隣の家の住人が上司だった元の社宅、
そこからの転勤で異動したところは、けっして島ではない。
しかし、交通の便が必ずしも良いわけではなく、災害などがあれば、陸の孤島となりうる場所であったと言う事である。
島流しと言いながらM子達家族はその土地を多いに楽しみに、周りの人々とも仲良くしてもらい、生活をエンジョイしていた。
長男は入園した小さな幼稚園で、何をしても一等賞になり、彼の今まで人生の中で一番、華々しい時代であったのではなかろうか…
そんな日が穏やかに流れていた時に、M子の旦那さんの父親、義父の病気が発覚した。
M子の旦那さんは5人兄弟の長男であった。
しかし、何かあっても、すぐに実家に帰られる場所ではなかったし、
仕事柄、長期にその場から離れるわけにいかなかった。
父の急遽の知らせを受け、旦那さんはM子達より、一足早く実家に駆け付けた。
入院を拒否していた旦那さんの父親は最後を己の人生の結晶、宝物である自宅で、最後までおり、そして亡くなった。
病院で療養していたら、最後は間に合っていたのではないかと思うが、
それは旦那さんの父親が選んだ結論であった。
それから半年後に旦那さんの異動願いが通り、
M子達はその漁村から何度目かの引っ越しをしたのである。
旦那さんの異動願いと言っても、M子に旦那さんは相談もせずに、していた事で、
M子も、そうなんだ〜ぐらいの感覚であった。
ノーテンキなM子であった。
追伸
その漁村で知り合いに、釣りたての魚を頂くことが良くあった。
目の前の魚屋さんには申し訳ないのだが、魚をおろせなかったM子は人の良い魚屋さんにその魚をおろしてもらっていた。
何回目かの時、魚屋さんが、
「おくさん、やってあげるのは簡単だけど、教えてあげるからやってみな!」と、魚のおろし方を教えてくれた。
今は50センチもある金目鯛なんて、そう調理する機会なんて、ほとんどの無いけれど、
ワタシ、出来ますのよ😜
つづく