2021年も残すところあと1か月。
皆さんは今年にやり残したことはもうないだろうか。
僕にはやり残していることがまだある。
 
それは2021年未達となっている抱負。
『サウナの聖地へ足を運ぶこと』
これが未達なのだ…!
(仕事の抱負は元より無い)
 
有言実行を人生に掲げる僕にとって、年初に掲げた抱負が未達というのは大変よろしくない。
このままでは自己肯定感が下がる。
 
常に勤勉かつ全力(プライベート限定)という自分を自分たらしめているポリシー。
そんな自分は怠けてしまった自分という過去に打ち勝つ自信が無い。
有言不実行というスティグマをもはや振り払うことができない。
 
行かなくては…
有言実行しなくては…
僕が僕であるために…
勝ち続けなきゃならない!
(尾崎豊)
 
抱負とはこういうものである。
軽々しく口に出していいものではない。
 
実際に2020年の僕の抱負は
『バク転が出来るようになる』
だったのだが、これが未達になっているせいで2020年からずっと夜も寝つきが悪い。
(病気)
 
バク転教室を自宅近辺に発見するまでは進捗したものの、時間を確保できず達成には至らなかった。
僕はこのバク転もまだ諦めてはいない。
(私生活に全振りの人)
 
しかしまずは2021年だ。
今を全力で生きることを忘れてはいけない。
 
僕は何の躊躇いもなく友人にこんなLINEを送っていた。
『今年の抱負であるサウナの聖地訪問が未達なので忘年会そこでやりませんか?』
もはや支離滅裂もいいところだと思う。
 
『お前の抱負とか知らねぇよ!』
 
そんなことを一言も言わず、ただただ
『行きます』
『参加します』
『楽しみにしてます』
と返答してくるあたり僕の友人は鍛え方が違う。
(中学時代から20年来の実績)
 
僕がどんな人間か熟知しているこの空気感がたまらなく愛しい。
愛してるぜ友人一同。
(男4人という汚い世界)
 
そして先日。
万全の態勢で抱負に臨む一日の幕開けだ。
誰も想像しなかったであろう新幹線出発。
 
抱負に設定するだけのことはあるとご理解いただけただろうか。
(そもそも抱負への熱量が共感不可)
 
そしてこれに付き合う友人一同も同類だと言っていいだろう。
類は友を呼ぶ。
僕のような人間の周りには僕のように今を全力で生きることのできるタフな人間しか寄ってこない。
大変暑苦しく誇り高いことだと思う。
 
そして新幹線に揺られること1時間。
目的地到着…!
 
ずっと行きたかったサウナの聖地は静岡にあり。
このサウナに行くためだけに静岡に来た。
他の予定はない。
 
もっとやることがあるだろう。
静岡は広い。
観光地やグルメも豊富な県だ。
 
そこへわざわざやってきて目的がサウナただ一つだと言うのだ。
 
ここで多くを語ることは野暮だと思う。
ただあえてこれだけは言っておこう。
 
無駄を楽しむことが人生を楽しむということであり、その中にこそ本当に大切なものはあると。
 
僕としてはかなり良いことを言ったと思って今じんわりとした感動に包まれているのだがどうだろうか。
(病気だろうか)
 
もはやサウナしか脳にないのでロクな下調べもせずに来てしまったのだが、どうやら静岡はプラモデルも有名らしい。
駅前にはこんなフォトスポットまで。
もはや部品。
 
お前はさながらプラモデル。
社会という完成品の1パーツに過ぎない。
そんな部品のような矮小な存在なのだぞ。
 
そういったメッセージ性をこのモニュメントから感じる。
(感じない)
 
サウナで整うにあたってこのように自尊心も多少疲労させながら向かうこととする。
サウナの聖地しきじ到着…!
 
