953.ウルトラミラクルラブストーリー 7月9日(木) 映画館松山ケンイチ主演、横浜聡子監督作。青森の田舎が舞台で、発達障害の青年と、恋人に浮気のうえ事故死され東京から流れてきた幼稚園の先生との恋愛もの。中盤以降だいぶファンタジーの入った展開で、普通のロマンスものとは結構違う。松山ケンイチが異常なんだけれど純真みたいな役柄で、青森弁も含め結構いい演技。序盤は、松山のすぐに癇癪を起こしたり集中力の続かない様を見せられてやや苛々とする。ヒロインの麻生久美子も同様に戸惑う。中盤で松山が畑に埋まり、農薬を浴びてから、展開がファンタジーっぽくなる。農薬を浴びることで落ち着いて振舞えるようになり、麻生久美子に好かれたことから、松山は農薬を常習的に浴びるようになり、そのため体を壊し死んでしまうが、心停止のまましばらく生き続け、最後山を走っていたところを熊と間違えられて射殺される。最後、ホルマリン漬けの脳を、麻生が山で出会った熊に投げ与えて終わり。ラブロマンスなのだが、麻生にも松山にも決して感情移入させない感じがする。両者とも好感の持てるキャラクターだが、カメラが一定の距離を置いているというか、良い意味であざとくない。特に松山との距離感は絶妙で、不思議と好感が持てる。農薬を浴びる姿、死んだ麻生の恋人に手紙を書き友人となろうとする姿、この辺りに卑屈さとか卑しさを感じさせない松山の素直さが印象的。麻生も、松山の心停止以降共に暮らしているが、半分保護者のような距離感で、どこか緩い。その意味では始終幼稚園生がつきまとうのもそれを意味しているか。いわゆる恋愛というよりもっと緩いというか穏やかな親密さみたいな関係が描かれている点が、この映画独特の空気といえるだろうか。それは松山の周囲の人間関係全てにいえるのかもしれない。そう考えると、ロマンスものというより、松山ケンイチと温かい周囲の人々みたいなことが主題で麻生はその象徴に過ぎないということかな。演出で気になったのは、室内の場面で同じシーンなのにカットで光の方向が違うとき。逆によかったのは二人並んで夜の道を歩くとき、背景に花火や公衆電話など、会話に関連するものがタイミングよく出てくるところ。最後の熊は、素直に解釈すれば、松山の生まれ変わりみたいなものなので、脳を与えたということなのだろうが、なんかスッとしない感じは残る。★★★ あざとくないところが登場人物への好感につながるファンタジーな恋愛ものウルトラミラクルラブストーリー【日】 (2009年 120分)監督:横浜聡子キャスト:松山ケンイチ/麻生久美子/ノゾエ征爾/ARATA/キタキマユ/藤田弓子/原田芳雄/渡辺美佐子脚本:横浜聡子音楽:大友良英主題歌:100s撮影:近藤龍人衣装:伊賀大介ジャンル他:t恋愛、tファンタジー、tドラマ、t言葉、