登山の魅力について
プロフィール写真から伝わっていると嬉しいのだが…
登山が好きだ。
(壁ドン)
山は素敵だ。
圧倒的非日常。
圧倒的自然。
圧倒的デトックス。
道中確かに苦しい場面もある。
それでも頂上にたどり着いた時の達成感。
困難を一歩一歩乗り越えた気持ちよさ。
これは人生の縮図ではないだろうか。
頂上からでしか見えない景色がある。
人生に置き換えるとその景色を見るのは難しいことなのかもしれない。
しかし山は一歩一歩積み重ねることでその景色を見せてくれる。
頂上の景色は格別。
疲れの全てが吹き飛ぶ体験が頂上では待っている。
そんな非日常体験を与えてくれる登山が好きだ。
30歳の挑戦
この話は2年前に遡る。
中学時代から20年近くの付き合いになる友人と話していた。
『俺たちももう30歳だな』
非常に感慨深い。
中学時代、あの校庭で無邪気に遊んでいた僕らも酒を飲みながらそんなことを話す年齢になったのか。
『30歳の節目に何かに挑戦したくね?』
思い出話に花を咲かせる暇もなくファイティングスピリッツをむき出しにしてくる友人たちが僕は大好きだ。
(全然平和じゃない)
こういうチャレンジャー精神みたいなものが人生に刺激をもたらす。
刺激的な人生というのは素敵だ。
友人がポツリとこんなことを言い出した。
『富士山登山ルート3776って知ってるか?』
僕たちの挑戦はここから始まった。
まさかあんな恐ろしい1日が待っているとは。
この時は誰も知る由もない。
(B級作品)
富士山登山ルート3776とは
言わずと知れた日本を代表する山。
富士山。
毎年多くの人がその頂上を目指し登山する。
皆さんも一般的な富士山を想像してほしい。
5合目までバスで行って、そこから和気藹々と登山を楽しむ。
僕も富士登山はそのイメージだった。
日本一高い山と言えど、5合目まではバスで行くのだ。
登山初心者から上級者まで。
広く愛されるのが富士登山。
そのイメージは僕も持っていたし、間違っていないと思う。
しかし僕は器の小さい人間なので問題提起もしたいのだ。
『それで本当に富士山を登頂したと言えるのか?』
(言える)
5合目まではバスを使っているわけで。
10合目が頂上とするならば、半分はバスなわけで。
富士山の標高3776メートルの全てを味わったと言っていいのか?!
(言っていい)
僕はあえてここで言いたい。
そんなもの富士山登頂とは言えない。
(言える)
(炎上しないで)
(記事の趣旨的に許して)
(山の楽しみ方は人それぞれ)
(みんなの心の中にみんなの頂上がある)
さて、世の中いろいろな人がいるので予防線たっぷりでお届けしたいと思う。
(私のハートは薄はりグラスです)
しかしそうなると1合目から登れば登頂と言えるのか。
それでもなお少しだけ標高があるのだろう。
ここまで言ってしまったのだ。
もはやそれすらヌルい。
標高3776メートルを味わい尽くす。
そのためにはもう標高0メートルから登るしかないのだ。
文字通り登頂である。
頂へ登るのである。
0から。
3776へ。
そんな狂気の登山ルートがこの世には存在するのだ。
富士山 登山ルート3776
~富士山へ、0からの挑戦~
富士市観光課が企画している狂気じみたルート。
それがルート3776だ。
(褒めています)
これを企画した人の心中は察する。
富士山という圧倒的なキラーコンテンツを有する富士市。
しかし日本を代表する山が故、企画も出尽くしていたのだろう。
そんな中上司から言われたに違いない。
『今年こそ観光課で企画ぶち上げるぞ!』
『富士市を我々観光課でリードするのだ!』
『そして大きい予算を取るのだ!!!』
上司だって何かを成し遂げたい社会人の端くれだ。
気の弱い部下一同は悩んだだろう。
企画を出してはそれを突っぱねられる日々。
『そんな企画もう見たことある!』
『インパクトが弱い!やり直し!』
『お前らのやる気見せてみろ!』
疲労困憊の部下達。
コンテンツで溢れる現代社会。
これ以上何をすればいいのだ。
生み出す苦しみ。
生み出す苦悩。
生み出す葛藤。
そんな負の感情が苦しみを顕在化させてしまった。
俺たちを苦しめた富士山。
俺たちを苦しめた上司。
登山者たちよ。
俺たちと同じ苦しみを味わうがいい…!
そうして生まれた苦しみの権化。
それがこのルート3776なのだ。
(全て僕の妄想です)
だっておかしいでしょう?!
全長のイメージがこれだよ?!
空撮で表現するという思い切りの良さ。
登山なのに山以外の部分が多すぎる。
上3分の1程しかその雄大な富士山はない。
逆に雄大さが霞んでいる。
富士市の苦悩が見て取れるではないか。
富士山の使い方について今一度検討をした方がいい。
(興奮しながら褒めてる)
スタート地点は最寄りの海である。
海抜0メートルからスタートさせるのだからそうするしかない。
グーグルマップで近くに海があるのを見て閃いたに違いない。
疲れた人間というのはこのように突拍子もないことを考え始めるのだから危険である。
これを読んだ上司の方々はくれぐれも部下にリフレッシュする機会を与えるようにしてほしい。
一応、富士市もこのクレイジー感を薄めようとポップな観光マップも用意している。
ぶらっと歩こう!
と銘打って観光地のようなものも散りばめているのだが。
その正体はこれなのだ。
ぶらっと歩くような規模ではない。
『いただきへの、はじまり 富士市』
フォントで可愛らしく見えているがメッセージが重い。
頂への始まりは文字通りの海である。
登山者へのサディスティックな笑みのようなものが透けて見える。
(嫌いじゃない)
こんなクレイジーな登山コースではあるがもちろん1日で踏破するものではない。
富士市推奨のモデルコースがこれだ。
3泊4日でのしっかりとしたコース設定。
このあたりで部下たちも気持ちを持ち直したのだろう。
1日目:市街地をウォーキング
2日目:山のお膝元キャンプ場までハイキング
3日目:頂上手前の山小屋まで登山
4日目:頂上へアタック
見事なコース設計だと思う。
運動強度を徐々に上げていく無理のないコース設計。
なるほど、ルート3776悪くないではないか。
しかし、ここで我々の様子がおかしくなり始める。
『3泊4日の行程で休みを取るのは厳しいな』
それなりに中堅社員になっている我々。
30歳働き盛りにリアルな制約が襲い掛かる。
よし!
この行程ならいけるな!
簡単に1日消滅。
2日目のゴール地点として推奨されているキャンプ場を1日目で目指す。
2日目に富士山山小屋まで向かい、3日目で登頂という圧縮コース。
何も問題はない。
これは30歳の挑戦なのだから。
(錯乱)
ここでご注意いただきたいのは登山をナメてはいけないということだ。
(どの口が言う)
準備を怠っては命に関わるし、迷惑をかけてしまう人もたくさんいるだろう。
この圧縮コースの踏破に向けて準備は万全に整えた。
ジムではトレッドミルの傾斜をつけて日々トレーニングを行った。
予行練習として瑞牆山での登山も直前で行った。
物資確認もメンバー全員で行い準備は万全。
こうして万全の準備をしていても登山には危険がつきまとう。
くれぐれも登山に臨む際は万全の準備で臨むようにしてほしい。
そんな自然の脅威を我々も味わうことになるのであった。
(予告:マジで召される5秒前)
こうして我々の30歳の挑戦が幕を開ける。
富士山 登山ルート3776。
次は1日目の様子をお届けしよう。