体験と知見を活かした避難心得
筆者は東日本大震災後、犠牲者慰霊と傾聴ボランティア、寺院への祈りの場創
りのお願い(みちのく巡礼札所加盟依頼)で、北は青森県八戸から南は福島県
相馬までほぼ全ての被災地を訪れました。
[ 津波石・慰霊碑・伝承碑]
その折、多くの方々から被災体験をお聞きしたり、津波石・津波記念碑・伝承
碑を入念に読込んで心に刻みました。
明治三陸津波 津波石 田野畑村 羅賀野津奈美石 津波碑 岩手県釜石市唐丹
宮城兼石巻市牡鹿 仙台荒浜 旧浄土寺 慰霊・伝承碑
震災に関する新聞記事をくまなく読み、テレビ放送をビデオに取り何度も視聴
しました。特に、NHK「被災地からの声」「明日を守るナビ」は、生放送だけで
なく、ビデオに収録して繰り返しまています。
沿岸部で生まれ育ったので土地の言い伝えやエピソードも耳にしていました。
その体験と知見が被災地での行動や津波避難に生かせたと思います。さらに今
後にも役立つと確信しています。
今後、首都直下型地震や南海トラフ地震も予測され、北海道から東北にかけて
東日本大震災に匹敵する地震が起こることも予想されています。
筆者の知見や体験から生まれた地震や津波の避難心得をお伝えすることによっ
て、「自然災害における命を守る行動」にお役に立てれば幸いです。
[ 震災遺構・博物館・伝承館・関連場所など一覧]
震災遺構や博物館や伝承館・関連場所も大多数見学しました。
震災遺構は、東日本大震災の惨禍を語り継ぎ、自然災害に対する危機意識や防災
意識を持っていただくために、震災によって壊れた建物などの被害の大きさ、悲
惨さ、被災の記憶や教訓などを、後世に伝えるために保存されることになった建
物や残ったものことです。主なものを紹介します。
○印は、筆者が見学した建物や場所です。
「岩手県」 | |
○たろう観光ホテル | 宮古市田老野原80−1 |
○田老の防潮堤 | 宮古市田老 |
大津波記念碑 | 宮古市重茂第10地割19 |
○大槌町旧役場庁舎 | 大槌町新町1 |
旧下宿定住促進住宅 | 陸前高田市高田町下宿 |
○東日本大震災津波伝承館 | 陸前高田市高田町古川28−5 |
○奇跡の一本松 | 陸前高田市気仙町砂盛砂盛176-6 |
陸前高田ユースホステル | 陸前高田市気仙町砂盛 |
気仙中学 | 陸前高田市気仙町小渕 |
「宮城県」 | |
○気仙沼向洋高校 | 気仙沼市波路上瀬向9-1 |
○龍の松 | 気仙沼市波路上岩井崎 |
○南三陸町防災庁舎 | 南三陸町志津川塩入77 |
○大川小学校 | 石巻市釜谷山根1 |
○女川交番 | 女川町女川浜地内 |
○門脇小学校 | 石巻市門脇町4-2-11 |
○野蒜駅プラットホーム | 東松島市野蒜字北余景56-36 |
○荒浜小学校 | 仙台市若林区荒浜字新堀端32-1 |
○中浜小学校 | 山元町坂元字久根22-2 |
「福島県」 | |
○請戸小学校 | 浪江町請戸持平56 |
この記事では簡単に紹介します。詳細は後の記事でアップします。
仙台市荒浜小学校 石巻市門脇小学校 東日本大震災津波伝承館
(道の駅高田松原タピック)
大川小学校 請戸小学校 中浜小学校
[津波の予測]
(1) 地震=津波
筆者は被災地訪問時に何度も余震に見舞われました。大きな地震でも小さな
地震でも、揺れを感じたら「津波が来る」可能性があることを意識しています。
現地に到着したら先ずどこへ避難するかを、探したり現地の人に聞いたりして避
難場所を決めていました。地震=津波を意識して行動して自分の大切な命を守る
ことが大事です。
(2)津波注意報や津波警報を見聞きしたら…
自分がいる場所から離れたところで地震が起きた場合、自分がいる場所が揺れて
いなくても、津波が来ることがあります。
できるだけ早く安全な場所に逃げることが大切です。
(3)津波前に海の波が引くとは限らない
津波は海の波が引くことなく来る場合があることを、子供の頃から大人に聞いて
いましたが、高校生の時、チリ地震津波で実体験しました。
東日本大震災後、鮎川で避難所生活をしていた時津波警報が鳴りました。皆が逃
げる中、一人の男性が原付バイクで海へ向かいました。消防団員が追いかけて、説
得して連れ戻しました。東日本大震災でも津波確認で多くの方が亡くなりました。
津波確認のために海を見に行くことはやめましょう。
[津波避難で心がけていること]
(1)より早く~津波のスピードは速い
揺れを感じたら、直ちに避難しましょう。率先避難者であることを心がけてだ
さい。他の人の命を救うことに繋がると思います。
(2)より高く~遠くより近くの高い建物などに!
津波が来ることが分かったら、「遠く」より「高い」場所に逃げましょう。東日
本大震災の時のように津波が10mより高い場合、津波避難ビル(津波から一時的に
避難するための建物)や避難指定の場所でも命が失われたケースが多数ありまし
た。ここなら安心と思わず、より高い場所を目指して避難して下さい。
東日本大震災の時も最初、”6m以上の津波”と放送されましたが、実際にはそれよ
りはるかに高い津波が押し寄せました。筆者は、津波は狭い所に入ると急速に高さ
とスピードを増すことも、高い所へよじ登ってくるのも、金華山で目の当たりにし
ました。
(3)車では逃げない!
道が渋滞してしまい、走って逃げるよりとても遅くなることがあります。車ごと
津波に流された人も多数いました。車を捨てて高い所へ逃げこみましょう。
何よりも大切なのは命!
(4)津波は川をさかのぼる!~河川に近づかない
海ではなくても、川の近くにいたら注意してください。津波は川をさか上って
くるのでとても危険です。すぐに安全な場所に逃げましょう。
東日本大震災では北上川をさかのぼった津波によって石巻市大川小学校の児童・
教職員84名、大川地区全体で418名の方々が犠牲になりました。
震災遺構石巻市大川小学校 大川小学校献花台
(5)一度避難戻したららない!
せっかく高台等に避難した後、防寒着や常備薬などを取りに家に戻って命を失く
したした人が多数いました。
(6) 津波は繰り返しやってくる
津波は1度だけではありません。津波は何度も繰り返し来ます。大きい波が後
から来ることがあります。私が津波に遭遇した金華山では、最も大きかったのは
第2波で、第4波まで津波が来ました。津波警報・津波注意報が取り消されるま
で絶対に家などに戻らないでください。
(7)想定にとらわれない
「私の家に津波は来ないだろう」「自分は大丈夫」と思っている人は、被害に合う可能性が高いです。いつも最悪の状況を考えて行動しましょう。津波が来たら何をすればいいか事前に分かっておくと、家族や友人を守ることにつながります。
最善を尽くして避難 !!
その時考えられる一番安全な場所を目指して走って避難してください。
みちのく巡礼の3つ主旨は「祈り・伝承・防災」です。
「千年伝えて未来の命を守る」をキャッチフレーズにして活動を続けています。
きょうの心の目
延べ10か月のシルクロード旅行の中で、
赤の他人の旅人の筆者は6度も結婚式に参列させていただきました。