T&E系カードが旅行サービスに強いカードという意味であるというのはウソ。 | クレジットカードミシュラン・ブログ

T&E系カードが旅行サービスに強いカードという意味であるというのはウソ。

 T&E系カードといえば,アメリカン・エキスプレス・カードとダイナースクラブカードを指すことが多く,たまにこの2枚に加えてJCBを入れることもある。

 

 では,T&E系カードとはなんだろうか。T&Eとはトラベル(旅行)&エンターテイメントの略称であり,カードの生い立ちから,アメリカでは一般消費者向けの銀行系カードと区別され,主にビジネスマンの利用を見込んで,1回払いで1回の支払額が大きい用途をメインとしていたカードになる。また,アメリカでは,リボ払い中心だった銀行系が年会費を徴収しないのに対し,T&E系カードは年会費を必要とした

 

 また,カード番号付与により,T&E系カードを区別する場合がある。カード番号は,ISO7812で定義されており,頭の番号で産業別にカテゴリー分類されてる

 

 http://www.merriampark.com/anatomycc.htm

 http://www.answers.com/topic/iso-7812

 http://www.beachnet.com/~hstiles/cardtype.html

 

1XXX:エアライン系
2XXX:エアライン系とその他の産業
3XXX:トラベル&エンターテイメント
4XXX:銀行と金融
5XXX:銀行と金融
6XXX:商業と金融
7XXX:石油系
8XXX:電気通信系
9XXX:国家

 

 アメックスの3761,ダイナースの3691,JCBの3540がT&E系カードとして分類されるのは,ISOの規定による。一方,VISAとMasterCardは,4XXX系と5XXX系であり,銀行系として分類されることが分かるかと思う。ただ,ISOの分類はあくまで国際標準として規格化されたものであり,国内のみで通用するハウスカードに付与された番号は,これによらないことが多い。

 

 したがって,カード分類上のT&E系カードとは,ISOで規定された産業分類とカードの利用形態から旅行やエンターテイメント等,1回払いの加盟店を中心に利用されることを想定しており,一義的には想定される利用形態と大きな与信枠を意味している。JCBについては,国際カードとしては,アメックスとの提携からスタートしたので,3XXX系のカード番号を使っていると思われるが,実際のところはどうなのか興味があるところである。

 

 T&E系カードが,旅行やエンターテイメント等サービスに強いと一般的にいわれはじめたのは,よく分からないが,クレジットカードの歴史をたどってみると1977年のアメックスカードにおけるセンチュリオン・サービス付帯によるものではないかと思っている。ちなみにセンチュリオン・サービスとは,300ドルの年会費で,スペシャルルームの予約,劇場チケット,ゴルフやテニスの予約,速記サービス等の特典が用意されていたようである。

 

 基本的なT&Eサービスとは,高い与信額であり,ダイナースはこれを忠実に守り,アメックスは広告だけは高い与信をにおわせているものの,実際の与信額は一部の会員を除くと,銀行系ゴールドよりも低い場合が多い。

 

 アメリカでのクレジットカードの歴史と日本とのそれとでは大きく異なる面があるが,最近でのT&E系カードとはISOの規定により分類されている程度で,旅行サービスに強いかどうかは,十分に他のカードと比較した上で検討する必要があるだろう。確かに,T&E系カードは,旅行部門に力を入れているのは間違いなく,内容でもT&E系カードとはいえるものの,与信額の高額枠を含め最高のT&Eカードとは言い難い面があるのも,また確かである。