金剛頂寺へ向かう

  26番金剛頂寺までは約3.8㌔。

  津照寺から右方向・高知方面向かって海沿いの道を歩きます。

  体験のため孫を先頭で歩かせます。

  「何事も体験が大切」との思いで、

  「体験努力させ・成功に導き・自信を付けさせ・意欲を起こさせ・向上させる」

  というプラスのスパイラルが爺ちゃんの教育方針です。

 

  金剛頂寺までの道は複雑ではなく比較的安全な道なので、

  孫に地図のコピーを持たせ、

  遍路マークや遍路標識を見逃さないように気を付けて歩く事だけを指示し、

  先頭を任せました。

  Mさんは孫と並ぶようにしてすぐ後です。

  道を熟知している爺ちゃんは10mほど後ろを付いて行きます。

  2㌔ほど先の室戸病院を過ぎ、

  元川橋を渡り、まもなく(2.6㌔ほどの地点・元民宿うらしま)から右折します。

 

  田んぼの中と住宅の間の道を600mほど進んでから遍路道に入りました。

 

   標高165メートルにある金剛頂寺まで急斜面を600m上ります。

    

               先頭に立って急坂を頑張る孫

 

   木々に覆われた坂を上りきると、やや開けて金剛頂寺へ到着です。

  孫が両手を上げてⅤサインを送ります。 こうして自信をつけていくのだろう

  と感じる爺ちゃんでした。

 

  弘法大師草創最初の寺金剛頂寺(西寺)

   26番札所金剛頂寺は、「東寺」とされる24番最御崎寺と向かい合っていて、

  通称「西寺」と呼ばれれます。

 

               金剛頂寺全体図


  

   61段の厄坂を上ると大草鞋の山門に到着します。

  門前には「弘法大師天狗問答」と刻まれた石柱が立っています。孫が「何なのこ

  れ?」と訊くので「門をくぐると弘法大師の像があるのでそこで話すよ。」と言

  って門をくぐました。

  

 

大草鞋の山門

   大草鞋には次のような意味があるとのことです。――

  稲藁で編まれた草鞋には、その土地でたくさんお米が獲れた感謝を仏さまに伝え  

  る意味がある他に、仁王さまと同じ魔除けの意味合いもあります。

  解釈としては、この先にはこの大きな草鞋サイズの足を持つ大男がいるよ。
  悪い事をしに入って来たら返り討ちに遭うよ、といった脅し(=魔除け)の意味合

  いがあります。

  

  また、山門をくぐった左側に足を踏みだしたような躍動的な修行大師の像があり

  ました。これは天狗と問答した時の像をイメージしているんだな。
 

 

天狗と問答する弘法大師像修

――弘法大師が19歳の頃、求聞持法の修行中にこの寺を訪れたところ、楠の巨木の

  空洞に天狗が住み着いて、人々に悪事を働き、弘法大師の修行の邪魔ばかりし

  たので、大師は天狗たちと問答して火炎の術で打ち負かし、西方の足摺岬へと追

  い払ったんだ。そして、再び天狗たちが戻ってこないように、自分の像を彫って

  楠の空洞に納めたそうだ。通常は南向きになっている大師堂が、金剛頂寺では西

  を向いて建っているのは、この逸話が理由といわれているんだそうだ。その問答

  の様子は銅製のレリーフになって大師堂の壁に掛かっているから、後で見よう

  や。

 

 


  

 

 

   お大師様を祀るお堂「御影堂」は通常は伽藍の方向を向いて入り口を作るんだ

  が、金剛頂寺の御影堂海の方向を向いていよ。理由は、追いやった天狗が再び戻

  って来ないように「海の方向に目を光らせている」というわけだ。それ以降、天

  狗が再び悪さをすることなく、この地の人々が喜んだとのことだ。

 

 金剛頂寺本堂と境内

   厄坂の石段を上ると仁王門に着きます。門をくぐり更に石段を上ると境内が広

  がっています。

  向かって左に大師堂、右に鐘楼があり、本堂は石段を上った一番高いところに建

  っています。本堂の左には霊宝殿があります。

 

威風堂々たる本堂 境内はこんもりした木々に囲まれ静けさが漂う

             通常とは入口の向きが違う大師堂

 

  かつては女人禁制の厳しい修行の道場で、歴代天皇からの信仰も篤く、室戸市全

 域が寺領だったというほど栄えていました。現在もその当時を偲べるほど威風堂々

 とした本堂と広い境内のお寺で、境内にはそれを実感できるスポットもたくさんあ

 ります。何度来ても、時間をとってゆっくりと参拝したいお寺だとの思いがする札

 所だ、と感じます。

 

 

本堂と手水場

 

   金剛頂寺色々

   「霊宝館」弘法大師が背負って歩いた旅壇具や朝鮮高麗時代の鐘、平安末期の

    阿弥陀如来座像、白鳳時代の観音菩薩像、鎌倉時代の真言八祖像、経典、密  

    教法具等の国の重要文化財が保存されています。

 

   「一粒万倍の釜」

    弘法大師が3合3勺の米を入れて炊いたところ万倍にも増えて、人々を飢えか

    ら救ったという伝説の釜です。

 

    「がん封じの椿霊木」

   この「がん封じの椿御霊木」の幹はコブがボコボコしており、このボコボコし

   ているコブが癌の様に見える為、そこから「がん封じの椿」と呼ばれるように

   なったとのことです。

 

  

 

   魚藍観音」像 

   魚籃観音(ぎょらんかんのん)菩薩は、中国の唐の時代、仏法をひろめ人々      

   を救済するために、竹籠(魚籃)に魚を入れて売り歩く行商人に身をやつし   

   ていたとされる。三十三の姿があるとされる観音さまの一姿です。漁師など海

   で働く人々に信仰されています。宿坊の近くに安置されています。

 

            カツオを持っているのは高知らしいです。        

   

  

   

    「奴草」境内に自生する奴草は県の天然記念物になっています。


   「鯨供養塔」(鯨の供養塔。別名「クジラ寺」)

    室戸は土佐古式捕鯨の発祥地であり、境内には捕鯨8000頭の「精霊供養塔」

   も立っていました。それを見た時に、羊を神様の授かりものとして大切に思う

   シルクロードの遊牧民と重なりました。

 

  金剛頂寺宿坊への宿泊

  その晩は、宿坊へ宿泊しました。

   

 

   金剛頂寺様には、我々の遍路は東日本大震災犠牲者慰霊のための遍路である旨 

  を事前にお知らせしてありましたし、徳島新聞と四国放送テレビの報道をご覧い

  ただいていましたので、関心を寄せていただいていたようです。御寺庭様(住職夫

  人)が、わざわざ我々の部屋に出向いてくれ、長時間会話しました。 

   みちのく巡礼の活動内容をよく理解していただきました。東日本大震災犠牲者 

  の慰霊と伝承の場を創設し、そこを拠点として防災精神の啓蒙や心の癒しの活動

  進めていることを殆ど把握していただけたように思います。大きな収穫だったと

  思います。

   さらには、みちのく巡礼の活動にご協力ご支援いただきましたことに、

  改めて感謝と御礼申し上げます。

  また、「弘法大師空海」という大見出しで、

 『三教指帰』『秘蔵宝論』『般若心経秘鍵』がセットになった角川ソフィア文庫

 プレゼントしていただきました。大変勉強になり何度も愛読いたしました。

  併せて御礼申し上げます。

 

 

 

 

   シルクロードメモリー・心の目