お兄ちゃんが、電話をくれた。


メモリー削除してたから、

一瞬、表示された番号が誰だかわからなかった。

でも、こんな時間に、プライベート携帯に電話をくれるのは

お兄ちゃんだってすぐ思えた。


きょうは会わない約束。


たわいもないメールは送ったけど、

それ以上は期待してなかった。


でも、電話をくれた。



嬉しかった…。



会えないのに、

電話をくれることがこんなに嬉しいなんて、

久しぶりの感覚だった。


お兄ちゃんの電話の声はとっても優しい。

隣でしゃべっているときよりも

なぜか電話を通して聞く声の方が優しく感じる。



電話した時間は

たったの15分。


でも、十分。



「明日、夜、行こうか」って。

言ってくれたから。


本当は「行こうか」じゃなくて「行くね」って。

会いたいから行くね、って。

言ってくれたらもっと嬉しいけれど。



多くは望まない。

私が「来て」と言わなくても

お兄ちゃんから「行こうか」と言ってくれたなら

今は、十分。


あしたは、何を話そうかな。