出典:メッセージ分析の技法-「内容分析」への招待-クラウス・クリッペンドルフ,1989,pp1-39
内容分析の基盤:ラスウェル(1965a)シンボルの数量化が科学的洞察の唯一の基礎と論じた
心理学での3つの領域
・言語的記録を分析→動機や心理特性、あるいは性格を明らかにしようとするもの
・質問表に対する自由回答、言語的応答、TATに対する反応など、質的データの利用
・コミュニケーション過程の分析 例)interaction process analysis相互行為過程分析
内容分析の定義:
*内容分析とは、データをもとにそこから(それが組み込まれた)文脈に関して反復可能で(replicable)かつ妥当な(valid)推論を行うためのひとつの調査技術である。(Krippendorff)
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メッセージのシンボリックな意味を探る手段=内容分析の特徴
メッセージの持つ意味は唯一ではなく、一人の受け手に対してでさえ多元的な内容を伝えうる
意味は必ずしも共有されない
一般的にメッセージやシンボルを介したコミュニケーションが関与するのは直接に観察されえないような現象に関してである
→データの文脈(context of the data)、つまり経験的環境の一部に関する特定の推論は、シンボルの意介するコミュニケーションが代理的な性質をもつことによって可能になる
*内容分析は、テクストにおけるある特定の特徴を、体系的にかつ客観的に同定することにより、推論を行う調査技術である(Stone et al., 1966)
*明示されたコミュニケーション内容を客観的・体系的かつ定量的に調査する技術。(ベレルソン)
↑数量化は重要だが、言語データのコンピューター処理の際、適切なアルゴリズムを導くには定性的な考えが必要。
内容分析の枠組み(規範的、分析的、方法論的であるという3つの目的に資するよう意図されている)
・分析者の手に委ねられたデータ
(当該データの定義・データの母集団は明白に)
・データの文脈
(データは単位、カテゴリ、変数によって記述される。もしくは多次元尺度にまたがってコード化される)
(文脈は環境条件や過去・現在・未来にかかわる状況を勘案したものになるよう構成する)
・分析者の知識による現実の文節化
・内容分析の目標
(target、分析者が何に関して知りたいか)
・基本的な知的課題としての推論
(データが独立変数で目標が従属変数になるよう構成する)
・結果の正否の最終的基準としての妥当性
内容分析の妥当性
・調査対象者に気づかれにくい調査技術
・構造化されない素材をも受容する
・文脈に即応しており、シンボリックな形態も処理することができる
・大量のデータにも対処可能
-つづく-