コロナ禍の盲導犬ユーザーの聞き取り調査から見えた「困りごと」
1.消毒液の場所 人との間隔が分からない
感染防止のため「三密回避」や「ソーシャルディスタンス」が叫ばれていますが、そうした状況の中、
「ソーシャルディスタンスが分かりづらい」(41%)
人や物との距離感についての意見
●「消毒液の場所が分からない」
曲がり角、段差、障害物の場所はユーザーさんに教えることができても、消毒液の場所は盲導犬にはわからないです。それと、盲導犬自身に消毒の必要はないです!
●「スーパーのレジに並ぶのに、距離感や進み具合が分からなくて困った」
スーパーのレジで人との距離が適当かどうか盲導犬にはわかりません。以前は、前にいる人の足音など、ユーザーが耳でレジの流れを判断していましたが、店で足元の印が分からず、間隔を空けて並ぶことが難しい方が多いです。
●「病院の待合室でソファの間隔を空けて座るのが難しい」
●「距離を空けるので人の声が聞き取りにくい」
「周囲に手引きなどのサポートを頼みづらい」(22%)
「商品などを触るため周囲の目が気になる」(21%)
「声かけや周囲のサポートが減った」(18%)
周囲のサポートに関して
●「スーパーで手引きをしてくれず、声だけで案内された」
手引きのサポートがないと、目的の商品を探すのが難しい方もいます。
●「スーパーでの買い物で以前はスタッフに頼んでいたが、この頃は同行援助を頼むようになった」
以前は、自動ドアの開く音や、入店客を知らせる音で入り口を確認し、お手伝いの必要なく、そのまま入店していましたが、換気のために常に開けたままにしているお店が増え、お店に入ること自体が難しくなった方もいます。
他にも、ハード面で
セルフレジの導入などが進む現実に対して
●「店で機械での支払いが増えてきてサポートを受けるまでに時間がかかる」
目が見えない、見えにくい人にとって、音声情報や触覚情報は日常生活に欠かせません。感染防止のために店頭で手指消毒が求められ、買い物でのカード決済など、非接触型の行動が推奨される中にあって、それを実行するのは、周囲の手助けが必要です。
「同行援護依頼回数が減った」(20%)は、
多数がコロナ禍で外出が少なかった、不要不急の外出を控えているからなのだろう
「犬の感染を理由に受け入れ拒否に遭うのではと不安」(12%)に関しては、
コロナを理由にサポートを受けられない
「コロナ感染を理由に、店や施設でサポートを断られたり、入店を拒否されたりしたことがある」に関して、
●「コロナなので犬から人にうつるので駄目と言われた」
●「ヘルパーと出かける時、犬は留守番させてと言われた」
●「いつも宿泊しているホテルなのにコロナだからと断られた」
●「デパートの地下で買い物をするため、いつも通りの誘導を依頼したら、『感染症対策のためできない』と断られた」
公益財団法人 日本盲導犬協会の会報誌『盲導犬くらぶ』第103号から引用
掲載の許可はいただきました。
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視覚障碍者は、白杖、盲導犬を使うことによって、自律、1人で付き添いなしの外出を手に入れた。「盲導犬がいるから大丈夫」と見なしていた。始めは盲導犬に興味を示していた人も、「犬の気が散る。仕事の邪魔をすると、視覚障碍者の安全にかかわる」「犬にかまってはいけない」と、見かけても見るだけになった。
しかし、列車のホームでの転落事故、工事現場でガードマン不在による事故、盲導犬へのいたずらで、社会の理解、周りの見守り、駅員さんの手助けも必要になった。
それは、視覚障碍者へのサポートの方法の問題にとどまらず、
視覚障碍者、盲導犬ユーザーだけではなく、人類は、問われている。
普段の日常生活では隠されていた恐怖心、差別心が、コロナ禍で、アメリカで噴出した分断、対立構造をつくるのではないだろうか。
「感染者と健常者」情報を非公開としている。他にも、経済、インフラをめぐって、「飲食業と他業種」「クリニックと病院」「都市と地方」「個人情報保護と公開」、こういう違いが「経済と感染対策」が対立構造をつくっている。
また、「若者と高齢者」こういう年代の違いが思いこみ、対立構造をつくっている。
「重症化しない若者が外に出て飲み歩いている」「若い人はかかっても無自覚だからまき散らす」
そして、それは「アジアと欧米」「日本と海外」までに広がっている。
人間はコロナに試されていると言えよう。恐怖心ではなく、正しい情報と正しい認識を。
今まで、社会(健常者)と距離がある、盲導犬頼みだった視覚障碍者も新しい世界を広げようとされている方もいらっしゃる。
「ソーシャルディスタンス」をとる時代にあって、「メンタルディスタンス・心と心の距離」までも広がってしまった淋しさを感じる。だけど、それではいけない、と行動を起こした盲導犬ユーザーにとても感動した。
つながりを求めて日本盲導犬協会ユーザーが立ち上げた「オンライン新年会」でも、機械に疎い方もいらっしゃいます。そのサポートを根気良くされ、希望する方は実施できるように具現化したとのこと。外部条件を整えてもらう、要望を出すことも大事ですが、条件が整っていなくても、当事者同士でいろいろ知恵をしぼり、工夫して運営すべてを取り仕切った。
パラリンピックに限らず、挑戦する姿は美しく、感動し、元気をもらうものだね~!
また、手を差し伸べたくても、盲導犬ユーザーに、ソーシャルディスタンスを保った手助けの方法が分からないのも事実であろう。次回はそれについての記事を書きます~♪
この記事もよろしかったら読んでみてください♪ この記事の後から盲導犬の記事が続きます。そちらもよろしくお願いします☆