原種のお話 その2
人類が自然界で見つけた、食べられるちいさな実の植物が、現在様々な『 農産物 』として出回っているものの原種であることを前回述べさせていただきました。
さて、・・・いや実は、種の事になりますといろんなことを述べたくて頭が混乱し勝ちなのです。
でも、勇気を振り絞って、と・・・。
さて!
人間がその植物の有用性を認めて沢山作ろうとすると、やがて植物は面白い行動をとることが知られています。...
突然変異です。
たとえば、ムギの殻には大きく伸びた ひげ がありますね。
この部分ですが、ムギの原種を人類の祖先が自然界で見つけたときにはかなり長かったことが解ってきています。
あれって、なぜ存在するかといえば、穂に実った実(つまり種子)を、できるだけ遠くへ飛ばして子孫を繁栄させるため、といわれています。
しかしこの植物の 行動 は、収穫しようとする人間にとって、厄介なことでした。
穂のまま収穫することが出来ず、拡散して地上におちたモミを拾わなければならなかったからです。
やがて数千年の時を経て、ムギは気づきます。
『 どうやら、おれたちは人間によって沢山増やしてもらってる 』
と。つまり、自ら拡散しなくても人間に任せておけば拡散してくれるのだ、と言うことに。
すると、あるとき突然、ひげが短い種が出現したのです
・・・・・・こうして現在あるようなムギの原型が出来上がったことが、研究で知られています。
同じようなことは、世界でも日本にしか生息しない 米麹菌 にもあてはまるようです。
米麹菌も、日本人が古代からその有用性に気づき、長い間をかけて守り続け、その中でカタチを変えてきたといわれています。
そしてその果てに、世界に誇る日本の食文化の基礎の部分を作り上げました。
長く付き合うことで、植物が突然変異というカタチで答え、そして出来上がってくる 作物 という植物。
人間と農産物との歴史は、こうした、自然界の中で繰り広げられてきた 会話 によって成り立ってきたようです。
そして、長く時間をかけることによって自然生態系とうまく調和してきた、といえるでしょう。
その仕組みを、一代交配・遺伝子組み換え種子が壊そうとしています。
その意味でも、健全に種を残すことが出来る品種を守り続けていくべきだと思います。