstag)と呼ばれ、国民の多くが仮装を楽しみます。特に幼稚園では毎年仮装パーティーが開かれ園児たちは思い思いの仮装で登園します。我が長男は今年、消防士さんの仮装で登園しました。しっかりヘルメットまでかぶって颯爽と幼稚園に入っていきました。5歳になった今でも「幼稚園へ行くのがやだー」と毎朝ぼやいているので、この日ばかりは母の私もいい気持ちで長男を預けられるのがうれしいです。

 

 

さて今日は結婚編と言うことで私たちの結婚式のお話をしてみたいと思います。夫にプロポーズされてから正式に婚約と言う形になったのですが、夫は結婚には興味がないものと思っていたため、その時点では私も夫もはっきりとした結婚式に対するヴィジョンがありませんでした。ただ私は家族のみの少人数で、心に残るロケーションと言うのだけは何となく常々思い描いていました。

 

そこでまずはロケーション探しです。

 

オーストリアの結婚式は午前中に役所で入籍手続きを行い、午後教会で式を挙げるというのがスタンダードです。(入籍手続きと教会での式を別日に行うことももちろん出来ます)私たちはと言うと、2人ともカトリック教会から抜けているため、もう一度入りなおさなければ教会で結婚式を挙げることが出来ません。2人ともそのつもりは全くなかったので入籍手続きのみと言うことになりました。

 

入籍手続きと聞くと日本のように婚姻届けを役所に提出しに行くような感じを想像する方も多いかと思いますが、これがちょっと違って、役所にウエディングドレスとスーツで出向き招待客を入れて式を挙げることが出来るんです。役所のみの結婚式ならなおさら素敵な役所で式を挙げたいと思い、私は検索しまくりました。そして私は自分のイメージにぴったりの素敵な役所を見つけたのです。

 

ウィーンから西に90kmほど車を走らせたところのドナウ川沿いにある街デュルンシュタイン(Dürnstein)。世界遺産でもあるヴァッハウ渓谷は日本でも有名だと思いますが、デュルンシュタインのケーンリンガー城跡聖堂参事会修道院の青い教会はヴァッハウ渓谷を代表する美しい景観の一つでもあります。ケーンリンガー城はイギリスのリチャード1世がオーストリア、バーベンベルグのレオポルド5世に捕らえられ幽閉されたお城です。片道30分くらいかかりますがこのお城に上ることができ、お城の頂上からの景色も素晴らしいです。またアプリコットや白ワインが名産で、ワイン畑に囲まれたこの小さな街は中世の趣があり本当に素敵です。

 

ケーンリンガー城跡

 

お城の頂上からの景色

 

聖堂参事会修道院の青い教会

 

そんな街の中にデュルンシュタインの役所があります。とても役所とは思えない石畳の中庭と石の階段、中庭を見下ろせるバルコニーのような廊下、そして式を挙げるこれまた中世の雰囲気漂う部屋に私は一目ぼれしてしまいました。もうここで決定です。

 

役所の中庭

 

式を行う部屋

 

一番大切なロケーションも決まり、招待状やドレス、お花やケーキなどたくさんの人の手を借りながら着々と準備が進んでゆきました。夫は渋々と言う感じでしたが、私の夢であったダンスレッスンになんかも通ったりしました。(オーストリアでは結婚式でダンスを踊ります)

 

そしてすばらしい秋晴れの日私たちは家族に囲まれ結婚式を上げました。夫が緊張しすぎて少々ハプニングもありましたが、この日が一生の良い思い出になったのは間違いありません。式の後私たち夫婦はデュルンシュタインの絶景を背景に写真撮影をし、その間家族は修道院のガイドツアーに参加しました。(新郎新婦の写真撮影の最中って招待客は時間を持て余してしまいますからね)その後みんな揃ったところでドナウ川の反対側にある街リュルスドルフ(Rührsdorf)のレストランに移動してパーティーです。Landgasthaus Esslと言うこのレストランは2023/24のニーダーエステライヒ州のトップレストランにランキングされており、雰囲気も食事もとても良かったです。特にデザートで出てきた名産のアプリコットを使ったMarillenknödel(アプリコットのお団子)は絶品でした。ヴァッハウ渓谷に行く機会がある方にはぜひ訪れてみてほしいレストランです。

 

※Marillenknödelはアプリコットをクリームチーズの入った生地でつつみ、茹で、バターで炒めたパン粉をまぶしていただきます。

 

通常オーストリアの結婚式は夜中まで続くそうですが、私たちの結婚式は夜8時でお開きでした。参加していた一番年配のおばあちゃんが「みんなもう帰るの?」と言ったほど早く終わったみたいです(笑)

 

少し思い出に浸りながら書いてみましたが、実はもう7年も前のこと。時が過ぎるのは本当に早いですね。結婚式の後、夫が社員旅行でデュルンシュタインを訪れた際、ガイドの方が「デュルンシュタインの役所で結婚した人は離婚しないというジンクスがあります。」と言っていたと喜んでいました。結婚というのはそもそも違う環境で育った2人が一緒になるわけで、時には分かり合えないこともあります。ましてや国際結婚だと文化や宗教、言葉の違いからぶつかり合うことも多々あります。それでもお互いを思いやる気持ちを忘れず末永く一緒にいたいものですね。デュルンシュタインのジンクスのように!

 

ではまた再来週!