あたたかかった。

素直になれた。

不満も言って、思いっきり泣いた。

抱きしめられて、イヤじゃなかった。

酔いが覚めても、まだ胸の中にいたいと思った。



何を話したか、覚えてない。

でも、ひとつだけ、覚えてることがある。




「呑みすぎちゃった。ごめんね。ごめんなさい。

 ごめんなさい。Hくん。




自分を今抱きしめてくれているのが、

彼じゃないことは十分わかってた。

だから、自分に言い聞かせるように、

その人に向かって、彼の名前を口にした。


その人は、ずっと、



「大丈夫だよ、大丈夫。大丈夫。」



そう言って、頭をなでてくれていた。




酔いが覚めても抵抗せずに胸の中にいる自分に気付いて、

「これ、浮気かなぁ」ってつぶやいたら、

「ううん、酔っ払いの介抱してるだけだから。」って言った。



その言葉に甘えてしまった。

すごく、居心地が良かった。



ただ、その時間が幸せだったかというと、それはわからない。



といる間、その人のことが頭から離れなかったように、

その人と一緒にいても、のことは頭から離れなかった。



結局私は、どうしたいんだろう。