災害ボランティア29年の歩み 

   阪神・淡路大震災が発生した1995年から29年以上経ちました。

  阪神淡路大震災はボランティア元年と言われているように、本当の意味でボラン

  ティアと言われる行動は阪神淡路大震災の時に始まりました。そして1月17日は

  「ボランティアの日」と定められ、その日を中心にして前後3日を加えた1週間は

  ボランティア週間となり現在に受け継がれています。

 

   日本社会の長い歴史の中で育んできた血縁や地縁に根ざした相互扶助精神は、

  繋がりや特定の人たちだけの小さい枠の中で行われていましたが、阪神淡路大震

  災を契機にその小さな枠が破られ、ボランティア活動精神が広く日本人の心の中

  に花開いたのです。義捐金を贈った人たちや間接的に支援を行った人たちを含め

  て、日本人の大多分の人が何かの形で貢献したに違いありません。

 

   また、実際に被災地に足を運んだ人は1年間間で130万人以上、1日平均2万人

  を超えたと言われています。

 

      阪神淡路大震災の惨状 写真:NHKテレビ「明日をまもるナビ」より


  

 ⑴ 阪神淡路大震災から東日本大震災へ、そして

  能登半島地震へ受け継がれたボランティア

   1995年1月17 日の阪神淡路大震災で始まったボランティア文化が、2011年3

  月の東日本大震災に引き継がれました。

   東日本大震災で多くの被災地に出向き、ボランティアを経験した筆者が感じた

  ことは――、「絆」のという言葉に象徴されるように結集して協力し合い、体系

  化され、コーディネートされて機能的になったという点でした。   

   東日本大震災後に起こった熊本地震や関東・東北豪雨などを経て、ボランティ  

  アに必要な課題をクリアーしつつ、進歩しながら今回の「能登半島地震」に受け

  継がれたと思います。

   NHKテレビ 「明日をまもるナビ」で、「災害ボランティア29年の歩み」と

  いうタイトルでテレビ放送されましたので、歩みや課題についての字幕を紹介し

  ます。

      

   

 

  東日本大震災でのみちのく巡礼宗教者ボランティア

   筆者とみちのく巡礼のメンバー行った東日本大震災時のボランティアについて

  紹介します。  

  祈りの道創設に光明が見える

  ~宗教を越えて協力して合同慰霊や復興に励む宗教者たちの姿と感動

 

   被災地で感動的な情景を何度か目にしました。宗教者の方々が仏教・神道・キ

  リスト教などの宗教を超えて超宗教・超宗派で合同慰霊や復興支援に熱心に協力

  しながら励んでいる姿です。

   東日本大震災で共に復興作業に携わった宗教者の方々の中には、「阪神淡路大

  震災の時に現場に出向いたのですが、何をしたらよいのやらさっぱりわからず、  

  虚しい思いをしました。ですから、東日本大震災ではその悔しい体験を生かした

  いですね」、「その点東日本大震災では、集団で協力しながら作業出来ています

  し、コーディネートしてくれたり、指示してくれる人がいるので大分役に立つ

  ことが出来たとおもいます」と語っていました。

  この姿を見て、宗派を超えた寺院に祈りの道創りを目指すみちのく巡礼の構想

  前途に光明を感じ、安心するととともに、活動意欲が高まりました。

 

      

   また、懸命にがれきがれき片付けに精を出すボランティアの若者たちに、未来

  の日本を託す期待感を感じました。 地元の方々と遠方からの若いボランティア

  さんが力を合わせて復興に向かう姿にとまさに実感しました。その中で 

  も、ボランティアの若者と地元の女性、あるいはボランティア同士で結ばれたご

  縁もあります。後に赤ちゃんを紹介してくれた時には、涙が出るほど嬉しさがこ

  み上げ、心から幸せを願いました。

 

 

 

          みちのく巡礼では地域住民の方々や慰霊に訪れた方々とのつながりの維持や

  新しいつながりの創出に取り組みたいと考えています。

        人々のつながりが弱体化した社会において、近年、宗教施設が宗教関係外にも

  活動を広げながら、地域の中心で学びや福祉の場として、また地域をつなぐ拠点

  として新たな機能をもった存在へと変化した事例も少なからずあります。これは

  原点回帰でありましょうか。

   

   教育現場では、小中高に限らず大学などでも科目として、また重点的に行って

  いく活動としてボランティアが位置づけられるようになりました。阪神・淡路大

  震災の痛ましい犠牲や損失と引き換えに、日本社会にとっても、国際社会にとっ

  ても掛け替えのない未来への人間的財産をいただいたと言えるかもしれません。

  

   令和の時代、残念ながら南海トラフ地震や首都直下巨大地震が発生する可能性

  は極めて高い予測です。東日本大震災からの13年、日本社会は様々な危機への対

  応力、レジリエンスを高めて来ました。そこには行政の力に加えて、地域住民の

  力があります。


   

  能登半島地震 災害ボランティア活動について

   能登半島地震で甚大な被害を受けた能登方面でのボランティア活動の実態につ

  いて常に気にかけて、報道に注目していますが、多くの地域で災害ボランティア

  の受け入れ態勢が整っていない状況にあるようです。 

   石川県では、県内の災害ボランティア情報を一括して発信するため、特設

  サイトを開設していますので、ご紹介いたします。

 ・令和6年(2024年)能登半島地震・石川県災害ボランティア情報(外部リンク)

 

   また、次のようなお願いが出されていますので、併せてご紹介いたします。

   能登方面への支援・災害ボランティアに関するお願い

  今回の地震で甚大な被害を受けた能登方面については、多くの地域で災害ボラン  

  ティアの受け入れ態勢が整っていない状況にあります。

   また、能登方面へ向かう道路については、深刻な渋滞が発生しており、こうし 

  た中で個別に被災地へと向かおうとすると、支援物資の到着の遅れや、患者の輸 

  送回数の減少など、救助・救援活動に大きな支障をきたす恐れがあります。

   そのため、災害ボランティアを希望される場合は必ず、事前に本県特設サイト

  等で受 け入れ状況をご確認ください。また、各市役所・町役場・社会福祉協議

  会等には、電話でのお問い合わせは控えていただきますようお願いいたします。

 

 【きょうの心の目】