こんにちは。
今回は、遺伝子の働きと生活習慣の影響についてです。
遺伝子と聞くと、どうしても生まれつき変えられないと思っている方が多いのではないでしょうか?
しかし、実はそうとも限らないのです。
米国のエピジェネティクスと栄養遺伝学の分野で著名な自然療法医のベン・リンチ博士は、遺伝子が様々な原因で「汚れ」てしまい、本来の働きが失われるというユニークな視点を提示しました。
そして、ライフスタイルの工夫や栄養管理によって遺伝子の「汚れ」をきれいに落とすことで、健康状態を改善することができると提案しています。
今回は、遺伝子の中でも特に注目されているヒスタミンに関わる遺伝子のDAOやHNMT、葉酸の代謝に関わる遺伝子のMTHFR、興奮性ホルモンに関わるCOMTなどに注目して、汚れの原因となる生活習慣と、その対策について解説します。
私たちの遺伝子には、健康を維持する素晴らしい仕組みが備わっています。
ですが、遺伝子は悪い生活習慣を続けると悪影響を受けてしまいます。
不適切な食事、睡眠不足、日々のストレス、環境中の有害物質などによって遺伝子本来の働きが妨げられてしまうのです。
これを「遺伝子が汚れた状態」と呼び、この状態が続くとさまざまな体調不良や慢性的な症状につながる可能性があります。
そして、これらの遺伝子の汚れは、日々の生活や食事を見直すことで、またきれいに直すことができるのです。
では、ヒスタミンに関わる遺伝子を具体例に見ていきましょう。
ヒスタミンと聞くと、アレルギー性鼻炎やじんましんなどのアレルギー反応を思い浮かべるかもしれません。
もちろん、それらの反応にもヒスタミンは関わっていますが、実はそれだけではありません。
ヒスタミンは脳の覚醒状態を調整したり、消化管の機能維持など、多岐にわたる働きをしています。
このヒスタミンが過剰になると、頭痛や鼻炎、皮膚のかゆみ、さらに精神状態が不安定になるなどの症状があらわれやすくなるため、体内でヒスタミンをしっかり分解することがとても重要になってきます。
このヒスタミン分解に関わる遺伝子には大きく2種類があります。
一つ目はDAOという酵素を作る遺伝子で、主に小腸・大腸の粘膜細胞で働いており、食事から摂取したヒスタミンの分解をしています。
このDAOが汚れる原因には、過度なアルコールの摂取や腸内環境の乱れ、あるいはリーキーガット症候群、抗うつ薬や胃酸抑制剤などの特定の薬剤による影響があげられます。
他にもキムチやザワークラフトなどの発酵食品や熟成チーズ、赤ワイン、サラミやソーセージなどの加工肉にもヒスタミンが多く含まれており、これらの食品の過剰摂取も遺伝子が汚れる原因になります。
DAO遺伝子をきれいにするためには、ヒスタミンを多く含む食品の過剰摂取を控え、プロバイオティクスや食物繊維の摂取によって腸内環境を整えることが有効です。
または、ビタミンB6やビタミンCなどDAOの働きをサポートする栄養素を積極的に摂取したり、場合によってはDAO補助剤の使用を検討するのも良いでしょう。
二つ目はHNMT遺伝子です。
HNMT遺伝子は脳内や体内各所でヒスタミンを分解する酵素で、中枢神経系でヒスタミンのバランスを調整し、私たちの精神状態にも大きく影響しています。
この遺伝子を汚れから守るには、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12などのビタミンB群や、メチオニンやコリンなどのメチル基を供給する栄養素を摂取することが大切です。
また、過度のストレスは脳内の化学物質のバランスを乱しやすいため、適切なストレスケアやリラクゼーションを行うことも大切です。
それ以外の重要な遺伝子については、まずはMTHFR遺伝子に注目すべきでしょう。
MTHFR遺伝子は、葉酸の代謝に深く関わっており、DNAの修復や神経伝達物質の合成、体内の解毒作用に重要な役割を果たすメチル化反応全般をサポートしています。
MTHFR遺伝子が汚れる原因には、アルコールの飲み過ぎや加工食品の過剰摂取、ビタミンB群、葉酸の不足などがあげられます。
また、日々のストレスや睡眠不足も、この遺伝子の働きに負担をかけることになります。
MTHFR遺伝子をきれいにするには、葉酸の摂取が非常に重要です。
特に、5-MTHFなどメチル化された形での摂取がおすすめです。
また、質の良い十分な睡眠の確保や日々のストレスを軽減することも大切になります。
次に紹介するCOMT遺伝子は、ドーパミン、アドレナリンなどの興奮性ホルモンを分解する酵素の生成に関わっています。
COMT遺伝子が汚れると、体内に興奮性ホルモンが残りやすくなり、イライラや不安感が強くなって、精神的なストレスも増加してしまいます。
COMT遺伝子をきれいにするには、タンパク質と野菜を中心に、バランスのとれた食事を心がけて、メチル基やミネラルを十分補給することが大切です。
また、ストレス管理を徹底して、交感神経の過度な緊張を抑制することも有効です。
特に、COMT遺伝子が汚れるとカフェインの代謝が遅れるため、カフェ効果が長引き、通常よりも長く脳の興奮状態が続きます。
そのため、COMT遺伝子が汚れている時は、カフェインの摂りすぎには注意しましょう。
その他にも、重要な遺伝子はたくさんあります。
それらの機能を最適にするためのアプローチを5つ紹介します。
1. 栄養バランスの最適化
遺伝子の働きを支えるためにはビタミン、ミネラル、アミノ酸が豊富に含まれる野菜、果物、魚、全粒穀物などの摂取が不可欠です。
加工食品やトランス脂肪酸を含む揚げ物、過剰な糖質を含む菓子類などは遺伝子の汚れを助長するため控えめにすることが推奨されます。
2. 腸内環境の改善
腸内環境を改善するためには、食物繊維やプロバイオティクスの摂取が効果的です。
ただし、体質的にヒスタミン過剰な方は、発酵食品の摂取には注意が必要です。
3. ストレスマネジメントの確立
意識的な深呼吸や瞑想、ヨガなどの適度な運動を日々の生活に取り入れることで、交感神経と副交感神経をうまく切り替える習慣作りも大切です。
4. 有害物質の回避
食品を選ぶときは農薬や化学添加物を避け、可能な範囲でオーガニック食材を選択しましょう。
アルミなどを含んだ重金属も回避して、なるべく自然素材の製品を日常で使うのも大切です。
5. 睡眠・休養の質を向上させる
遺伝子の汚れをきれいにする働きは睡眠中におこなわれ、体内の解毒も睡眠時に集中的に行われています。
そのため、就寝・起床時間を規則正しく一定に保つことがベストです。
乱れた生活習慣を改善して、汚れた遺伝子がきれいになると、体が本来持つ能力を引き出すことができるようになります。
そして、五感が研ぎ澄まされてあなたはパフォーマンスを最大限に発揮できるようになるでしょう!
最後まで読んで頂きありがとうございます。