⑴ “もっと早く逃げてくれればな~…”の無念の言葉
家族を亡くしたの方々から、“もっと早く逃げてくれればなぁ…”の無念の言葉を
あちこちで聞く度に、《すぐに逃げさえすれば、二万人以上の貴重な命が失われ
ることは なかった》と、みちのく巡礼の創始者もメンバーも、悔しい思いを強
くしています。
この悔しい気持ちが、感謝と共に活動のモチベーションになって、背中を押して
くれます。
⑵ どこを祈りの場にするかの的を絞る
創始者もメンバーも四国遍路の様な祈りの道を創ることを希望してみちの
く巡礼創設委員会を設立しました。活動当初はその思いにとらわれず、先ずは
広く柔軟に活動を進めましたが、組織的に被災地に出向いて被災現場の状況や
現地の人たちの意向や希望もつかめましたので、そろそろ的を絞った方が良い
と考え10月の会議で検討しました。その結果をお知らせします。
⑴ 創設場所:寺院、神社、市町村や地域で設置した慰霊や伝承碑や震災エピソー
ドを持つ場所などについてメリット・デメリットなど広く検討しました。
⑵ 津波被災地に立てられた津波慰霊碑や伝承碑の中には判読できないものが多数
あり、祈りの場「維持管理がしっかりしていて忘れ去られない場所に創設す
る」ことが必要と判断しました。
⑶祈りの場を結んで巡礼の道を創り、四国八十八か所のように永く存続させ、未
来の命を守ることにつなげる。
⑴~⑶の理由から、設置場所は寺院に決定しました。
[祈りの場を寺院に創設する利点]
⑴寺院では住職が代々継承されるので祈りの場の維持管理が可能。
⑵寺院は各地域にあり、地元との密着も強い。
⑶墓参、法事、祭り等で人が集まるので、伝承や防災精神啓発の機会が多い。
⑷檀信徒が震災の犠牲になった寺院が多いので、慰霊に対する思い入れが強い。
⑸札所から「御朱印」を頂戴することで巡礼者の達成感が満足される。
⑹寺院同士が仏教という共通性を持っているので祈りの道を創る点で有利。
[寺院が祈りの道創設に有利な点]
①仏教寺院では霊場を結んで巡礼の道を創る伝統が根付いている。
②札所から「御朱印」を頂戴することで巡礼者の達成感が満足される。
③寺院と周辺の店等の融合による門前町が形成され、四国遍路のお接待の様に地
元住民と巡礼者が交流する慣習がある。
⑶ 寺院や和尚様たちより励ましをいただく
被災地で共に復興に励んだ和尚さんたちに祈りの場創りの話をすると、
”絶対に必要なことなので、ぜひ取り組んでください。応援します”と励まされ、
みちのく巡礼では使命感が着実に高まりました。
そして震災10か月後から祈りの場づくりのための活動を開始しました。
⑷寺院から祈りの道創りのお墨付きを頂き、励みと決意
みちのく巡礼のメンバーは《絶対祈りの場を創り上げる!!》という、強い
信念がありましたが、実行するに当たり一つだけ気になる点がありました。
それは、《民間人が祈りの場創りをすることを、
寺院側はどのように感じているのか?》
ということでした。
[みちのく巡礼は寺院のご協力あってこそ成し遂げられる]事で
ありますので、行動に先立ち、何人かの知り合いの和尚様に、次の点に関して率
直なご意見を伺いアドバイスを頂きました。
[ 質 問]
① 祈りの場創りへの思いを聞いていただき、それに対するご意見をいただく。
② 民間人が祈りの場創りをすることに対するご意見。
③ 仏教界の暗黙の決まりやしきたり
④ 各宗派における総本山、教区、地元仏教会との関わりや縛りや慣例。
⑤ どのようなアプローチの仕方をしてゆくのが適切か。
などです。これに対するご意見等は次の通りです。
[ご意見とアドバイス]
「東日本大震災の慰霊の場は色々な宗派をまとめ上げて創る必要がある」ので、
巡礼経験が豊富で被災体験のある民間人が、一ケ寺ずつ丹念に訪問し、
思いを語って熱心に説得するのが一番良い」と、ほぼすべての寺院に賛同の意見
をいただきました。
何か自分たちの考えにお墨付きをいただいた気持ちで、意を強くして活動を開始
しました。
⑸寺院への祈りの場依頼訪問
先ず「被災地の寺院の中で檀信徒に犠牲者があり、本堂などの建物が無事だった寺
院を訪問することから先ず始めました
活動当初は、《祈る場を失った人々に祈りの場を創ってあげたい》
の一心で始った活動でしたが、活動を続ける中で、「伝承の大切さ」と、自分
の命は自分で守る「防災精神」が重要考えるようになり、
主旨は『祈り・伝承・防災』としました。
⑹ 静かなる挑戦
創始者は何歳になってもチャレンジ精神は失っていないつもりです。
若かりし頃の無謀ともいえるがむしゃらなチャレンジではありません。
失敗は許されない静かなるプログラミングチャレンジです。
祈りと伝承の道創設へ向けていざサイレントチャレンジ!と言えるでしょう。
活動開始後5度も大病して長期入院しましたが、その都度立ち上がることができ
たのは、祈りの場創設への責任感と、復興に懸命に向かう被災者の方の姿から学
んだ人間の回復力を信じて気力で頑張ったからに違いないという自讃の気持ちも
ありますが、入院中にみちのく巡礼のメンバーの方々がしっかりと守り抜いたか
らにほかありません。感謝いたします。
【きょうの心の目】