東日本大震災の体験に基づいた土地購入・避難心得・自宅の耐震補強・家具等の転倒防止・ 備蓄対策

 ⑴ 震災体験から得られた宅地購入ポイント

  土地購入の際には地元の人の声を聞く

   昭和53年まで静岡県に住んでいましたが、この地域では「東海大地震がいつ 

  発生してもおかしくない」と考えられていましたので耐震対策や備えを常に意識

  していました。それが後の東日本大震災の際にも役立ちました。

   宮城県に移住することが決まった1978年 ( 昭和 53年) 6月に、宮城県沖地震 

  が起きましたのでさらに意識が高まりました。

   1979年宮城県に転居後、仙台市に家を建てる予定で耐震を大きな要素に考えて

  土地探しを開始しました。自ら仙台市近郊の団地を数多く回り、情報収集には業

  者の力も活用して「地震に強い硬い地面で、津波の心配もなく、利便性や勤務の

  点等を総合的に考えて、内陸部の団地を中心に候補を考えました。

 

   内陸部には丘陵地帯もあり、傾斜地に土地造成することも少なくありません。 

  傾斜地を水平にする造成工事として、斜面の土を切り出す切土、斜面に土を盛る

  盛土がありますが、当然地震に強い切土を対象にしました。

 

   条件を満たす土地として、県住宅供給公社造成の地盤が固く、切土で安全と言

  われていた団地の東南の角地を満足して購入しました。しかし住んでから何年か

  後、親しくなった地元の人から、「我々が住んでいる地域の一部だけが傾斜に盛  

  土」していたことを知りましたが後の祭り。そのまま住み続けていました。

   しかし東日本大震災で大きな被害を受けましたので、転居を含めて、その後の

  対応を考えるため、県住宅供給公社を訪れて、自宅の土地造成について詳細に説

  明をしてもらった結果、我が家の土地は最高で13.5m盛土されていることがわか

  りました。 

   家族で相談した結果、現在の場所に住み続けることにしましたので、盛土の多

  い部分に乗っている土台と建物部分を徹底的に耐震補強しました。遅ればせなが

  ら、以前より耐震の家になりました。

   ここで反省と学習したことは、

  土地購入前に地元の人に元の地形を訊いておくべきだ」

  ということでした。

     

  ⑵自宅の地震被害詳細調査

   被害認定調査の前に、帰宅翌日からさっそく外回りを調査すると、壁の崩落や

  ひび割れが多数見つかりました。地震で大きくひび割れていた外壁や土台のひび

  割れが次第に大きくなり、4月7日の震度6強の地震であちこちが崩れ落ちてしま

  いました。ガタガタになった自宅は、震度4以上ならいざ知らず、震度1~2程度 

  の地震でも揺れて、とても不安でした。特に2階の私の居室は最も盛土された上

  にあるので、そよ風でもゆらりゆらりと揺れて、かなり不安でした。以前は、

  震度4程度でびくつくことはありませんでしたが、震災後は余震のたびに倒壊を

  恐れて庭に定めた安全な場所に避難していました。

 

  

   土台もあちこち破損していました。素人判断ながら、今後住めなくなるのでは

  ないかとの不安も出てきました。いずれ建て替えあるいは補強修理しなければ

  なりませんが、余震による倒壊の可能性も考えられますので、信頼のおける知り

  合いの業者に早急に耐震審査を頼んだところ、家の傾きは0.5度程度で、 

  「かなり危険」という判定でした。0.6度以上になると、体ですぐわかり、健康に

  も影響が響がある範囲に入ります。

   

  落ちた瓦の山が3つにもなりました。

 


   瓦業者に調べてもらったところ、300枚以上の瓦が落ちたり割れたりしている 

  とのことでした。修理後は軽量にするために、カラーベストに取り替えました。

     

   建築業者不足で中々修理は開始しませんでしたが、5月に大雨が降りあちこち 

  から雨漏りがするので、知り合いの業者に泣きついて修理がやっと開始しまし  

  た。1,2年経っても修理開始できない家が多い中、それでも早い方でした。

   命が助かり、形だけでも家が残ったのだから、幸運だと思わなければならない

  と自分に言い聞かせていました。

 

  ⑶ 余震に不安感じながらも対応と備えに支えられた生活

   地震避難・家具転倒防止対策など

   2008年(平成20年)6月岩手・宮城内陸地震など震度5以上の大地震が立て続けに

  起こりました。さらには、巨大地震(東日本大震災)も予測されていましたの

  で、避難、家具等の地震対策、緊急時の備えには十分に注意を払っていました。

   特に、東日本大震災後は、寝るときには、懐中電灯と履き物を枕元に置いてい

  ました。震災後の4月7日夜11時32分、震度6強の地震が不意打ち的にやって来

  ました。寝入り端だし、真っ暗なので強い恐怖でした。寝室の開き戸を開けよう

  としましたがだめでした。別の部屋のガラス戸から庭先へ逃げようとしましたが

  屋根からがらがらと瓦が落ちて来るので、外へ出ずにガラス戸のそばで揺れが収

  まるのを待ちました。

 

  [転倒・落下・移動防止対策]

   家具転倒防止対策として工夫したは次の点でした。

      ①家具類の配置を工夫する:倒れても人間に当たらない位置に置く。

  ②2段重ね食器戸棚等は、分離して一段ずつ使う。

  ③家具類の転倒・落下・移動防止器具を使用して防止対策を行なう。

  ④壁にL型金具でネジ止めをする。 

  ⑤ネジ止めが難しい場合は、突っ張り棒とストッパー式、突っ張り棒と粘着マッ

   トを組み合わせました。

  ⑥見かけは悪いですが、ガラスコップなどは紙や木製の箱に入れて食器戸棚に

   収める。

  ⑦丈の高い本棚を横にして使う。

  [備えてあるもの ]

  NHKのテレビ放送を参考にして次のものを、現在使用していない部屋や倉庫にま

  とめて保存して置きました。

 ・飲料水(4ℓペットボトル容器)20本:順次使用しながら交換

 ・食料品:順次食べながら交換 ・貴重品 ・救急用品 ・ヘルメット 

 ・マスク(チリ・埃防止) ・軍手 ・懐中電灯 ・携帯ラジオ ・予備電池 

 ・モバイルバッテリ―

 ・衣類・下着 ・毛布 ・タオル ・洗面用具 ・使い捨てカイロ・ウェットティッシュ 

 ・ラップ:皿にかぶせれば洗う必要がない。体に巻いて暖房、新聞紙の上に巻くと

  さらに効果的。捩じって紐にするなどいろいろな用途がありました。 

 ・豆炭(ガスが使用できない時)

「我が家の場合便利だったもの」

・コンポスト:便の処理にも使用できました。 

・卓上コンロ :電気とガスがストップしたので利用価値ばっちりでした。