自分が好きではない言葉が一つだけ
それは、「頑張れ」という言葉。
日常的に耳にすることが多い言葉だと思うけれど俺はこの言葉がとても嫌い。
それこそ中学生くらいまでは普通に使っていたけれど、今では使うことはほぼ無くなった。理由はいくつかあるけどまず一つ。頑張れって言う相手って大体頑張ってね?って思うから。頑張っている相手に頑張れって言うのはどうしてもその人の頑張りを否定するような気がしてしまう。過労死とかもこういうところから生まれているんだと思う。
高橋まつりさんの事件のことを思い出してほしい。過労死というと誰にも助けを求められずに一人で抱え込んでしまい、そのまま仕事に従事して死んでしまう、というイメージを持っている人も多いと思うが、彼女は違った。彼女は、
「休日返上で作った資料をボロくそに言われた もう体も心もズタズタだ」(10月13日)
「眠りたい以外の感情を失った」(10月14日)
「生きているために働いているのか、働くために生きているのか分からなくなってからが人生」(11月3日)
「土日も出勤しなければならないことがまた決定し、本気で死んでしまいたい」(11月5日)
「毎日次の日が来るのが怖くてねられない」(11月10日)
「道歩いている時に死ぬのにてきしてそうな歩道橋を探しがちになっているのに気づいて今こういう形になってます…」(11月12日)
などと、はたから見たら危険な状態だとわかるメッセージを友人や母親に残している。彼女が社員寮の4階から身を投げて亡くなってしまったのが12月25日のことだから、彼女は2ヶ月も前から危険とわかるメッセージを周りに残していたということになる。彼女は2ヶ月も前から危険信号を発信していたのに、どうして亡くなってしまったのか。「頑張らなくてもいい」と言ってあげられた人間はいなかったのか。いくら考えてもまつりさんが亡くなってしまったのは事実であり、覆ることはない。
これを読んでいるあなたならそういったメッセージになんと反応するだろうか。少なくとも「頑張れ」とは言わないでほしい。
「頑張れ」と言っている方は応援のつもりなのかもしれないが、受け取った当人からしたら、「ああ、自分は
まだ頑張らなきゃいけないんだ」「自分の忍耐性に問題があるんだ」と受け取ったとしても不思議ではない。彼女の残業時間は、10月が130時間、11月は99時間だった。誰が見ても頑張っている。そんな相手に「頑張れ」というのは酷である。
あなたが今「頑張れ」と言おうとしている人間は、既に頑張っているのではないか。あなたが言おうとしている「頑張れ」はその人を追い詰めることになるかもしれない。「頑張れ」という言葉は、重い。この言葉を使う時は、相手の状況をしっかりと理解し、追い詰めることにならないかをよく考えてほしい。頑張っている人は頑張らない勇気を持つことが難しい。そもそも自分が頑張っていることに気づいてすらいない可能性すらある。そういった時に、その人を肯定し、頑張っていることに気づかせ、頑張らなくていい勇気を持たせられるような世の中であってほしい。