前回からの続き。
医師の差し出してくれたオプション(選択)。
認可済みの薬品で少し副作用は強いが結果を出してきているもの(歴史あり)
認可されていないが、幾度もテストを重ね、大腸がんに対しては癌を叩く効果は出ているもの。(テスト歴、8か月)
注釈)この新薬を試すには申請→血液検査、CT,EGKなどのテストを経て、わたしが候補者として適正か判断されたのち→申請受理→施行、という経緯をたどる。
そうでした!
病室を出る前に彼が質問しました。
『ドクター、ちょっと興味で聞きます。このテスターを受けることでドクターや病院がなにか利益が発生するとかあるんですか?』
わ!パートナー直球!
はい、でも気になりますよね。
医師、即答。
『(ヾノ・∀・`)ナイナイない!うちのほうではそれはないです。もちろん、どこかの機関でなんかしら利益は発生すると思う。ですが、ミミにこれをテスターとして勧めることで僕や病院にお金が入ることはないよ』
わたしだったら聞きにくいかな、と思えることを彼は素早く簡潔に聞いてくれた。
医師も即答してくれた。
あ、でも、わたしは思っても聞かないかな。
聞いて医師の反応を見たかったという彼の気持ちもわかります。
なんかしらの仲介で、きっと利権がらみのお金は発生するかもしれない。
でも、それを知ったところでなにも変わらないなぁ。
彼は純粋に興味があったんでしょうね。
次回の予約を取るため、待合室に行きました。
彼はわたしの横についてくれました。
話をした。
わたし『どう思う?』
彼『僕はこの病院を信頼しているし、ドクターのことも信頼している。テスターと聞くとすこし構えてしまうかもしれないけれど、医師の話から見て悪いとは思わないよ。新薬のこともっと調べてみよう。君はどう思う?』
わたし。わたし、この時はあんまり、まだこころに到達していないというか。
まずは癌が大きくなったことに対しての衝撃を受け止めるのにすこし時間がかかった。
そしてわたしはこう答えたんだ。
『わたしのゴールは一日でも長く生き延びることだから信じている医師が提案してくれるのならば新薬を試したい』
彼『副作用が従来のものより少ないというところが利点だね。テストだから認可されてないだけ、という点とまだ8カ月間しか使われてないところが気になるところかな』
わたし『テスターになるって不思議な感じだなあ。よく新聞広告で Human experimentation(人体実験)の募集とか出てるのを見たことあるけれどあなた、あれやったことある?もしくは友達や周りの人で経験したことある?』
彼『あれ?君に話してなかったっけ?僕、学費を払うためにありとあらゆる仕事をしつつ、人体実験にもよく参加していたよ』
わたし『!!え! 知らないわよ!すっごく面白そう。教えて教えて~』
彼『毎月、出来る限りの血を抜いていたよ。学費と生活費のために。あ~懐かしいな~』
わたし『・・・あ、あ、あなた!!!本当に苦労したのね・・・』
彼『サンフランシスコに行ってね、1週間、施設に入るんだけど楽な実験もあれば辛い実験もあったよ……教科書を持ち込んで勉強しながらやり抜いたよ』
わたし『ドキドキ(面白体験!)』
わたし 『・・・一番、思い出深い辛い実験は?』
彼『えー、なんだろうなぁ。麻酔で眠らされて冷凍庫みたいなのに入れられてどのくらいまで体温が急激に下がるのかの実験をしたよ。それを1週間ずっと』
わたし『・・・!』
彼『1週間で21万円だったな。だけどそのあと半年はひどい冷え性に悩んだよ。若かったから回復力も早かったけどね』
わたし『うーん。・・・やりたくない!』
アメリカでは人体実験のボランティアやアルバイト、が色々とありますね。
我が家のオッ様から人体実験の話を聞けるとは思いませんでした。
テスト。テスター、なんて聞くと確かに身構えてしまいます。
はい、でもわたし、決意しなくてはなりませんよ。
そんな時でした。
隣に座る女性が鼻をすすり、
泣いていることにわたしは気づきました。
また、次に続いちゃう。
わたし、今日もなんだかんだして、
元気だったヨ!ありがとう
メッセージありがとう!お返事、待っててネ