皆さんは映画は洋画、邦画どちら派だろうか。

 

僕は圧倒的に洋画派だ。

 

豪華な俳優陣。

圧倒的なスペクタクル。

魅力的なシリーズの数々。

 

洋画には

『映画館で観て良かった!』

と思わせる魅力がある。

 

邦画を否定するわけではない。

 

好きな作品もたくさんある邦画。

だが時にこんな作品もないだろうか。

 

『これはTVのスペシャル放送でいいかな』

 

これは日本のメディアに触れる機会が多いことの弊害なのだろうか。

 

隣の芝は青く見えるものだ。

ないものねだりの映画鑑賞。

 

しかしそんな邦画の中で強烈な印象を与えられ魅了された作品がある。

 

 

白石和彌監督『凶悪』

 

この作品を観た時の衝撃たるや。

『こんなものTVで流してはいけない』

そんな鬼気迫る衝撃があった。

 

『悪』というには生ぬるいまさに凶悪。

人間の闇が何とも生々しく描かれたこの作品。

 

しかし闇を描いているのにその世界は凄まじく自由で、強くて、魅力的だった。

 

強烈で不思議な魅力。

 

魅了されたように当時は何度もこの映画を観たものだった。

 

そんな白石和彌監督の新作が劇場公開されたというではないか!

 

 

うんうん。

今回もいい感じに闇っすね。

(全くブレない)

 

本当こういう深淵を描くためにいる監督なのだと思う。

 

深淵をのぞくとき、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。

 

ニーチェにもなってしまうというものである。

白石監督の将来が不安でならない。

 

そんな最新作について調べているとこんな情報が。

 

 

ティーチイン付き上映ですって…?!

 

説明しよう!!!

ティーチイン上映とは監督や役者さんが上映終了後に登壇し、様々なトークセッションを行う素敵なイベントなのだ!

 

イベント後にはサイン会まで…?!

しかも登壇者は…

 

 

か、か、監督ぅぅぅ!!!

 

こんなものはもう行くしかない。

行く他にないのだ。

 

だってプログラムがもう…

 

 

質問までできるんだってよ。

(軽いパニック)

 

しかし日程は土曜日。

妻は相変わらずの仕事。

子ども達はどうすれば…

 

『子ども達は預けるからゆっくりしてきなよ!』

 

あれ…?

僕の配偶者神でしたっけ…?

神と結婚したんでしたっけ…?

(修道女のキャリアステップ)

 

職場に託児所完備の妻。

 

ワンオペGWのご褒美がこんなところでいただけるなんて…!

 

もう何日でもワンオペやる。

(この夫は訓練されています)

 

そうしてチケット発売日に張り付き、無事ティーチイン上映を獲得…!

 

渋谷はシネクイントへとやってきたのであった!

 

 

こぢんまりとした味のある映画館。

 

 

ティーチイン…高まる…!

そしてまずは今作の感想。

 

こんなもの…

簡単に世の中に出していい映画じゃない。

(褒めてる)

 

もう開始数秒で闇。

闇に次ぐ闇。

止まらない闇。

 

平和なシーンとかそんな瞬間はない。

 

ただひたすら惨くて闇。

 

『凶悪』もそうだったけど白石監督作品はそうでなくては。

 

今回も清々しいほどに悪なのだが、やはり不思議な魅力がある。

 

自由、強さ、生々しい悪…

 

結局のところ悪は強いのだ。

力なき正義とかもそうだろう。

悪は自由なのだ。

 

なぜそんな悪に自由への羨望みたいなものを見出してしまうのか。

 

それはきっと人間の誰しもが闇を抱えながら生きているからだと思う。

 

多かれ少なかれそんな闇と向き合いながらこの社会と折り合いをつけているからだ。

 

白石監督作品に出てくる悪役はそんな闇を抑えつけることをしない。

そこに強烈な作品としての魅力があるのだ。

 

今作も怖かったー。

阿部サダヲの怪演っぷりたるや!

めちゃめちゃ良い演技だった。

 

ゾッとさせる迫真さを持っていた。

 

もう一回観に行きたい。

 

そして上映終了後のティーチイン!

白石監督が登壇され、質疑応答もすることができた。

 

僕は監督が創作をする中でどのように人と関わっていくのかを知りたかったのでこんな質問をしてみた。

 

『作品を創り上げていく中で自分のイメージを役者さんやスタッフさんに共有していくことは関わる人数が多くなるほど難しいことだと思うのですが、監督が思うコミュニケーションや伝え方のコツを教えてください!』

 

監督も

『おぉー!コアな質問ですねー!』

とかなり熱心に質問に答えてくれた。

 

嬉しい!!!!!

こんなに嬉しいことある?!?!

 

監督の創作人生の貴重な時間を自分のために話す時間にあててくれている!!!

(メンヘラ彼女)

 

『この映画みたいにさ!』

『あのシーンみたいにさ!』

と誰しもが共有できる具体的なイメージに変換して伝えることがコツらしい。

 

あとはたくさんの人と話す、スタッフさんや役者さんからのアイデアも積極的に取り入れるそう。

 

たしかにこれはコミュニケーションが活発になる要素だと思う。

 

そして事前にカッチリと全てを決めすぎずに、現場での指示で実際に動きながら共有していくことも大事にしているらしい。

 

その方が柔軟性があるコミュニケーションが取れるのではないかとのことだった。

 

たしかに…!!!

 

監督の創作の一幕が垣間見えるような会話に心が弾んだ!

 

センスや感覚で行われていると思いがちな創作の現場にも集団で一つのゴールを目指すための試行錯誤がある。

 

そしてそれが僕のような会社員にも活かされる考え方であることに感動した。

 

白石監督のコツ…

大切にしよう…!

 

他にも色々な撮影の舞台裏などを聞くことができ素晴らしいティーチインの時間を過ごした。

 

最後にはサイン会も。

 

 

ここでも少し会話ができて幸せ。

 

ぜひとも『死刑にいたる病』

鑑賞してみてほしい。