平成が始まりし8月16日。
私はこの腐敗した世界に堕とされた。
(突然の月光)
誕生日の日に仕事?
日本が祝日にすべきこの日に?
こんなもののために生まれたんじゃない。
(抜けない月光)
仕事なんてしてる場合じゃない!
そう!
パーティだぁぁぁ!
(定時目指してめちゃめちゃ仕事した)
しかし我が家は共働き。
平日はお互いに忙しい日々。
極めつけはこの日、妻超残業。
もはや夫の誕生を祝っている場合ではない。
(1週間冒頭から疲労)
32歳の誕生日を迎えたこの私。
誕生日には何らかのテーマ性を求めがちだ。
20歳の誕生日はドラマチックだと思う。
ハタチ。
お酒も飲めるし大人の仲間入りを果たすメモリアルな1日。
25歳もなかなかだ。
アラサーに向けて折り返しになる年。
20代を大切に過ごそう。
そんな決意めいたものを抱いたりする。
そして30歳。
20代という最上級のブランドを失い人は三十路へと足を突っ込む。
老いることも
死ぬことも
人間という儚い生き物の美しさだ
老いるからこそ
死ぬからこそ
たまらなく愛おしく尊いのだ
そんな煉獄さんの熱い言葉を反芻し、年齢を重ねるということは美しいことなのだと新たな価値観をその身に刻む。
そして32歳を迎える今宵!
私は思う。
来年はゾロ目だなぁと。
(アホの子)
正直30歳を終えると誕生日に多くを見出せない。
メモリアル感が薄くなっていく実感がある。
しかし毎日を全力で楽しみたいこの私だ。
いくら忙しくたって!
いくら平日だって!
いくら仕事だって!
この誕生日を楽しむことは譲れない!
(仕事をしろ)
しかし定時で終わったのはこの私のみ。
優秀すぎる人間の末路である。
(暇)
鬼残業から帰る妻に
『誕生日だよ!さぁ祝え!』
これはもうDVにあたるわけだ。
するとどうだろう。
これはもうセルフプロデュースしかないではないか。
(諦めるという価値観がない)
明日も仕事な上まだ1週間初日であることも考慮してそれなりに控えめに買い出しを行うこととする。
さぁ始めよう!
ささやかなすき焼きと焼肉を!
肉を味わうべく赤身の薄切りを!
脂身を味わうべくサシの入った薄切りを!
卵に絡めて頬張り白米を掻っ込む!
この幸せ!
まさに誕生日!!!
そしてタンもさりげなく焼く。
少し焼きたかったのだ。
牛タンってパーティー感あるよね。
(そんなことはない)
このパーティーのポイントはその全てが私のお小遣いで賄われていることである。
家計を全く圧迫しない!
コロナ禍で飲み会もないのだ。
友人と会う機会もないのだ。
お小遣いだって余るというものだ!
世の中の旦那諸君。
3万円はこういう時のためにある。
(お小遣い平均ど真ん中)
意気揚々と肉を買って帰った私は帰宅するや否や白米を炊き始めた。
そして少量なのですき焼きのタレは買わず、割り下の仕込みを始めた。
あんなものは醤油、砂糖、みりん、水で完成である。
義務教育を受けていれば誰でも作れる。
家事を片付けていると、残業を終え疲れ切って帰ってきた妻。
そんな妻へ上機嫌に伝える。
『残業の疲れが吹き飛ぶ誕生日になるよ!』
ここで気をつけてほしいのは誕生日はこの私であるという点のみである。
(叙述トリック)
『冷蔵庫は見ちゃダメだぞー!』
もうどういうモチベーションで自分の誕生日を祝おうとしているのかが分からない。
子供たちを寝かしつけセルフプロデュースのパーティーが幕を開けた。
どぉぉぉもぉぉぉ!
飯テロリストでぇぇぇす!
(この上なくウザい)
もちろん白米にものせる。
この白米もう国宝なんじゃ…
そしてタンも焼く。
プリップリやないの…
とにかく食べたいものだけを手っ取り早く具現化した突貫ささやかパーティー。
ド平日に急ごしらえのセルフプロデュースにしては上出来である。
そしてNOケーキNOバースデー。
大好きなFOUNDRY。
ここのフルーツタルトは本当に美味い。
旬のフルーツがいつも出てくるし、作りが凝っていて食べていて楽しい。
このメロンタルトなんてスポイトにブランデーソースが入っているのだ。
豊かな香りに味変しながら楽しむことができる。
すごく楽しい誕生日であった。
妻も言っていた。
『幸せだなぁー!』
(肉を頬張りながら)
※誕生日は妻ではない
僕は言った。
『良い誕生日になったでしょ!』
※叙述トリック
一緒に祝ってくれる人がいるのだから幸せなものだ。
ちなみに今度休みが合う日に妻は誕生日パーティーを開いてくれるらしい。
誕生日パーティーが2回も!!!
神田うのかよ?!
(結婚式じゃないパターン)
これもセルフプロデュースのいいところだ。
少し良いお店に1回飲みに行くのと同じぐらいでこんなに楽しい誕生日をセルフプロデュースできる。
みんなもっと真似するべきだと思う。
これもまたおうち時間の良い過ごし方なのかもしれない。
32歳もいつも楽しむ気持ちを忘れずに良い一年にしたいと思う。
ちなみにどうぶつの森のみんなもお祝いをしてくれた。
私の私服が前夜の花火大会を全力で満喫する服装になっているので世界観が行方不明であったことが悔やまれる。