相性体力作(そうしょうたいりきさく)という四つのまなざしで観ることについて、話したいと思います。
私たちが「モノ」を見た時、ただ姿形を見ただけでは分かりきれない。性質を知り、内に秘めた力を感じ、その力が世界に及ぼす作用まで見通すことで、はじめて全体像が見えてきます。
存在が世界に現れ、モノやコトは単独で存在するのではなく、無数の条件(因縁)関係の中で働き、互いに影響を与え合い、その都度、姿を変えながら現れている、仏教の縁起、因縁果報の考え方に近い。実相とは、固定した本質ではなく、関係の中で立ち現れるありのままの真実、不変ではなく、縁起によって成り立つ流動性の真実です。
1.体(たい)
〇球根でいえば、目には見えない力が隠されているが、やがて蓮の花を咲かせる本体(体)が現れる
〇蓮でいえば、地下茎(レンコン)。水底の地中の泥の中に網目を広げる地下茎、泥、水、光がないと、存在できない。蓮の花は「泥があるからこそ清らかに咲ける」植物である
〇川でいえば、流れる澄み切った透明なエネルギー。絶えず一新しながら、あらゆるものを洗い流し、浄化する
〇大地でいえば、可能性を支え、育もうとする、あらゆる命を育成するエネルギー、すべてを受けとめて揺るがない母なる大地
〇空でいえな、どこまでも続く青く広い空、無限の広がりの中で、いかなる区切り、区分けも抱え込むことのない、自由の極みの空間
2. 相(そう)入り口
まず、目に見える姿
〇球根の形、色、質感。これは外から観察できる「相」
〇蓮の花で言えば、沈まず、水面に揺れながらも折れないですっと立つ茎。丸く大きな葉の表面の凹凸が水を弾く。花弁の配置は、黄金比に近い螺旋構造を持つ
〇川でいえば、澄んだ流れ、透明な水、清涼な音、清潔なイメージ、
〇大地でいえば、どっしり落ち着いた根を張る、温かく育む冬眠、休眠。芽吹きを待つ、地に足がついた安心感
〇空でいえば、明るさ、限りない広がりを持つ、妨げるものがないのびやかさ、空気のさわやかさ、郷愁を誘う星空
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3. 性(しょう)
次に、そのものが本来もつ性質
〇球根は、春になると芽を出し、やがて花を咲かせる。外からは見えないが、確かに内側に宿っている「性質」
〇蓮の花でいえば、泥を栄養源として必要とする。泥の中から清らかな花を咲かせる生態
葉は水を弾き、汚れがつかない「ロータス効果」として科学的に解明される
朝に咲き、夕方に閉じる生命のリズム
表面に見える花は一部で、実際は地下茎で広がり、見えないところでつながるネットワーク
〇川でいえば、透明性:混じりけのない透明な水、流動性:いっときとしてとどまらない流れ、清涼性:心を洗い流す
〇大地でいえば、受容性:否定せず、まるごと受けとめる、信頼性:見えない可能性を信じ、芽吹きを待つ、養育性:静かに成長を支える、安定性:何があっても動じない安らぎ
〇空でいえば、広がり:境界のない果てしない広がり、脱執着性:区切りや区分けから離れた固着のなさ、自由性:自由無碍さ、柔軟性:分け隔てなく、すべてをそのまま受け入れ、どこまでも高く広がる空間
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4. 力(りき)
その性質を実現させる潜在的な力
〇球根の中に秘められた「花を咲かせる可能性」、まだ形になっていないが、確かに存在するエネルギー「力」
〇蓮でいえば、2000年以上前の種子が発芽する生命力、時空を超え、長く眠りにあっても花を咲かせる可能性は消えない
水中の重金属や汚濁物質を吸収し、水質を改善する環境浄化能力
全部、花、葉、茎、根、実、種が食・薬・繊維として利用可能
〇川でいえば、浄化力:透明な水流がこびりついた泥を剝がして運び去る浄化、起動力:停滞していたヘドロを流し、新たな動きをつくり出す流れ、冷却力:清らかな冷水
〇大地でいえば、根づかせる力:下から支え、自律的成長を支援する、引き出す力:可能性の芽が育つように供給し続ける、再生させる力:荒れ地、焦土でも種を蒔けば芽吹く、信じ抜く力:空襲、津波を生きのびたプラタナス、一本松
〇空でいえば、転換力:狭窄した視野を広げ、事態の本質に気づかせる、回帰力:思考や感情の固着をほどく、元気にする力:ゆったりと明るく、心を広くする自由さ、超越力: その外に広がっている世界
5. 作(さく)
そして、その力が外界に働きかけて生み出す作用
〇球根でいえば、春に花が咲き、人々の目を楽しませる、人や精神、文化に影響を与える「はたらき」
〇蓮でいえば、「混沌からの成長」「浄化」「再生」
不完全さや混沌を拒まず、そこから力を得る性質から、仏教では悟り、インドでは創造と再生、中国では清廉・高潔、日本では穢れを受けても清らかでいられる心の精神的原型となった
姿形(フォルム)の持つ数学的・構造的美しさ から、建築・デザイン・工学のインスピレーション源
表面の凹凸のロータス効果から、自己洗浄性のある素材開発、防汚・防水技術の基礎
〇川でいえば、自分の錆びついた鎖のようにからみついていた執着や自己否定をまるごと洗い流す。長年こじれていた誤解や恨みをとかし、途絶えていた人間関係を復活させる。
〇大地でいえば、自分の内に、人の成長を喜びとする親の心を知る。相手の良いところを見つけて励まし、その人自身も知らなかった可能性に気づかせる。誰もが安心して話せて、失敗や未熟さを責められることなく、しっかりと挑戦していける温かな場が生まれる。
〇空でいえば、自分の凝り固まっていた気持ちが、軽く、晴れやかになる。相手の言葉や態度に過剰反応せず、目の前のその人の「今ここ」の姿を見つめることができる。気まずい空気、言いにくかった雰囲気がやわらぎ、誰もが素直に話せる自由な場が生まれる。



