『本を守ろうとする猫の話』 夏川草介 の第2弾♪

 わたしが、1番心をわしづかみされたのは、「最後の迷宮への旅」!

「閉じ込める者」の迷宮の、「多読をやめた批評家」は、六万冊読む輩の出現で、五万冊読んだ記録を抜かれ、仕事を失い、隠居し縁側でぼ~っとしている。
「切りきざむ者」の迷宮の、「要約、速読の研究を中断した所長」は、無人の荒れ果てた研究所の柱に座りこんでいる。
「売りさばく者」の迷宮の「理想を追求する出版社社長」は業績の下降で退陣を迫られている。
 成功、幸せの定義を「名声、有名になる」と、目に見える物質的なものとすれば、
彼らは不幸そうに見える。が、実は…

 物の見方、考え方は、コインの裏表のようにひっくり返る。

 多読をやめた批評家は、隠居し、「妻の淹れてくれるお茶が美味しいことに気づいたよ」と縁側で大好きな読書の余韻に浸る。多読、批評では得られなかった心のゆとり、心の平安、安らぎの時間を手に入れた。

 

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 要約、速読をやめた所長は、もともと好きだったベートーベンを聴きながら読書も心ゆくまでたっぷり愉しむ。要約、速読では手に入れることができなかった感性、心が揺さぶられる体験に浸る。

 

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 理想を追求する出版社社長は、熱き想いをぶつけ、賛同者を増やす。利益至上主義では考えられなかった自分がしたかったこと、夢を叶えようと邁進。

 

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 そこにあるのは、空虚でなく豊かな上質な精神レベルの高い世界だった。
そこに愛があるかどうか。
物の見方、考え方は、コインの裏表のようにひっくり返る。見えてくる世界、眼に映る世界は違ってくる。

 だが、すべてを押し流すような厭世観に、主人公の夏木林太郎の祖父の言葉が蘇る。
「世の中には理屈の通らぬことや、理不尽なことが山のようにある。そんな苦痛に満ちた世界を生きていく上での最良の武器は、ユーモアだ」

 「二千年の間、たくさんの人に読まれた。」(なんでこのくだりが必要ねん?)と思ったが、該当するものに聖書と源氏物語しか思い浮かばない。なんなのかなぁ〜?

 

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 だが、化石化しようが命が吹き込まれようが、人の心は様々よ。

 再び、林太郎の祖父の言葉です☆
「君の選んだその道を、勇気を持って歩きなさい。何も変わらないと嘆くだけの無気力な見物人にはなるでない。君自身が旅を続けなさい。メロスが最後まで走り続けたように」

 自分の願望を達成することが、夢のゴールなら、
 かわいい子と結婚するのが夢なら、それができたらラッキーだが、その後に、「飯マズ〜」「賢くない」の苦情は受け付けない。アイドル並みの可愛らしさが、急激な体重増加で瞬く間に劣化、猫かぶりがドスの効いた声、般若のワガママ三昧と化したら、十分に詐欺罪として訴えることはできる(笑)ってできないか?

 田舎暮らしに憧れ移住。買い物はネットでだいたい手に入る、物価は安い、家は広く、ゆったりとしている。だが、夕方にはほとんどの店が閉まり、バスの本数、病院は少ない。煌々と眠らない街、便利な都市のインフラがなつかしくなる。
自然が残っている中都市がいいかといえば、物価が中途半端に高い。

 海のそばで暮らしたい。それを叶えたら、海が広がる風光明媚な景色、新鮮な魚介、サーフィンは楽しいが、自宅が津波の心配と隣合わせ。

 損切りしないと、触れるだけで、最愛の娘も黄金に変えてしまったミダス王の悲哀にもなりかねない。「足るを知る」の真逆だ。

 自分の満足感、いかに自分を満足させるか?
満足感について、男の美学、仕事人間もあるよね。それぞれの想いを抱きながら、突き進む。
人間って、1足す1は2じゃなく、本当の心情はわからない

 自分の満足度、夢の世界が広がります。ひとつの方法として、自分だけの屋根裏部屋。空想してごらん♪

 

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 お城に住むのは無理でも、文様の壁紙を貼って、重厚なカーテンを手作りし、ソファを置き、ロココ調のカバーをかけ、調度品を少しずつ蚤の市で集めていく。
ジーパン姿で紅茶やクッキーを持ちこんで、貴婦人の館(屋根裏部屋)でお茶してもいい。

 本格的でなくても簡単なシアターを作り、ポテチを持ちこんで、自分だけの、気心が知れた人とDVD、音楽鑑賞。

 アルプスの少女ハイジのような、ベットを置き、天井が吹き抜けになっていて、緑の中、風に吹かれ、寝転ぶ。etc

 憧れの、こだわりの、ていねいな暮らしをしたくても、ロハス、マイクロビ、アンティーク、骨董に囲まれた、古民家は、達成の壁が大き過ぎて、家族の気持ちもある。

 ターシャ・テューダーさんは、一人暮らしだが、畑を耕し、花を育て、いろいろな物バター、クッキー、アイスを手作りし、絵を描く、1800年代の古き良き時代の生活をしようとした。

 自分の心は何を求めているのか。自分のコアは? 達成したい願望は?
なかなか「自分への質問」が苦手で、ネットから雑誌から良さそうなのを探す。(笑)
男の人には無理そうだけど、氷室冴子さんの『シンデレラ迷宮』を読んでみて♡
完全なジュニア向けで、乙女のツボにははまってる。
森を彷徨う王妃、踊り続ける孤独な舞姫、待ち続ける姫君、憂愁な奥方、中身空っぽ、実体がない、空虚感、ビョーキっぽさ。
 冷静、弁別力なんて、まだまだの、ちょっとしたことでも一大事の危うさを秘めたガラスのハートの少女にも、
明日が明るく輝き、心にある愛も広がるには、広い世界に出てみるのもありだなと、エール♪