辻村深月 著
傲慢と善良
あらすじ
婚活アプリで出会った
西澤架(カケル)と坂庭真実(マミ)
結婚披露宴の準備を進める中
真実が忽然と姿を消した
真実から
「誰かに見られている気がする」と
相談されていた架は
警察にストーカー被害を訴えるも
事件性はないと判断されてしまう
架は真実の両親や姉
過去のお見合い相手に会い
自力で手がかりを探そうとするのだが…
感想(少々ネタばれ)
サスペンス風だけど恋愛小説
人間の本質がリアルに描かれていました
最後まで一気読みです
結婚もそうだけど
婚活って、生きるって、難しい
物語が進むにつれ
主人公カップルそれぞれが持つ
傲慢さと善良さが
徐々に引き出されてきます
それは
誰しも思うような事
考えるような事だったりするので
読みながら私も傲慢な人間だったのか、、、
と、苦い気持ちになりました💦
前半は、架(カケル)の視点で描かれています
自分主導で婚活を進めるアラフォー
表面的には好青年ですが
私は端々に無神経さを感じましたね~
「女性に不自由した記憶はない」
と自分を振り返ったり
自分の婚約者に点数を付ける女達と
友達付き合いが続いていたり。。。
いただけませんな
こんな男
即、サヨナラだよ!と思いましたが
それはきっと当事者じゃないからですね
後半は、真実(マミ)の視点に変わります
真実は善良な良い子
婚活のスタートは親主導でした
善良ならいいじゃないかと思いますが
善良=無知、世間知らず
これはこれで結構やっかい💧
さぞかし生きづらかろう。。。
そして
女子からヒンシュクを買うタイプ
案の定、架の女友達一同から
嫌われてしまいます
真実もまた一同を嫌いなのでお互い様なのに
真実が責められている感が拭えないのは
味方になるべき未来の伴侶・架が
一同側と同じ空気をまとった人
だからなのではないでしょうか
まるで
別の惑星の人と婚約してしまった
みたいな…
物語の中で常に悶々としていたものを
真実のお見合いを世話した小野里が
辛辣な言葉でしっくりと落とします
これが結構、胸にささる
「“相手にピンとこない” この正体は
その人が自分に付けている値段」
付けた値段に見合う相手でなければ
ピンとこない」
「ささやかな幸せを
望むだけと言いながら
自分に付けている値段は皆、相当高い」
あぁ、人はみな傲慢❗
意外な結末で物語は終わりますが
読んでいる私自身
人には知られたくないような部分を
掘り起こされたような一冊でした
誰しも持ち合わせているであろう
傲慢と善良
婚活関係なく、大人におすすめの一冊