こんにちは。
今回は、血液検査でよく目にするBUN(尿素窒素)の役割と働きについてお話しします。
BUNとは、血液中に含まれる尿素の窒素成分を測定したもので、腎臓や肝臓の健康状態だけではなく、栄養の代謝状態まで教えてくれる大切な指標です。
そして尿素とは、タンパク質が代謝される時に発生する有害なアンモニアを、肝臓が無害化する過程で作られる物質のことです。
血液中のBUNの値を見ることで、尿素をきちんと排泄できているかといった腎臓のろ過能力や、有害なアンモニアを無害な尿素へと変換できているかを示す肝臓の代謝機能、そしてタンパク質の摂取量や、その代謝の状態を示す栄養状態まで読み取ることができます。
食事から摂ったタンパク質は、消化酵素によってアミノ酸に分解され、小腸で吸収されます。
このアミノ酸は、筋肉やホルモン、酵素など体を作るための大切な材料になりますが、余ったアミノ酸は分解されて、その過程で発生するのがアンモニアです。
その後、アンモニアは肝臓に運ばれ、尿素回路(オルニチン回路)という仕組みを通過することで、毒性のない尿素に変換されていきます。
こうして作られた尿素は、血液の流れに乗って腎臓まで運ばれてろ過され、最終的に尿として体外に排泄されることになります。
検査でBUNの値が高い場合、あるいは低い場合には様々な原因が考えられます。
腎臓のろ過能力が低下すると、尿素が排泄されずに血液中に蓄積することでBUN値が上昇します。
この場合は、慢性腎臓病や尿路の閉塞が考えられます。
また、タンパク質を多く摂取すると、代謝される尿素の量が増加してBUN値が上昇します。
脱水状態になると、尿の量が減少して尿素が再吸収されやすくなりBUN値が高くなります。
さらに、胃や腸で出血があると、血液中のタンパク質が分解され、アンモニアが増加します。
このアンモニアは、尿素に変換される過程でBUN値の上昇を引き起こします。
甲状腺機能亢進症では、代謝が亢進してタンパク質の分解が活発になることでアンモニアの生成量が増えて、BUN値が上昇することになります。
次にBUNが低値になる場合を見ていきましょう。
肝臓の機能が落ちると、アンモニアを尿素に変換する能力が低下し、肝硬変や肝炎などを引き起こすことがあります。
食事からのタンパク質摂取量が少ない場合も、尿素の生成が減って、BUN値が低下します。
水分を過剰に摂取した場合でも、血液が希釈されてBUN値が下がりやすくなります。
そして、尿崩症を発症すると、尿の量が極端に増えることで尿素が排泄されすぎてしまい、血液中のBUN値が低くなります。
BUN値の理想的な範囲は、男性は12〜22mg/dlで、女性であれば10〜20mg/dlです。
また、BUNを評価する時は、γ-GTPの値も一緒に確認することで、タンパク質摂取量や代謝状況も総合的に把握することができます。
一般的には、γ-GTPはアルコール摂取や胆管障害、脂肪肝などの指標として用いられていますが、分子栄養学的には、タンパク質代謝の指標としても注目されています。
BUNとγ-GTPのバランスが良好であれば、理想的なタンパク質代謝の状態であると言えます。
逆に、γ-GTPが高くBUNが低いと、肝臓に負担がかかっている状態で、炎症や脂肪肝の可能性が考えられます。
BUN値を健康的に保つために、日常的に意識したいポイントがあります。
BUNが高い場合は、肉や魚などのタンパク質を摂りすぎていないか見直し、適切な量に調整する必要があります。
逆に、BUNが低い場合は、肉、魚、卵、大豆製品などを積極的に食べ、良質なタンパク質の摂取を心がけましょう。
水分を十分に摂取することで、腎臓をサポートして脱水を防ぎ、尿量を確保しましょう。
また、抗酸化作用のあるビタミンCやNAC(N-アセチルシステイン)などの肝臓の働きを助ける栄養素を活用するのもおすすめです。
さらに、腸内環境の改善も有効です。
食物繊維や発酵食品、プロバイオティクスなどを積極的に摂取することで腸内細菌のバランスを整え、アンモニアの過剰生成を抑制して、肝臓や腎臓への負担を軽減することが重要です。
そして、定期的に血液検査を受けて、自分のBUNやγ-GTPの数値をチェックすることで、栄養状態や肝臓・腎臓などの臓器の健康状態を把握しておくようにしましょう。
BUN(尿素窒素)の値は、血液中の尿素に含まれる窒素の量を示しています。
腎臓や肝臓の働きや、タンパク質の代謝状況まで教えてくれる重要な指標です。
血液検査の結果は、体からの大切なシグナルです。
正しく読み取ることで、より良い健康管理につなげていきましょう!
最後まで読んで頂きありがとうございます。