最後に2008年3月の日記を書いたのが3月7日。
それからちょうど一週間後のホワイトデーの日に、私は当時の彼と別れました。
ホワイトデーの夜に彼のおうちに行って、彼がオフシーズンで帰省している間に風俗に行って、更に一度会っただけのキャバ嬢にいれあげて、その上もともと知り合いと思われる女友達にもちょっかいを出していた証拠を見つけたからです。
ショックで手が震えて、過呼吸になりそうな程でした。
「なにもみなかったことに。許せばまたこれから先も一緒に居られる」
そう考えもしました。
でも、同時に無理だとも思った。
この人をもう信じることは出来ない。
この人と結婚することは出来ない。
苦しい。
辛い。
何も知らない彼がぐっすりと眠る横で短時間の間に色んなことを考えました。
そして、
「とにかくもう、離れなければ。これ以上傷つかずに済むために、ここにいてはいけない」
そう思って、朝方彼の寝ているうちに、鍵をかけずに家を出てきました。
体から心が引き剥がされる思いでした。
苦しくて悲しくて、一人になってしまったのだという孤独、自分を否定された虚無感、憎しみ。
つらくてつらくて、早く時間が過ぎればいいと思うのに、たった一分過ぎるのが恐ろしく長い。
午前中に家に戻ったのに、お昼になるのさえ本当に長かった。
そしてその間に、私の精神は着々と計算を始めていました。
心の想いを隔離して。
「次の人に行かなくちゃ。つらいつらいと向き合うからどんどん傷つくんだ。終わった。もう戻れない。終わったことだから、振り向かずに考えずに、ただ前に進めばいい。振り返って執着するから、つらいんだ」
「次の人へと進もう。いらないものは今すぐ捨てよう。今すぐ、出来る限り早く、変わらなくちゃ」
そうしてお昼が過ぎて、当時から数えて二年前に付き合っていた元彼に電話を掛けました。
好きだった彼への貞操を捨てるために。
もう戻らないための区切りをつけるために。
一人で居られない苦しさを埋めてもらうために。
元彼とは当時の半年前から連絡を取っていました。
彼との関係に迷って、自分にとって一番心を許した人に近寄りたくなって、古い手帳を引っ張り出して消したデータを復活させたのです。その時もそれから数回電話した時も会うことはありませんでした。お互いにその必要は無かったから。
…それまでは。
元彼はとても忙しい人で、休日でも仕事をしていることが多々あります。その日もそうでした。
でも、電話の私の様子がおかしいのを察して、
「会って欲しい、おうちに会いに行きたい」という我儘を聞いてくれました。
私は、ただ抱きしめていてくれるだけのつもりだった彼に無理強いをして、その日元彼に抱いてもらいました。
「昔、あんなに好きで、そして遂には憎み、もう一生会うことは無いと思った人が今こんなにそばにいる。人生の巡り合わせって不思議…」
私にも元彼にも、お互いに対する恋愛感情は無かったので、
『私達の行為は動物の兄弟が傷を舐めて手当てをするのによく似ている…』と、数年ぶりに隣で眠る人を見つめながらぼんやり考えていました。