将来は多くの自然災害の祈りの場を目指して~みちのく巡礼の将来を見据えて

 

  東日本大震災慰霊の場を創る活動動機と背景   

   東日本大震災慰霊の場を創る活動動機は、

  創始者自身の「東日本大震災に於ける被災体験」に基づきますが、

  背景に阪神・淡路大震災後の四国歩き遍路」があります。

 

  阪神・淡路大震災後の四国歩き遍路での実感

   遍路中に犠牲者の鎮魂を願う多くの遺族に出会いました。

  ある男性は、奥さん、息子夫婦、孫2人の5人を亡くし、5周目の慰霊遍路でし 

  た。彼と時々一緒に歩きました。

   

    先頭自分、後は彼

  「一人1周として、この5周目が心のけじめをつける最後の遍路です。

   最初はもっぱら慰霊の気持だったのですが、

   今は私自身が癒されながら巡っています」と、

   切々と語りました。

   この出会いは今なお鮮明に心に遺っています。

  

     

    多くの人からたくさんの悲しみを聞きました

 

  たくさんの出会いを通して、震災犠牲者への慰霊巡礼は、

  ・亡き身内を供養すると共に祈る遺族自身の心を癒す。

  ・精神的立ち直りのエネルギーを生む場になっている。

  ・祈りながら震災の記憶や体験を心に刻みむ。

  ・自分と向き合う。

  ・その後の人生に生かしてゆく貴重な糧を生み出している。

  などを実感しました。

 

   みちのく巡礼の根底には、

  シルクロード旅行の体験で得られた精神が脈々と流れています。

  創設者にとってシルクロードは子供の頃からの憧れでした。

  

    《“大人になったら必ず行ってやる》という

  「夢への挑戦」的な強い実現意志を持っていました。

  しかし、実現までは大きな障害が立ちはだかっていました

  

   筆者の若かりし頃は、中国から旧ソ連領、中近東、東欧諸国を経てイタリアの

  ローマまで旅することは不可能に近い状態でしたが、

  あきらめずに根気強く調査や準備を進めたことで、

  厳しい状況に挑む精神力が養われと思います。

  これが根気を要するみちのく巡礼の活動に生きていると思います。

 

   シルクロードの人々は底抜けに明るく親切で、

  昔から旅人を大切にする良い伝統が続いています。

  言い換えれば「おもてなし」の心です。

  四国遍路の「お接待」に相通じます。

 

   筆者はシルクロードでも四国歩き遍路でもたくさんの親切をいただきました。 

  親切への感謝の心とシルクロード旅へのチャレンジ精神が、

  みちのく巡礼の壮大で根気の必要な活動に結び付き、

  また被災者の方々にご恩送りとして向けられていると思います。

 

   震災1年後、

  当時小学4年の孫と犠牲者鎮魂と復興祈念の四国歩き遍路をしました。

  犠牲になった方々を悼むことで心が癒され、

  孫も〈自分と同じくらいの歳の子供が亡くなったことはとても悲しい。

  この子たちのために祈ってあげたい〉と語り、

  ひたすら手を合わせて読経していました。

 

   この言葉を聞いて、連れてきた甲斐があったと、

  思わず熱いものがこみ上げました。

  孫は祈ることの大切さとすばらしさを学んだに違いありません。

 

   また、遍路で出会った多くの人びとから

   ――これから西日本では南海トラフ巨大地震や首都直下型地震が予想されてい

  ますし、全国各地でどんな災害が起こるかわかりません。

  四国遍路が阪神淡路大震災の祈りの場になっているように、

  東日本大震災犠牲者慰霊の場が将来いろいろな自然災害の祈りの場になる と思い

  ます。そういう意味でも東日本大震災犠牲者慰霊の場をぜひ創ってください。

  ――と励まされました。

 

   現実、近年全国各地で自然災害が多発して多くの人が命を落としています。

  みちのく巡礼の祈りの場が、

  将来は様々な自然災害に対する「祈り・伝承・心の癒しの場」としての役割を果

  すことを理想目標として、組織協力して活動継続して行きたいと思います。

 

   みちのく巡礼の祈りの場が、将来、自然災害で大切な方を亡くした方々の心の

  癒しの場となり、ひいては未来の貴重な命を守ることにつながることを強く願う

  ものです。