今日、病棟内での引越しをした。いわゆる無料部屋に空きが出たのだ。1日3万円の病室代は大きい。これですこし安心!長生きするぞ(冗)
昨日、本来ならばレントゲンで胸水が上がってきたら胸水を抜くことになっていたのだが、胸水の増加はさほどでも。気胸のリスクを負ってまで胸水を抜くより、来週月曜日まで様子を見ることになった。ということで突然空いた午後の時間。夫が家に帰ろうという。主治医に聞くと今日なら僕がいる、明日はいないし週末に近づくほど不測の事態に備えにくい。では行っておいでと一発OK.。
昨日は天気予報もまったく見てなかったのに澄み切った快晴。湿度もなく、家の前にあるレインボーブリッジビューのデッキを散歩するとそよ風が本当に気持ちがよい。そういえばこの景色が気に入ってこのマンションに住むことにしたのだったな。神様はこの景色を私にもう一度見せてくれようとしたんだ。
家は良い。この家でどれだけの時間を過ごしたことか。いや過ごせたのは病気になったから。元気なときは朝から晩まで仕事ばかりで、週末はイタリア語を教えてほぼ家にいなかった。大切なものの価値は手放す瞬間に分かるものかもしれない。
昨日、病院に戻ってからが大変だった。いつもの「カエル」が鳴き始めたのだ。私はカエルと呼んでいるものの正体は、肺門リンパか縦隔リンパの辺りから来る狭窄音。がんが大きくなっているからと先生は言った。カエルが来るともちろん息苦しいのだが、それ以上に精神的に嫌なのだ。
いなくなることはないから受け入れなければ・・・でも分かっちゃいるけど受け入れられない。
しかもずっといるわけではなく、痰を出したり、ステロイドを使うとそれからしばらくは来ない。頻度としては1日1-2回程度なのだ。一種の発作的な。
病院に帰って機嫌よく晩御飯を食べようとしていると、カエルがグアグアと言い出した。我慢して食べようとするが気になる。1時間ほど必死で咳をして痰を出す。これは、体力を失うので、先生はあまりしてはよくないといってたことなのだが。でも出しても出しても痰は止まらない。ふと気がつくと頭皮から汗がぐっしょり。どうやら精神的なものだけはないらしい。本当に苦しくなってきたようだ。我慢した後、看護師さんにステロイドをお願いした。
ステロイドが入ってベッドに身体を軽く横たえる。少し我慢しすぎたか、このときかなり「死」という現実がまぶたをよぎった。こうやって苦しくなって死んでいくのか、いやこれぐらいの息苦しさはこれまでもあったとか、いろいろ反芻。
それで思いついたこと。今こういう苦しいときにどう過ごし、何を考えるべきか。
一番気持ちよくなったのは、自分の大好きなものを思い起こすこと。
慶良間のグラデーションの美しい海とかわいい魚
大雪山のどこまでも広がる美しい紅葉
軽井沢の新緑
トスカーナのなだらかで海のように広がる丘
ウンブリアの素朴な教会とフレスコ画
南イタリアの白い街と青い空