こんにちは。
今回は、鉄分の吸収を最大限に引き出す方法についてお話しします。
みなさんの中には、顔色が良くない、しっかり寝てもだるさが続く、イライラして集中力が続かないなど、こういった症状でお悩みでの方はいらっしゃいませんか?
こういった不調の原因は、鉄不足かもしれません。
厚生労働省の調査によると、20〜40代女性の65%が貧血、または潜在性貧血の状態にあるとされています。
鉄不足を解消するためには、ただ鉄を摂ればよいと言うわけではありません。
鉄分の効果的な摂取には、正しい知識と工夫が必要になります。

まずは、鉄の体内での役割について見ていきましょう。
鉄は、血液中に含まれるヘモグロビンの構成要素の一部として、体中に酸素を供給しています。
もし鉄が足りなくなると、体内の様々な場所に酸素が届かなくなり、疲労感やだるさの原因になります。
体内のエネルギー産生工場であるミトコンドリアでは、シトクロムCオキシターゼという酵素が鉄を必要としています。
鉄不足はミトコンドリアの機能低下を招き、慢性的な疲労感の原因になります。
鉄は、気分や集中力を調整する脳の神経伝達物質の生成にも不可欠です。
鉄は体内の様々な場所で重要な働きをしているため、不足すると心身の不調を引き起こす可能性が非常に高いのです。

鉄欠乏に関しては、2つの数値をチェックしましょう。
1つ目は、血液中の鉄の運搬を担うヘモグロビンの数値です。
ヘモグロビンの値は、現在の血液中の鉄の状態を反映する重要な指標で、健康な成人男性で13g\dl以上、成人女性で12g\dl以上が基準になります。
ただし、ヘモグロビン値だけで体内の鉄の状態を正確に把握することはできません。
そこで重要になるのが、体内の鉄貯蔵量を反映するフェリチン値です。
女性の場合は、フェリチン値が50 〜70ng\ml以上が望ましく、これを下回ると鉄欠乏のリスクが高まると言われています。
ヘモグロビンは日々使う現金のようなもので、フェリチンは銀行の預金のようなものである、と考えるとわかりやすいでしょう。

仮にヘモグロビン値が正常でも、フェリチン値が低い場合は要注意です。
このような状態では、集中力の低下、息切れや疲労感、動悸などの症状が現れることもあるからです。
女性の鉄不足で最も多い原因は、月経による出血です。
特に経血量の多い女性は、慢性的な鉄不足になる可能性が高くなります。
その要因の一つは、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が過剰であることが関係します。
高脂肪・高糖質の食事を摂取していると、エストロゲン分泌が促進されるため、食生活の改善が経血量の調整にとても大切です。
次に、胃酸不足も鉄欠乏の原因になります。
私たちの体内で、鉄分が吸収されるには胃酸の働きが欠かせません。
胃酸によって、鉄分を取り込みやすい形に変化しているからです。

効率的に鉄を補給するには、胃酸分泌を促す生姜やパセリ、お酢などを食事の前に摂ると良いでしょう。

そして、腸内環境の乱れも大きな問題になりえます。

鉄分は、主に十二指腸や小腸上部で吸収されるため、腸内に炎症が起きていると吸収が困難になります。

腸内環境を整えるには、乳酸菌やビフィズス菌などの発酵食品を摂取したり、緑黄色野菜に含まれるビタミンAや魚類に多く含まれるビタミンDを摂取すると良いでしょう。


鉄分には、それぞれ特徴の異なるヘム鉄と非ヘム鉄があります。

赤身肉や魚などの動物性食品に含まれるヘム鉄は、吸収率が10〜25%と高いため、効率的に活用できます。

一方で、豆類や野菜、海藻などの植物性食品に含まれる非ヘム鉄は吸収率が2〜5%とやや低いです。

しかし、ちょっとした工夫で植物性食品の吸収率を上げることができます。

レモンなどと一緒に摂取することで、鉄の吸収率が最大2.9倍になり、また、肉や魚と一緒に摂取することで、1.5〜4倍の吸収促進が期待できます。

この効果は、ヘム鉄でも非ヘム鉄でも同じように見られます。

また、ビタミンAやタンパク質も鉄分の吸収を助ける重要な栄養素ですが、これらは体内に蓄積されやすいため、サプリメントでの摂取は控えめにするべきです。


次に、鉄の吸収を阻害する要因についてです。

1. 乳製品

乳製品に含まれるカルシウムは、鉄の吸収を妨げる働きがあります。

鉄分の多い食事の際は、乳製品を避けるか、時間をずらして摂取するようにしましょう。

2. フィチン酸

玄米や豆類に含まれているフィチン酸も、鉄の吸収を阻害する要因になります。

よく噛んで食べるか、納豆などの発酵食品にすることで、フィチン酸の影響を抑えることができます。

3.、カフェイン

コーヒーや紅茶に含まれるカフェインも、鉄の吸収を妨げる働きがあります。

そのため、食事の前後1時間はカフェインは控えることで、より効率的に鉄分を吸収することができます。


重度の鉄不足を解消するためには、キレート化された鉄サプリメントが効果的です。

キレート化された鉄サプリメントは吸収率が高く、胃腸への負担も少ないため、通常の鉄剤では胃もたれや吐き気を感じやすい方にも適しています。

特にビスグリシン酸鉄は、胃腸が敏感な方でも利用しやすいという特徴があります。

ただし、過剰な鉄分摂取は体内で酸化ストレスを引き起こして細胞を傷つける恐れがあるため、適正量を守りましょう。


鉄分の効果的な摂取には、正しい知識が必要です。

学んだことを活かして、日々の生活に役立てていくと良いでしょう。

最後まで読んで頂きありがとうございます。