「自分が好きになった人には
 好きになってもらえない人だからオレ」

お兄ちゃんは、そう言いました。

笑い飛ばして次の話に移ったけれど、
少し、複雑な気持ちになりました。


「嫌がられるまで毎晩そばにいるから」


抱きしめながらそう言ってくれたお兄ちゃん
それから、本当に、毎晩、
私の気が済むまで、一緒にいてくれる。


嬉しいけれど、複雑な気持ちになる。
お兄ちゃんは、傷ついていないだろうか。


私は平気でお兄ちゃんの話をする。
それは、お兄ちゃんに対して、一線置くとともに、
自分にはがいるんだ、って再確認するため。

だから、お兄ちゃんは、
あの日から毎晩一緒にいてくれるけど、
本当におしゃべりをするだけ。

抱きしめることも、手を握ることも、
頭をなでることさえもない。

そして、私が酔っていたとしても、
きっと、抱きしめてくれるだけでしょう。


お兄ちゃんはそれでいいのだろうか。
私は、お兄ちゃんを、傷つけていないだろうか。


この状況を知ったらは傷つくだろうし、
この状況を続けたら、お兄ちゃんも傷つくと思う。
そして最終的に二人を失うことになったら、
私自身が傷つくことになるのは間違いない。

だけど、居心地が良い今の状況を、
抜け出すことが出来ずにいる自分。

どうしたらいいのか、どうしたいのか、
わからないまま、ことしも残すところ、
あと1週間になってしまった。