ずっと行きたかったサウナしきじ。
ここがサウナーの聖地たる所以がこの水風呂だ。
市販の天然水超え。
 
もはやミネラルウォーターを浴槽一杯にし浸かると言っても過言ではないその贅沢さ。
この水風呂の圧倒的クオリティこそがしきじが聖地たる所以である。
 
サウナーにとって水風呂は大切なものだ。
サウナに入りたくてサウナに行くわけではないのだ。
サウナの後の水風呂を味わいたくてサウナに行くのだ。
 
その爽快感たるや。
 
もはや水風呂が本番。
サウナは地区予選で水風呂は甲子園である。
 
みんな甲子園を目指してサウナを励むのだ。
そして水風呂で甲子園出場。
その後休憩で優勝といったところだろう。
 
この休憩中にサウナトランスという不思議な現象が起こる。
自分自身と世界との境界が曖昧になり、輪郭を失う。
意識が外へと溶け出し空気と一体になる。
 
自分は世界のいたるところに存在し、世界は自分である。
 
そうしてこの世界との一体感を味わっていると徐々に全身に血が巡っていくのを感じる。
全身がポカポカしてきて自分が肉体に戻っていく。
最後に待っているのは生まれ変わった真っ新な自分のみだ。
 
こんな体験が合法でいいのだろうか。
 
初めて整った時
『これ死ぬのか…?』
と思った。
(ほぼ臨死体験)
 
そんな聖地しきじの水風呂を存分に堪能すべく、まずはサウナで体を芯から温めていく。
アチアチですもう許してください。
(設備の整った地獄)
 
サウナと水風呂の写真についてはホームページより引用なのであしからず。
 
『今すぐクールダウンしたい!』
 
そんな欲求の高まりを感じたらすかさずサウナを出る。
いよいよこの時がやってきた。
これがしきじの水風呂だ…!
圧倒的な成分と心地よい水温。
背後には豪快に流れる滝。
循環ではなくかけ流しの吹き出し口から出ている水はそのまま飲めるというではないか。
 
何という水風呂…!
 
ちなみに水風呂に入る前はしっかりと汗を流すことをマナーとして忘れないようにしてほしい。
(サウナ・スパ健康アドバイザーの仕事)
 
僕はこのようにしきじの水風呂を楽しんだ。
①熱い体で水風呂にある滝に打たれ全身をスプラッシュ!
②そのままなし崩し的にかけ流しの吹き出し口になだれ込み、ゴクゴク水風呂を飲む。
③そのまま静かに浸かり羽衣を纏う。
 
このルーティンの破壊力は凄まじい!
 
①で全身を豪快に冷却していく。
この時の爽快感は凄まじい。
生まれ変わったような気持ちになる。
 
今までのあなたは死にました。
今日からは新しいあなたで生きなさい。
 
女神様的なものが見えた。
(早々に臨死体験)
 
そして特筆すべきなのが②だ。
かけ流しなのでそのまま飲める。
こんな水風呂が他にあっただろうか。
 
自分が浸かっている水風呂を飲んでいる。
字面的には完全にアウトなのだがこんな一体感は他にない。
そして水自体ももちろん美味い。
ペットボトルに汲んで持ち帰ることも公式で認められている名水である。
 
最後は水風呂の醍醐味③だ。
静かに浸かっていると熱い体と冷たい水との間に温い層が出来る。
これにより水風呂で冷たいはずなのに体は温かいままという不思議な体験ができる。
この層をサウナーは羽衣と呼ぶ。
 
しかし聖地しきじ。
すごいのはここからである。
 
水風呂が明らかにまろやかなのだ。
これは成分がなせる業なのだろうか。
 
浸かっている時に幼少期の夏休みを思い出した。
綺麗な川で水遊びをしている記憶。
自然と一体になっている。
 
泳ぎたい…!
 
そんな純粋無垢さを呼び覚ましてしまう何かがしきじの水風呂にはあった。
明らかに体への馴染み方、入っている時の心地よさが段違いなのだ。
 
ピリピリとした感じが一切ない。
柔らかく体を包み込む水風呂。
 
地球じゃん。
これはもう地球に他ならないじゃん。
 
今僕は地球に抱かれている。
 
生命の根源に触れ、自分自身もその循環の中にいることに気付かされる。
もうこれ生命の神秘じゃん。
 
気付くと僕は涙を流していた。
(母なる大地よ嗚呼)
 
