最難関焼山寺遍路ころがし初挑戦・印象的出来事と出会い

      孫が四国八十八ケ所最難関焼山寺遍路ころがしに挑戦します。この遍路道は小さ

  なアップダウンを加えると総標高差は1100m、水平距離は12.9キロです。高低差

  を考えると実際歩く距離は、約17キロになると言われています。

   孫はこれまでの人生10年間の中で、こんな厳しいことに挑戦するのは初めてで

  す。本人はかなり不安でしょう。それを成功させるかさせるかさせないかは、孫

  の精神力とともに爺ちゃんの指導力にもかかっています。ここで成功するか否か

  で孫のこれからの人生にも影響するに違いありません。

  爺ちゃんにとって孫の人生の財産づくりの手伝いです。

 

       立っておにぎり食べて小休止

    約40分上った所で、眺望が開けました。 

   昨日渡ってきた吉野川が眼下に流れています。

 

   まだあまり歩いていないのですが、本格的アップダウン挑戦の前に、立ち止っ

  て景色を眺め、気分転換させようと思いました。 

  「小休止してもう一つのおにぎりを食べてしまえよ。おじいちゃんがリュックか

  ら出してやるからさ」と言うと、「僕は立って食べられないよ」と言って、嫌が

  りました。それに対して爺ちゃんは、「大災害の時なんかは、ゆっくり座って食

  べている暇なんかないんだぞ! 東日本大震災の時は、自衛隊さんやボランティ

  アさん達は、緊急なのでみんな立って食べていたぞ。いざとなったら、たくまし

  さを身に着けておけば、生き残れるんだ! お前も訓練しろよ! このお遍路のリー

  ダーはおじいちゃんなんだから、リーダーの指示に従えよ」と、爺ちゃんは中々

  強硬です。

 

 

   出発から1時間半ちょっとで、端山休憩所というベンチが設置してある所に到着

  しました。孫は「あれから30分しか経っていないんだから、疲れていないよ」と

  言います。こういう意地っ張りなところが、この子の良いところです。

  「山登りは、少しゆとりを持って休憩しないと、後でガクッと来るんだぞ。これ

  からが厳しくなるんだ」と言って、休ませました。

  「お前は昨日、マメができそうだと言っていたね。せっかく座ったんだから、靴

  下を脱いで足を乾かしなさい。蒸れを防ぐとマメや靴擦れになりにくいんだよ」

  と、教えました。孫にとっては、厳しくてうるさいお爺ちゃんですが、きちんと

  向き合ってくれるので、嫌いではないようです。

 

   長戸庵へ

   そこから「長戸庵(ちょうどあん)」までの上りの道を、二人別々にひたすら登りま

  した。意識的に孫を先に歩かせると、気を良くしてぐんぐん上って行きます。

  爺ちゃんはちょっと負け気味です。孫の後ろ姿が少したくましくなったように感

  じました。《負けて嬉しい遍路ころがしか》と、思わず口ずさみました。

 

 

   

    前を歩いている孫が無縁墓やお地蔵さまに手を合わせていました。

   一度教えた遍路マナーを守っていることに嬉しさを覚えました。

 

 

  

   83歳の老遍路との出会い

   長戸庵までの途中で3人のお遍路さんに追いついたり、追い越したりしました。

  孫のペースもまんざらでもないようです。一人目は83歳の高齢遍路さんでした。

  当時の爺ちゃんも68歳の老遍路ですが、上には上ありです。思わず敬意を感じま

  した。13回目の歩きとのことでした。「歩けるまで生涯遍路したいな」と言いま

  す。以前の6回の遍路でも80歳以上の遍路に何度か出会いました。自分にとって

  も良い刺激です。孫に向かって「80歳になったらまた二人で来ようや」と誘う

  と、「うん」とあまり気のない返事でした。疲れている時に次の遍路の確約なん

  て出来ませんよね。

   「今回の遍路ではおじいちゃんが面倒みているんだから、80歳の時二人で遍

  路したら、その時はお前がリーダー昇格だよ!」と言いましたが、残念ながら、

  爺ちゃん4回長期入院して、その後遺症で歩きが不自由に、歩き遍路は実現不可能

  なりました。孫運転の車での二人遍路か、孫の一人歩き遍路に期待しています。


  

 

  シルクロードメモリー・心の目