1027.絞死刑 10月5日(月) CATV大島渚の社会派映画。テーマは死刑制度と在日韓国人で、現実の強姦殺人事件の死刑囚がモデル。冒頭30分くらい、ドキュメンタリーチックに死刑場の紹介があり、この無機質な緊張感が素晴らしい。以降、死刑執行が完了しなかった上記憶が混乱してしまった死刑囚Rの心神喪失を解くため、検事か警察職員かそういう人がロールプレイとか説教とかして思い出させようとする、その過程で犯罪の背景を洗い出すと同時に何が罪で何が罰なのかというテーマに迫ろうとする。中盤は酷くコメディチックで、わざとなのか判らないが異常に温い空気。ロールプレイが発展していき、謎の女が現実に現れる展開まできてやっと再び面白くなる。この妄想と現実のごっちゃになった世界は、映画という枠を使い切ってやろうという意志が感じられてなかなか良い。RはRでなくなったので死刑に処されないとか、在日韓国人の罪は日本国が犯させたものでその行動は罪ではないとか、国家の主体が見えずその何か判らない物に死刑と称して殺されることには納得がいかないとか、こういうシンプルな独白形式をとる主張は非常にATGらしい。どれも聞き流す程度だが、最後に主張される、こういう思想をもつ私は死刑にならなければいけないのですねと、Rが全てのRを背負って死刑に処せられる展開はなかなか見応えがあったかな。小題的に、Rは~するという形の一文が提示され、ちょっと判りやすい。多分製作時に意図したほど前衛的ではないと思うけれど。全体的にちょっと纏まりがないというか、映画の方向性が定まっていないような感じがして、話の方向性というより映像世界の統一感という意味で、そこがやや不満かな。一番面白かったのは、Rの生活を再現する場面で、もっと朝鮮人らしく演技しろといって怒った芝居として小便をかけまわるところかな。★★☆ やや纏まりに欠けるが前衛性や抽象性は映画の筋を保ちつつまあまあ表現される絞死刑【日】 (1968年 117分)監督:大島渚助監督:小笠原清キャスト:佐藤慶/渡辺文雄/石堂淑朗/戸浦六宏/小松方正/桜井啓子/小山明子声:大島渚脚本:大島渚/田村孟/佐々木守音楽:林光撮影:吉岡康弘製作:大島渚/中島正幸配給:ATG美術:戸田重昌録音:西崎英雄その他:IMAGICAジャンル他:tドラマ、t白黒、t政治、t裁判、t時事問題、tその他、t密室、