行く前の僕は正直こうだった。
『所詮は水よ?違いとかないでしょ(笑)』
『聖地のポラセボ効果でしょ(笑)』
『聖地って何(笑)』
 
読んでいるあなたもそうだと思う。
 
しかし行った後の僕は完全にこうだった。
『全然違うじゃん…何これ(真顔)』
『聖地になる理由があるわ(真顔)』
『これ聖地だわ(真顔)』
 
完全降伏だった。
ぐうの音も出なかった。
 
年に1度でもいいから定期的に行きたい。
ポイントカードも作った。
 
ちなみに水風呂に入るコツは以下2点だ。
①入るときは息を吐きながら入っていく。
②あがる頃合いは喉がスースーしてきた頃。
 
これを守った後、しっかりと休憩することで整う。
ぜひともサウナトランスを体感してほしいし、欲を言うならしきじへ足を運んでみてほしい。
 
そしてサウナで整い倒した後はサウナ飯。
通称サ飯である。
 
サウナで整った後は感覚が鋭くなっているので食事についても味わいが深く感じる。
加えて汗となって出てしまった塩分が堪らなく美味い。
 
しきじは水が美味いので、それで作る食事もどれも美味い。
今回は聖地巡礼ということでドラマ『サ道』に倣って生姜焼き定食をいただく。
枯渇した体に染み渡る…!
 
味噌汁が細胞レベルで染み渡る…!
そして生姜焼きと米をかきこむ。
 
こんなのってないじゃん…!
(恍惚)
 
毒が抜け、活力が湧くのを感じる。
サウナ発祥の地、フィンランドではこんなことわざがあるという。
 
『サウナで治らない病は治らない』
 
僕もそう思いますありがとうございます。
(整い過ぎて思考放棄)
 
サウナの聖地を堪能した。
もう静岡でやることはない。
(今回の旅一番の問題点)
 
さて、ここから先は何も調べていないしみんな整っているので調べる気すらない。
 
しかしそれでいい。
現代人は何かに追われ過ぎている。
 
~~しなきゃ!
~~すべきだ!
~~してはいけない!
 
何でもいいんだよ?
休日だもの。
(みつを)
 
今回は忘年会も兼ねているので、気になる店に立ち寄り美味いものを食べることにした。
金目鯛の握りをビールで流す。
 
サウナ後のビール。
そこへ寿司。
年を忘れるとはこういうことだ。
 
畳みかけるようにブロ友さんからオススメしていただいたこのお店へ。
ななや。
 
静岡抹茶スイーツの帝王ななや。
濃さが7段階に区分けされた抹茶アイスがあまりにも有名な名店だ。
 
お土産を調達しつつアイスにも手を染めていく。
最も濃い抹茶とほうじ茶。
 
ななやに来たなら最も濃いこの7番を食べるべきだと思う。
『お茶ってこんなに旨味があるんだ?!』
そんな新鮮な驚きがある。
 
ほうじ茶は何とも香ばしく、芳醇な香り。
抹茶の後に食べるとその甘みもまた素晴らしい。
 
サウナの後にビールを入れてほろ酔いのところへアイスを入れる。
完成された循環。
 
そして締めくくりはこれだ。
静岡おでん街 青葉横丁。
 
この風情。
旅情を感じる。
 
黒いお出汁に黒はんぺん、そして魚粉をかけていただく静岡おでん。
寒い夜だ。
温かいおでんとお酒で静岡の夜を満喫する。
 
サウナと美食。
最高の忘年会ではないか。
 
素晴らしい聖地巡礼により抱負を達成することが出来た。
 
今回せっかく聖地しきじに行ったのでオリジナルグッズも購入した。
定番オリジナルタオル。
300円という商売っ気を変に出さない価格設定も素敵だと思う。
 
これをサウナ室に持ち込むことで周囲の目も変わることだろう。
サウナ室上段を譲ってくれるぐらいのことはあるかもしれない。
(ない)
 
そして極めつけはこれだ。
オリジナルサウナマット。
 
僕はどうしてこれを買ったのか。
(突如として冷静)
サウナ施設には大概サウナマットは備え付けがある。
 
サウナマットを持参しようと考えたことはない僕なのだが気付くとこれを買っていた。
 
何に使えばいいんだよこれ。
(困惑)
 
サウナにわざわざサウナマットを持っていこうという気もない。
しかしせっかくなら使いたい。
結果としてこれは会社の自分の椅子に敷くしかないのではないかと今思っている。
(ご乱心)
 
そこがもうサウナ。
そこがもう聖地。
 
僕の椅子にあるサウナマットを御神体としてしきじの方角を向いて拝めばいいと思う。
 
何はともあれ今年の抱負が達成できてよかった。
来年の抱負をどうするか今から気が重い。
(自分との戦い)