いよいよ来週。

上司たちとのゴルフがやってくる。


最低限迷惑をかけないようにしなくては…


もはや気合いなどの精神論は役に立たない。

信じられるのは練習、そして練習をこなした自分自身ただそれのみである。


しかし妻と休日もなかなか被らない、平日は帰宅も遅いとなると練習に行く暇がない。


そんな危機的状況の中、かろうじて確保できた唯一の練習日。

早朝河川敷打ちっぱなし。


広大なヤーテージと良心的なコストパフォーマンスで人気を集める河川敷ゴルフ練習場。


妻と休みが被ったこの1日、早朝のこの時間に全てをかける…!

(付け焼き刃の権化)


この練習場オープンは8時なのだがそのあまりの人気から1巡目の打席競争は熾烈を極める。


しかし1巡目を逃すと2巡目が回ってくるのは早くても1時間後…

何としてもオープン直後の打席を確保しなくては…!

1時間前の7:00に来ると朝日が神々しいね…

(達観)


早起きを制する者がゴルフを制する。


実際、1時間前に来たというのに打席はチラホラ埋まっていた。

世の中のゴルファー達の早起きにかける情熱は時として常軌を逸していると思う。

(言い過ぎ)


無事1巡目の打席競争には勝利し、あとはオープンまでの1時間をただただ待つのみである。


しかしここで重大な問題が僕を襲ったのだ。

それはそう。


圧倒的寒さである…


12月の早朝。

寒くないわけがない。

しかしその寒さが想定していたものを大きく超えてきていた。


あれ?!

ここ緯度35度で合ってるよね?!

(もはや東京か不確かな寒さ)


60度超えとかじゃないよね?!

(北極圏)


この日の僕はヒートテックに長袖のゴルフウェア、ウインドブレーカーにウルトラライトダウンというもはや体を動かし辛いレベルでは着込んでいるのだが、明らかに家に帰りたいレベルで寒い。


この装備で足りない…だと…?


絶望感がすごい。

ちなみに上司と行くゴルフは筑波国際カントリークラブ7:18スタートという、今よりも確実に寒いことが運命で定められているこの無常感。


諸行無常の響きありである。


盛者であったことはただの一度もないので、必衰の理しかあらわしていない。

(祇園精舎の鐘の声)


これはダメなやつだ…!

イタメくんも目が本気である。


寒さに耐える炒飯の妖精。

脳を炒飯にして露出させるというサイコパス感。

デザインした人の精神状態が心配になる。


もはやヨダレ垂れ流しの妖精ではあるが(脳が炒飯だから)自分の炒飯を食べて温まればいいのに。


その右手のレンゲは何のためにあるのだろうか。

アンパンマン的な『僕の顔をお食べ』要素なのだろうか。


たしかにアンパンマンは千切ってしまえば心置きなく食べてもらえるだろう。

パンなのだから。


しかしイタメくんは違う。

食べさせるにもこういったレンゲは必要になる。


手でグチャァ…と炒飯を持ってこの顔で

『炒飯…食べる…?』

(グチャリ笑顔)


などとあってしまっては完全にサイコキラーな妖精でしかない。


そんな誰とも被らないヘッドカバー、イタメくん。

今日も熱々の炒飯をその頭にたたえ、誰か食べてくれる人を待っている。

次は貴方の街にお邪魔するかもしれません。

(魑魅魍魎感)


そして寒さに耐えてオープン。

練習を開始する僕。

得意な距離30yd!

苦手な距離それ以外!

(ショートゲーム特化型)


30ydに関してはなかなかのまとまりだと思うのだが、いかんせんそれ以外はポンコツなので、ロングホールなどになると30yd界隈まで辿り着くのに相当な労力を要する。


お願いです僕に飛距離と方向性をお授けください…!

(ゴルフの全てが欠如)


この日、1時間以上かけじっくり練習したのだが最終的に頭を支配していたのはただ一つ。


圧倒的な寒さのみだった…


毎秒寒かった。

もはや寒かったことしか覚えておらず、練習の記憶が曖昧だった。


これを練習と呼んでいいのだろうか?

個人的な感覚では遭難に近い。

(雪山)


本番までに練習のチャンスは今回のこれが最後。

考えてもどうしようもないものは考えないに限る。

考えたり後悔したところで練習できる時間が生まれるわけではない。


比較的本番に強い僕だ。


過去には12人で開催した会社コンペで1組目1番をクジで華麗に引き当て、役員一同に囲まれながらその日1発目のティーショットを230ydフェアウェイど真ん中に叩き込んだ僕だ。


本番当日もダイヤモンド級メンタルと生まれながらにして持っている幸運で何とかするしかない。

(不確定要素全振りで生きるスタイル)


しかしこの寒さは問題であると思う。


本番当日、寒さで体が動かないなどもってのほか。

そのような初歩的な準備不足をあまつさえ上司の目の前で露呈するわけにはいかないではないか。


練習を終えたその日のうちに急いでゴルフショップへ駆け込んだ僕。

揃えるしかない。

運命に抗えるだけの装備を…!

分厚ければ耐えるやろの精神。

(アホの子)


ここまで本気かつ熟考しておきながら、最終的な詰めでアホになってしまうのが僕のチャーミングポイントだ!

(偏差値3)


とにかく発熱する素材で出来た分厚い布。

それを纏える箇所全てに纏う。

インナーを制する者が冬のゴルフを制するのだ。

いちばん寒いときのブレスサーモなら間違いない。


これで靴下、上下のインナーが発熱してくれる。

歩くストーブと呼んでくれて構わない。

暖炉のような周りに人が集まる温かい人に僕はなりたいと思う。


衣服に関してはこれで問題ないと思うのだが、練習中に気付いたことがある。


それはグローブをしていない方の手が寒すぎる問題だ。


もう手がかじかむとかそういうレベルの話ではない。

感覚が無い。

ゴルフクラブを握るとかそういう高度な動き以前に握っているかもよく伝わっていない。

(死体)


これではいけない。

肌色の部分を可能な限り隠さなければ…!

ハンドウォーマーも購入。


両手タイプのミトンも売っていたのだが、さすがに邪魔だった。

プレー中の着脱もそのサイズ感が占める荷物への割合も全てが邪魔だった。


しかしハンドウォーマーならどうだろう。

布切れ一枚なので嵩張ることはない。

しかしこの保温への期待値である…!

温かそう…!


何よりデサントのこれ可愛い。


打つ時にこのゴムから指を外して、袖だけに捲っておくことができる手軽さ。

打ったらすぐまたゴムに指を通せば手は守られるというわけだ。


何これ冬必携アイテムじゃん。


ネックウォーマーとニットキャップは持っているので、これで防寒対策は完璧である。


あとは当日これを全て着込んで果たして動けるのだろうかという問題があるのだが、それについては今更考えてもどうしようもないことなので当日着てみて何とかしたいと思う。

(詰めがアホの子)


モコモコしすぎてミシュランみたいにならないだろうか。

それはそれでゆるキャラみたいでいいか。


来週は何とか死闘を制してきたいと思う。