いよいよクリスマスイブ。

街はイルミネーションに彩られ、行き交う人もどこか浮き足立っている。


そんな年末の明るい雰囲気が好きだ。


iPhoneから流れるクリスマスソング。

このトキメキ…!

僕も冬を楽しまなきゃ!


そんな僕が仕事終わりにやってきたのはこちら!

さて、やるか…

(文脈)


浮かれてなどいられない。

僕がこの年末年始に自身に課しているのはただ一つ。


年末年始だからこそ、体を締める…!


僕は回遊魚のような人間なので止まると死んでしまうのだ。

何かを自身に課していないと生きている素晴らしさを感じられない。

(病気)


ついつい食べてしまう年末年始。

年末特番を見ながらご飯につまみに菓子に…

年末にはそれが許される雰囲気がある。


1年間頑張ったし!


正月はそんな言い訳も許される緩さがある。


しかし僕はあえてそれに抗うことこそを楽しむ人間だ。

欲求に抗う自分に対して満足感を得るという複雑な欲求が止まることを知らない。


このついつい食べてしまう年末年始に、その欲求に抗い少しでも体を締めることができたなら。

それができた自分はどんなに高い自己肯定感を手に入れるのだろう。


それを考えただけで興奮して夜も眠れない。

(亜種の変態)


食事を日々記録し、運動量と向き合いながら同じ30代にマウントが取れる体型作りを続けたいと思う。


そんなトレーニングだが、僕は音楽を聴きながら取り組むことが多い。


ランダム再生で曲ごとに変わるモチベーションを楽しむ。

しかしiPhoneは時としてランダム再生で神が舞い降りる瞬間がある。


トレーニング中、流れてきたのはこの曲だった。

MK5だと…?!


これ以上トレーニングに不向きな曲があるだろうか。

筋肉への訴求力が逆ベクトルで高すぎる。


MajiでKoiする5秒前。

通称MK5。


部分的なローマ字表記が絶妙にダサいこの一曲。

しかしその内容たるや…!


日本のポップカルチャーである『可愛い』という概念を具現化するとこの曲になる。


もはや『可愛い』の化身。

外国人に『可愛い』を説明するにはこれを流してイヤホンを突っ込んでおけばそれで事足りる。


『可愛い』は『MK5』であり、そのMK5を聴いている僕ですらもはや可愛い。


この瞬間、ジムのフリーウエイトエリアには広末涼子がいた。

MK5を聴いて可愛い僕はそれ即ち広末涼子と言っても過言ではなかったのだ。

(まさかの自分)


だって歌詞の冒頭からこれだ。


ボーダーのTシャツの

裾からのぞくおへそ


おへそ!!!

可愛い!!!


この曲のあらすじを説明するとこうだ。


ずっと好きな彼と初めて2人で遊ぶ女の子。

彼はゴメン!と笑いかけながら爽やかに現れる。

約束の5秒前に。

もっと早く来い。

爽やかだから許されると思うな。


そして女の子は

『かに座の女の子ってどこか大胆』

と訳の分からない言い訳をしてさり気なく腕を絡める。

なかなかに肉食系である。


そして事もあろう彼の耳元で囁くのだ。

『大好きよ』

と。


恋が始まる予感がすごい。

チャンスを逃すまいとする女の子の頑張りは嫌いじゃない。


そしてお別れが近くなった夕暮れ。

彼はついに女の子にキスをするのだ。

門限の5秒前に。


だから!

待ち合わせと同じで!

お前はもう少し早めに行動しろ!

時間に追われて実力発揮できるタイプか!

追い込まれて伸びるタイプか!


そしてその晩、女の子はドキドキして眠れなくなる。

これが真夜中の5秒前の話である。

23時59分55秒だ。

早く寝ろ。

お肌のために早く寝ろ。


あらすじにするとこんな感じだ。

めちゃめちゃ可愛い。


こんな可愛いの権化がランダムで来てみろ。

もはや重いものなど持ち上げられない。

(重いものが既に可愛くない)


このままだとトレーニングに支障が…

助けて!

助けてなかやまきんにくん!


なかやまきんにくんのBGMにすることで事なきを得た僕。

この後めちゃめちゃスクワットした。

(マジで召される5秒前)