5月13日(ドイツ時間11時30分)から、ベルリン国立歌劇場-Staatsoper Unter den Lindenの記者会見が行われ、13時には公式サイトに載る。ダニエル・バレンボイム氏の後を継ぐ新音楽総監督Christian Thielemann-クリスティアン・ティーレマン氏が、シュターツカペレ・ベルリンと今後どのような作品を取り上げるか、クラシック音楽業界の関心を集めるでしょう。しかし忘れてはならない、バレンボイム氏に基づく計画は2027年まで。ティーレマン氏の口から「2025年にフル稼働」とあったが、最初の数年間は地均しと考え、濃厚ティーレマン色に染められるのは2027年9月以降と私は見ている。勿論、シュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者就任に先立って、前例のない快挙(ブルックナー《第8番》ゲスト指揮)を成し遂げたこともあるが、バイロイト祝祭管弦楽団を通じて分かり合えていた過程もあり、ドレスデン時代は別格。だから、双方のGMDに決まった時は驚いた。

 

↓2024年9月19日に《Christian Thielemann - Richard Strauss》が発売される。

 

 

【2023年1月6日 バレンボイム氏の御言葉】

「残念ながら、私の健康状態はこの1年で著しく悪化しました。一般的な音楽総監督に当然求められるパフォーマンスを、提供出来なくなりました。つきましては、2023年1月31日をもって辞めさせて頂きます。何卒ご了承下さいますよう、お願い申し上げます。文化議員に前述の日付で契約を解消するよう、要請します」

 

発表された新シーズン2024/2025ベルリン国立歌劇場とシュターツカペレ・ベルリンを眺めたけれど、私自身(いつ手術すべきか読めない為)そう焦らず(バイロイト音楽祭も同時にリサーチ)、2025年は貯蓄の1年にしようと考えている。

 

2024年は1月のワーグナー《トリスタンとイゾルデ》フォークト氏&ニュルンド氏の公演に続き、シュターツカペレ・ドレスデンとのマーラー《第8番》ティーレマン氏の送別会に集中したい。今までに接した金字塔的名演は、数々の『ワーグナー作品』、ブルックナー・ブラームス・シューマン・ベートーヴェン『交響曲全集』(ウィーン・フィルとは初の指揮者1人によるブルックナー交響曲全集【11作品】完成※2024年ブルックナー生誕200年を記念するプロジェクトとして2023年にリリース)、ベートーヴェンの最高傑作の1つ《ミサ・ソレムニス》ドレスデン爆撃戦没者追悼、100年に1度の奇跡と呼びたいシェーンベルク《グレの歌》に、2023年はマーラー音楽祭inライプツィヒとヨーロッパ・ツアーに組み合わせたマーラー《第3番》など。

 

 

【2020年3月《グレの歌》公演の記録】
「ザルツブルク・イースター音楽祭の一環として【狙いをつけられた】《グレの歌》再演」は、パンデミックによりキャンセルされた。もしかしたら、Blu-ray商品に向け映像収録が企画されていたかもしれない。その1ヵ月前に本拠地ゼンパーオーパーで開催された《グレの歌》3公演中2日目は感染者数がドイツで初めて1000人を超え死者数は0人→2人、3日目の翌日はドイツの全劇場が閉鎖されロックダウン。

3月8日 902人(0人)1日目 初日
3月9日 1139人(2人)2日目
3月10日 1457人(2人)3日目 千秋楽
3月11日 1567人(2人)ロックダウン
3月12日 2369人(5人)

 

翌月4月のザルツブルクが中止となった為、幸運にもアーカイヴ用として本拠地で録音されていた《グレの歌》はCD商品となったが、ここにティーレマン氏の御言葉を載せておきたい。「楽団史上、どの首席指揮者よりも多くの録音を(シュターツカペレ・ドレスデンと共に)残せたことを嬉しく思います」そして「クオリティを落とさず【如何に多く】の公演を熟せるか?」ではなく【どの程度】と、言うような話を以前インタビューで語られた。指揮者の【働き方に共感】=【自分の求める公演】と捉え、今後も検討を重ねプログラムを慎重に選びたい(海外旅行は高くつくので)

 

 

 

また、ティーレマン氏の信条と重なるバレンボイム氏の御言葉も忘れないよう記録。「音楽を理解する為には現実から離れるのではなく、音楽は人間の存在そのものを表現していると知ることです」「漠然と席について、音楽に身を委ねては駄目です。受け身では、音楽の魔法は利きません」は仰る通り、ひとたび魔法を経験すると一層お金と時間を大切にしたくなる。どの公演に時間を割けば自分の未来が更に豊かになるか。衝動的にチケットを買ったり、無意識に時間を捨てたりしないよう注意したい。

 

2016年から始めたクラシック音楽オペラ独り旅。意識しているのは「信用を積み重ねる」と言うこと。ドイツで得られるリターンは通えば通うほど増え、相手の国だから殊更に感動。2024年1月の時は、1万円札が3倍の3万円札になったかのような収穫。ティーレマン氏指揮《トリスタンとイゾルデ》公演の時間対効果も高かった。

 

 

以前はクラシック音楽オペラを知る為に雑誌や本に頼ってきたが、何時の間にか一次情報を自ら取れるようになった。直接体験を通じ得られるものは確かであり、人脈力資産を増やしながら信用出来る二次情報を整理すると点と点が繋がる。また、プログラム1つ(絵画1点)を鑑賞するのではなく、24時間アートな時間を過ごせるよう今後も前もって計画を立てたい。パネルディスカッションでは聴講者として参加したり、2018年《ニーベルングの指環》ツィクルス公演(物凄いチケット争奪戦)の時は合間に企画されたニーベルングの指環レクチャーを受講したり。

 

 

とは言え、海外旅行にトラブルはつきもの。今年1月は5泊(2公演のみ)の予定が、ドレスデン空港30時間ストライキにより1泊プラスと660,000円を超えてしまった。帰国後はクリーニング店へ直行し、ロングのダウンコートやタキシード・ジャケットやドレスなど約10,000円と真冬ならでは。しかし、保険に加入していたので(実は他にも大変なことがあり)約160,000円を受け取ることが出来た。

 

次回は良い季節に飛べるでしょう。その前に、大学病院へ行き、主治医から幾つか御話を頂き、ティーレマン氏の送別会に向け準備をしようと思う。常に「相手の人生は変えられないが、自分の人生は変えられる」と自分に言い聞かせているが、世界の第一線で活躍するティーレマン氏の華麗なスケジュールの中には生きるヒントがあり、私の心を安定させ豊かに満たしてくれる力もある。素晴らしい送別会&誕生日になりますように。7月の公演の初日は、Gustav Mahlerの誕生日。

 

↓今年、我が家の庭に咲いたイエローの牡丹とピンクの牡丹。