ついにこの日がやってきてしまった。



新部署異動後、初の会社ゴルフ。


仕事では味わうことのできない緊張感。

味わう必要のない緊張感。


会社ゴルフに行く度に思う。


『人生は戦いなのだ』と。


物資も福祉も豊かなこの日本で。

毎日を平和に過ごしていれば気付かなかったであろうこの緊迫感。


しかしどこに生まれようと、どんな風に生活しようと、人生は戦いに他ならないのだ。


『生きてるって感じがするぜぇ…!』

(血走る目)


勘違いしないでいただきたいのは、ゴルフ自体は楽しいスポーツであるということと、僕も腕前が伴えばきっと楽しい一日なのだろうということである。


100を切っていれば。

もしくは100台で回れるのであれば。


仕事やプライベートの話に興じながら自然を満喫する優雅な一日になるのだろう。


しかし僕は違う。


110〜120で回る僕にとって優雅な会話などに興じる精神的余裕はない。


頭の中は

『迷惑をかけたら死ぬ…!』

これのみだ。

(デスゲーム系のモチベーション)


もはやスコアなどどうでもいい。

迷惑さえかけなければそれでいい。


自分のボールが見つかりやすい位置にそれなりに飛んでほしい。


変に茂みチックなところに入ってボールを探す時間という迷惑をかけたくない。


何打叩いてもいいからピンに向かって真っ直ぐ進んでいってほしい。


飛距離が出たとしても変に方向が乱れて右往左往するような迷惑をかけたくない。


スコア度外視で迷惑をかけない会社員下っ端ゴルフのラウンド戦略は友人と回る楽しいゴルフとはもはや別競技と言っていい。


その秘訣はこれだ。


攻めの姿勢など見せない!

どこでもいいからなるべく広いところに打て!

(ボールがすぐ見つかるように)


飛距離などいらない!

ピンに向けて何打叩いてもいいから無難に刻め!

(右往左往しないように)


狭すぎる難しいフェアウェイはもはやOBにぶち込んで前進特設ティーにワープして打て!

(打数が少なくてもはや楽)


こんなモチベーションで臨むゴルフなど楽しいと思うかい?!

(楽しくないとは言ってない)


家族でも人質に取られているのかと言わんばかりの重圧である。


優雅な休日とは程遠い。


しかし感情を殺し、この三か条を遵守することで迷惑をかけないゴルフは可能になる。


そして今日も僕はゴルフの誘いに全力で応えるのだ。

『おっ!いいですね!練習ガッツリしとくんで絶対連れて行ってくださいよ?!』

(グチャリ笑顔)


きっと偉い人たちもそうやってゴルフが上手くなっていったのだと思う。


これが日本で生きるということなのだ。

(武士道)

刀がゴルフクラブに変わっただけなのだ。


ゴルフ場

ここは第二の

職場かな

(めがね会社員心の一句)


サラリーマン川柳もついつい思いついてしまうというものである。


そんなこの日の舞台は由緒正しきコース。

岡部チサンカントリークラブ。


埼玉県に位置し、関東オープンも開催されたという素晴らしいコースだ。


ウォーミングアップは欠かせない。



良い練習場じゃないの…!


友達と来たい。

普段友人と行くのは平日6000円〜8000円のコースなのだが、こちらは平日でも12500円。


これはお小遣いで行くにはなかなかしんどい。


もちろん会社のゴルフは家計から補助されている。

仕事なのだから。

(妻の理解度)


ウォーミングアップを終えると無情にもスタンバイが整っていくカート。



今から始まるという現実感が凄まじい。


しかしここでクヨクヨしないのが僕のストロングポイントだ。


気持ちを高めていこうではないか!

最終的に練習不足、腕前不足の自分を助けてくれるのは気合いでしかない!


不足は全て精神力で補うというのが鋼メンタルの持ち主たる所以である。


さて!

打順を決めましょうか!


くじを持ちながら満面の笑みである。


僕は知っている。

こういう時に1番を引くのは必ずと言っていいほど僕であることを。


何なら言った。

『今回も1番は僕がいただきますよー!』

そして1番を引いた。

(呪い)


ここまで有言実行だと怖い。

でもそういう星の元に生まれてきてしまっているので、もはや驚きすらない。


1番だろうなと思って心の準備もできているし、何なら良い掴みになった!ぐらいの精神力は搭載している。



ふぅ。

綺麗なコースだなぁ。

(悟り系男子)


そして僕は260ydという自己ベスト飛距離を叩き出しフェアウェイど真ん中にぶち込むのであった。


大盛り上がりである。


もちろんこの後はスコアなどお察しになるのだが、朝イチの1打目だけは最強という会社員仕様に調教されているのがこの僕だ。


めちゃめちゃ気持ち良かった…!

(恍惚)


これだからゴルフはやめられない。

もうゴルフに夢中である。

(根がゴルフ好き)


さすが良いコースだけあって飽きさせることがない。



豪快な池超えホール。


とても楽しいコースなのだが、いかんせん難しい。

高麗グリーンはトラウマ級に速く、もはや打つのが怖くて打ち切れない。


そして何より僕の胃を痛めてきたのが砲台グリーンだ。

何となく成り行きで乗るグリーンが存在しない。


アプローチでしっかり乗せるという作業が僕の精神力を削ってくる。


そしてグリーンが小さい。

ちょっとアプローチが狂うと乗らずに右往左往である。

ちょっとパターを打ちすぎるとグリーンとはお別れである。


鉄則に則り無難に刻んだ僕。

前半は調子も良く楽しく回れるという奇跡。

(ハーフ50台という安心感)


こんな日は飯も美味い!



名物スタミナ鉄板焼き!


ニンニクの効いたタレでいただくのは豚肉と野菜とうどん!

これを卵に絡めて熱々のうちに頬張る!


こんなの美味いに決まってるじゃん?!

ちょっと見たら分かるよね?!

(ブチ切れ)


ご飯1俵食べた。


そして後半は素晴らしい景観の打ち下ろしがいくつか。



気持ちいい…!

どんどん打ち下ろしたい。



打ち下ろしホールは空に向かって球が飛んでいく感じが好きだ。


解放感がすごい。


スコアもそんなに崩れることはなく、無難に終わった僕。


ただこの日は嬉しいこともあった。

『アプローチとパターで1打削っていけば100切れるじゃん!』

これは嬉しいお言葉だ…!


ショットが安定してきて、最後の細かい部分が課題になりつつある。


練習の成果が少しは出ていることがわかり、有意義な1日であった。


グリーン周りの短いアプローチとパターを猛練習したいと思う。

(苦しめられたシチュエーション)


何やかんやゴルフは楽しい…!

上手くなって、会社のゴルフも余裕を持って回れるようになりたいものだ。