~腸と脳はお互いに影響しあってる~

腸脳相関とは、

腸の中で生じたさまざまな生理的、病理的な変化が脳へと伝えられて、

脳の情報処理に影響を与える関係のことをいいます。



脳に腸がどのような影響を与えているのかは、長年の謎でしたが、

1930年頃から日本で腸脳相関を調べる本格的な研究がはじまりました。

腸脳相関にくわしい京都府立医科大学大学院医学研究科の内藤 裕二博士は、次のように語ります。

「マウスやラットの腸内を無菌にすると、どうなるかという研究で、次のようなことがわかりました。

一つは、腸内を無菌にして育てると長生きをするということ。

腸内が無菌であれば、がんや糖尿病にならないのです。

このことから腸内細菌と疾患は大きなかかわり合いがあることがわかりました」


しかし、腸内細菌がないと脳に大きな影響があることもわかってきました。

「腸内が無菌状態のマウスは、物覚えが悪く、学習能力がなかったり、ちょっとストレスを与えると異常に興奮するマウスになってしまったのです。

さらに脳の中を調べてみると、ニューロンがほとんど発達していないことがわかったのです」(内藤博士)。

そこで、腸内細菌が無菌のマウスに正常なマウス の腸内細菌を移植すると、

ニューロンの反応が正常になり、学習能力やストレスを与えても異常に反応することはなくなりました。

このことから脳の発達には腸内細菌が欠かせないことがわかり、認知症とのかかわりの研究も進んでいます。

「認知症の教科書」より抜粋
P52