今日は、詰まらぬ悩みを呟きたいと思う。昨年のチケット発売開始と同時に手に入れたグスタフ・マーラー『第8番』(3公演)チケット3枚は、既に完売となっている。ホテルは押さえてあり、後は航空券を購入するだけなのだが7月となると非常に高いと言うより高過ぎる。当初の計画では今年1月にドレスデンへ行くつもりはなく、「真冬に旅行される皆様どうぞ楽しんできて下さい」、と他人事だった。

 

ところが、電話で師匠に今シーズンのチケット獲得の報告をすると「むしろマーラー『第8番』ではなく、ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』を選ぶべきだったのでは?(年に1回の独り旅なら)」と信じられない一言にショックを受けた。自分としては、シュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者ティーレマン氏の送別会(マーラー)に参加することが何よりも大切なことだと信じていたので放心状態。

 

それから間もなくして、贔屓のオーケストラは「来日中止になるかもしれない」と言う噂を耳にし、とにかく2枚くらい『トリスタンとイゾルデ』のチケットをと慌てて購入。結果的に、自分の決断に間違いはなかったと今になり思う。しかし、真っ先に入手したマーラー『第8番』3枚のチケットは?現時点では、返したくないし誰かに譲りたくもない。ただ、ここまで航空券が値上がりすると嫌になってくる。

 

ドレスデンの滞在日数は76日と長く、今更もう観光する気持ちになれない。ベルリン・フィルの本拠地に行けるなら、初めての経験になるだろうと検索しても7月は閑散期。お隣のライプツィヒ・ゲヴァントハウスも、特に鑑賞したい公演はない。そもそも、ライプツィヒやベルリンを往復すると10,000円は掛かる。定期演奏会3公演の為に、300,000円前後の航空券は甚だ疑問だ。

 

何時まで悩むべきかアメリカ人弁護士旧友に相談すると、「6月中旬まで検討しては?」と返ってきたが、その頃には満席になるのでは?それもそれで、諦める理由の1つになるかもしれない。かれこれ半年は答えを出せず、果たしてマーラー『第8番』を鑑賞する価値はあるのかないのか。

 

今年9月は、ティーレマン氏とシュターツカペレ・ベルリン時代の新たな幕開けとなる。多くの聴衆にとって注目の的に違いないが、シュターツカペレ・ドレスデンとの相性を知ってしまった私は、未だ素直に喜べない。彼らが新しいシェフの解釈を形にするには、少なくとも3年は掛かるでしょう。

 

ちなみに、3月4月はリヒャルト・シュトラウス『影のない女』プレミエを含め4公演がゼンパーオーパー・ドレスデンにて御目見えする。その公演を鑑賞する為に、日本から行く仲間達は何人もいる。でも、マーラー『第8番』(ティーレマン氏の送別会)は定期演奏会の色が濃く、地元やドイツ在住の聴衆がDBやバスを利用し駆けつけるのでは。日本在住の日本人は、ごく僅かだと思う。そうこうするうちに、1席もエコノミーがなくなれば問題解決。

 

マーラー『第8番』規模が大きい為『千人の交響曲』と呼ばれるが、たった1時間15分で終わってしまう。3公演を鑑賞しても、4時間未満。1月のドレスデン滞在中は毎日とにかく雨降りでパッとしなかったが、『トリスタンとイゾルデ』公演を8時間も鑑賞することが出来た。ストライキによる欠航に延泊を思い出すと、そう簡単に次を決断出来ない。卒業式を欠席したくないけれど。