綴る必要ない昔の記録

まるで悲劇のヒロイン振るはなし


5才  月に何度だったか
週に何度だったか
幼児学級があった

母親教室を兼ねての教室
お婆ちゃんと出席の私は、お遊戯しない
先生に言われても絶対しない

    お母さんと向かい合って両手を繋いで
    お母さんのお腹の辺りでクルンと回転

出来るわけない
お婆ちゃん、腰が痛いのに

なのに先生、やりなさいって
言うこと聞けない子
って…先生…

お婆ちゃんの前で言えるわけない
何も言えなかった
5才のわたし


6才幼稚園
毎日毎日朝になると
お腹が痛かった

毎日毎日、痛いから行けないって
泣いて母親を困らせた

引きずられて
幼稚園の玄関前
泣きじゃくる私
先生も園児も
みんなみんな見てる
先生に引き渡される私
痛い
本当にお腹痛いのに

毎日私の首に縄跳び巻いて
私は犬役
よつんばで、ひっぱられる園内
膝っ小僧はいつも真っ黒
気付かない親
気付かない先生
言えない私

毎日毎日お腹が痛い
本当に痛かった
朝になると
痛かった


7才小学生
誰も友達じゃない
一人でいい
ごっこは、からかいへ
いじめへ


6年間の運動会
記憶がない
全然ない
一つだけある記憶
巻き寿司が入ったお弁当
兄と二人で食べてる
黙々と
運動会は、
それだけ


13才中学生
引っ越し

変わろう、変わるんだ
友達が出来た
今も友達

変われば変わるんだ
グレーの世界に
色が付いた瞬間

でも、親は変わらないもの
    産むんじゃなかった
    早く出ていけ
    18までしかこの家に置く気はない
     脛は、かじらせない
     憎い子
     産みたくて産んでない
     ホントは二十歳までの命だった

私何したのかな

友達がいたから
兄がいたから
笑顔でいられた

夢の世界を生きた
幻想
想像
いつも夢みるメルヘン
へらへらと生きた
逃避


16才高校生
出たい出たい早く出たい
早く家を出なくては…
思い続けた3年間
慟哭

なりたい夢は捨てて
逃げ出した


もっと
大変だった人は
いくらでもいる
沢山いる
これくらいで、凹んだりしない人も
いくらでもいる

わかってる
だから、何?
だから、これくらい?
だから、我慢しろ?


友達がいたから
兄がいたから
案外笑顔でいられた

不器用な親だったのか
愛が無かったのか
でも、もう、いい
捨てられた訳じゃないから
もう、いい

だけど
私を形成していったものは、
多分 そこにある


愛が欲しい
愛が欲しい
溢れる程に
そして
いっぱい
もらっても
もらっても
満たされない

そして
不安が常に
私に覆い被さり
もっと
もっと
って、
愛情を欲しがる


穴が
空いてる
どこかに

だから、埋まらない


こんな私に
愛をささやく人がいた

愛を上手にささやく
だから、きっと
埋まる

埋まる
埋まる

埋まってた

筈だった


その愛は、
魚の目をした乾いた言葉だった

やがて
埋まっていた筈の

ポロポロで…
どこも穴は開いていない筈

だけど、
前よりも
こぼれるスピードは
加速した


だから、
埋めようとしただけ


ただ、強くなれたら
これくらいのことは
はね除けられた

強くなれなかったから
こうなった

全ては、自分自身が招いたこと

自業自得


それがどうした

掃き捨てて





むかしむかしのこと

なんで