クロム「春ベルナデッタ、一発で引けたよ。絆を感じた。ありがとう」

ベルナデッタ(バアル)「当然ですよ♪」

ベルナデッタ「精神医学のトピックは読書コーナー以外でも扱っていますが、ベテランの精神科医が『うつ病』の『大流行』に警鐘を鳴らす一冊です。精神医学ジャンルではベストセラーになっているみたいですよ」

クロム「『カチュア』って言うと……」

ベル「触れざるを得ませんね(苦笑)」

ミネルヴァ「#FEHクイズ!」

クロムベル「ギャー」

クロム「でも、カリカチュアって風刺画って意味だから、カチュアって名乗りもふざけつつ世相を風刺するキャラクター、神なのですよというアピールだったんだな。深いわ」

ベル「ふざけたふりして本当に恐ろしい女神ですからね」

クロム「昨日のワグネル謀反は一瞬で鎮圧されたが」

ベル「ミネルヴァが関わっていると思うとこれであっさり終わりとは考えづらいですよね」

 

ベル「本の内容を紹介しますと、精神医学の知識がないと分かりづらい部分もありますが、SSRIは本当に効く薬なのか?三環系抗うつ薬の方が確かに副作用は強いけれど確実に効くのではないかと」

クロム「これは他の精神科医からも聞かれることだな」

ベル「抗うつ薬の打率は3割と言われます。逆にそのために種類が多くて合う薬を見つけていくのだと」

クロム「いわゆる新型うつについても喧伝されて10年以上経つが、いまだにただのわがまま病なのか、うつではなく自我が関連しているとか、いやうつ病の亜種なのだとか、議論がまとまらないな」

ベル「DSMからは削除される方向とは聞きますが、著者はそのDSM……うつ病をはじめとする精神病を機械的に判断する基準……に対して批判的ですね」

クロム「マクドナルドよりメンタルクリニックの方が多いというデータには衝撃を受けた」

ベル「幹線道路沿いにメンタルクリニック通りが全国各地にある、と」

クロム「儲けるのはいいがきちんと治療して欲しいよな」

ベル「まぁ、おじいさまが高校時代に誤診された時と比べれば、開放的な診療科にはなりましたよね」

クロム「それでもいまだに薬漬けにする医者が多いという批判はネット上でもされるが」

ベル「たぶん、患者が薬を増やしてくれと言って断れない医者も多いのだと思いますよ。診療科の性格上、患者を怒らせると大変ですから」

クロム「シリアなど、明日生きられるか分からない内戦が続く国では一人も自殺しないという話を聞く。人間ってどういう生き物なのだろうと考えさせられるエピソードだ」

ベル「さて趣を変え、日本でもすっかり格差社会になったと言われて久しいですが、いわゆる『上級国民』が日本の政治についてどう思っているか、調査して分析した学術書です」

クロム「まず、編者も述べているように、回答率の低さが気になった。色々なコネを伝って何とか回収率20%だものな。貴重なデータとはいえ、回収率20%では『エリート』の全体を示した回答なのかどうか」

ベル「そこを突っ込むと本書の全否定になってしまいますが、その疑問は否めませんね」

クロム「当たり前と言えば当たり前だが、エリート、即ちお金持ちほど日本に格差は存在しないと思っていると」

ベル「政治に対する不満度もエリートほど低いですよね」

クロム「あ、エリートっていうのは現役の政治家とか、国家官僚とか、経済界の大物を本書では指している。これだけだと保守的な属性だが、一部共産党の幹部や市民活動家など、左派も含まれている。左右のイデオロギーが絡むアンケートでは見事に両極端に分かれているのが興味深かった」

ベル「折りしも、朝日新聞のオピニオン面にも同様のテーマが掲載されていましたが、エリートを含めて日本国民全体が男女格差の是正に肯定的なのに対し、政治家だけが動きが鈍い、と」

クロム「宗教右派の存在を指摘していたな。我々も度々取り上げている神道政治連盟などのな」

ベル「国民全体からしたらわずかでも、そのわずかな支持で小選挙区制は勝敗が決まるので、どうしても極端な宗教右派の支持を取り付けるためにその声を取り入れざるを得ない、と」

クロム「あとは政界でも経済界でも、世襲を当たり前としている価値観で育っている本人だから、ペアレントクラシー、いわゆる親ガチャに対する認識も鈍いと」

ベル「朝日新聞のコラムの紹介も混ざってしまいましたが」

クロム「このアンケートからも安倍・菅政権の官邸主導の弊害が見えていたな。40年前と比べると与党の政治的影響力が増していると」

ベル「マティアスはそれを憂いて安倍晋三の誅殺に及んだわけです」

クロム「ただの私怨ではなく」

クロム「ひとつ付け加えるなら、私の雑記の記事でも述べたように、官僚の政治的イデオロギーはこのアンケートよりよほど右翼だと思うぞ。『エリート』だからこそ、正直に答えずに模範解答的に答える回答者も多かったのだろう。それを考えると、ますますこのアンケートの難しさが見えてくるな」

ベル「アンケート調査全般に言えることですが、ダミー項目を入れるとか、そういった統計学上の処理を入れても、それ以前の問題で回答者の偏りや模範解答的に回答してしまう問題は取り除けないんですよね。そんなことを言ったら学問が成立しないと突っ込まれそうですが、21世紀なのですからアンケート調査や統計学も心理学の知見を取り入れてもっと進化を遂げるべきです」

クロム「新聞社の世論調査はもっとそれな。携帯電話にもかけているから高齢者に偏らないって言い訳しているけれど、コロナ禍の時に『この回答しているの、高齢者ばかりだよね?』って見えてしまったよ」

ベル「若年層がコロナをあまり気にしなくなったタイミングでの調査でも、『コロナは怖い』の回答が多かったですものね」

クロム「感染対策していますか?のアンケートも、模範解答的にしていなくても『とてもしている』と答えちゃうよなぁ」

ベル「アンケートの内容によっては同調圧力にもつながってくるので改善が急がれますね」