出典:堀内桂, 2008, 訪問看護と介護 13(9), 731-736
発達障害とは
近年、医療福祉で発達障害という用語が使われている場合、2005年に制定された発達障害支援法に定義された発達障害を指すと考えたほうが良い。
・学習障害は妥当性のある検査で知能に遅れはないが、読み、書き、計算のいづれかもしくはこれらが混合して習得できない状態を指す(世界的診断基準にない)
・注意欠陥多動性障害は7歳くらいまでに多動、衝動性、不注意がそろって見られる場合に該当。継続的に、複数の場面に見られる場合とする診断基準もある
その衝動性は攻撃的と誤解されることが多いが、反応が出し抜けであるという意味合いである
・広汎性発達障害は3歳くらいまでに想像力、コミュニケーションや対人関係を調整する態度など多様に障害がある。もしくはその方法が独特であること
アスペルガー症候群や知能の高い広汎性発達障害(PDD)の再発見
・PDDの研究は1940年代半ばから始まっている
・1960年代より疫学研究が盛んになり、脳の機能障害という仮説が浮かび上がった
・自閉症スペクトラム(ASD)は幼少期に明るく活発でも何かのきっかけで急に自閉的になる人もいる
・PDD(ASD)の概念;ウイングによってスペクトラム(連続体)の概念は提唱された
X軸=言葉の軸 多い-少ない
Y軸=対人関係の軸 積極的-回避的
Z軸=知能の軸 高い-低い
言葉が多く、対人関係が積極的→アスペルガータイプ
言葉が少なく、対人関係が回避的→自閉症タイプ
どちらにも当てはまらない→特定不能型
3つの組の背景にある特別な情報処理と身体感覚
(想像力の障害)
・共通する要素は脳の情報処理機能の障害
・記憶の中枢である海馬の働きが独特で、些細なことも強く記憶しているかもしれない
・記憶がひとつの映像として強く結びつくため想像力が働きすぎるともいえる
→前はこうだったから、今回もそうに違いないと思う
・よって、決められたとおり行動するのは得意だが、状況にあわせて行動を変更することは苦手である
(コミュニケーションの障害)
・成人期まで発達障害が見過ごされてきた人は言葉の発達が早いひとが多い
・PDDのひとにとって言葉は記憶であり、意思伝達の道具でない場合もある
・たとえば「机をのせる」「机にのせる」は「を」と「に」によって言葉の意味が逆転してしまう。PDDのひとは同時処理が有意に働くため、簡単なことも長い言葉を使うと取り違いが起こってしまう。
・多くの要素をつき合わせて全体として整合性のある要素として捕らえるのも苦手で、非言語的コミュニケーションによる多様な情報から正しい意味を読み取ることが難しくなる。
・シングルフォーカス:何かに注意を向けると、それ以外が入力されにくい
・誰かのこころの中に信念のようなものが保存されていること自体が非常に分かりにくいという実験結果がある
・感覚には個人差があり、特定のものに過敏(米が口の中に当って痛い)もしくは鈍感(尿意や空腹)になることがある。また、感覚は精神的疲労とともに変動する。
・記憶:想起の際にいつの間にか何年か前に戻っていて自分でも気づかず喋っていることがある。これをフラッシュバックなどと呼ぶ人もいる。解離や妄想と勘違いされることもある。注意の向け方が一旦過去に無とそれを途中で修正するのが難しく、たびたびいやな記憶が加工されないまま生生しくでてくることもあるため、過去回帰的なカウンセリングは危険を伴う。
(まとめ)
・援助方法:グラフィックオーガナイザー、筆談、メールなどは効果的
・記憶されたことの訂正はききにくい:曖昧なことは曖昧に、厳密なことは厳密に表現し、できるだけ肯定的な表現を使う
・想像しにくかったことの振り返り:カトゥーニング(漫画化)、コミック会話などが有効な場合がある
追記:
コミック会話の本
↑
こんな本、見つけました。
発達障害とは
近年、医療福祉で発達障害という用語が使われている場合、2005年に制定された発達障害支援法に定義された発達障害を指すと考えたほうが良い。
・学習障害は妥当性のある検査で知能に遅れはないが、読み、書き、計算のいづれかもしくはこれらが混合して習得できない状態を指す(世界的診断基準にない)
・注意欠陥多動性障害は7歳くらいまでに多動、衝動性、不注意がそろって見られる場合に該当。継続的に、複数の場面に見られる場合とする診断基準もある
その衝動性は攻撃的と誤解されることが多いが、反応が出し抜けであるという意味合いである
・広汎性発達障害は3歳くらいまでに想像力、コミュニケーションや対人関係を調整する態度など多様に障害がある。もしくはその方法が独特であること
アスペルガー症候群や知能の高い広汎性発達障害(PDD)の再発見
・PDDの研究は1940年代半ばから始まっている
・1960年代より疫学研究が盛んになり、脳の機能障害という仮説が浮かび上がった
・自閉症スペクトラム(ASD)は幼少期に明るく活発でも何かのきっかけで急に自閉的になる人もいる
・PDD(ASD)の概念;ウイングによってスペクトラム(連続体)の概念は提唱された
X軸=言葉の軸 多い-少ない
Y軸=対人関係の軸 積極的-回避的
Z軸=知能の軸 高い-低い
言葉が多く、対人関係が積極的→アスペルガータイプ
言葉が少なく、対人関係が回避的→自閉症タイプ
どちらにも当てはまらない→特定不能型
3つの組の背景にある特別な情報処理と身体感覚
(想像力の障害)
・共通する要素は脳の情報処理機能の障害
・記憶の中枢である海馬の働きが独特で、些細なことも強く記憶しているかもしれない
・記憶がひとつの映像として強く結びつくため想像力が働きすぎるともいえる
→前はこうだったから、今回もそうに違いないと思う
・よって、決められたとおり行動するのは得意だが、状況にあわせて行動を変更することは苦手である
(コミュニケーションの障害)
・成人期まで発達障害が見過ごされてきた人は言葉の発達が早いひとが多い
・PDDのひとにとって言葉は記憶であり、意思伝達の道具でない場合もある
・たとえば「机をのせる」「机にのせる」は「を」と「に」によって言葉の意味が逆転してしまう。PDDのひとは同時処理が有意に働くため、簡単なことも長い言葉を使うと取り違いが起こってしまう。
・多くの要素をつき合わせて全体として整合性のある要素として捕らえるのも苦手で、非言語的コミュニケーションによる多様な情報から正しい意味を読み取ることが難しくなる。
・シングルフォーカス:何かに注意を向けると、それ以外が入力されにくい
・誰かのこころの中に信念のようなものが保存されていること自体が非常に分かりにくいという実験結果がある
・感覚には個人差があり、特定のものに過敏(米が口の中に当って痛い)もしくは鈍感(尿意や空腹)になることがある。また、感覚は精神的疲労とともに変動する。
・記憶:想起の際にいつの間にか何年か前に戻っていて自分でも気づかず喋っていることがある。これをフラッシュバックなどと呼ぶ人もいる。解離や妄想と勘違いされることもある。注意の向け方が一旦過去に無とそれを途中で修正するのが難しく、たびたびいやな記憶が加工されないまま生生しくでてくることもあるため、過去回帰的なカウンセリングは危険を伴う。
(まとめ)
・援助方法:グラフィックオーガナイザー、筆談、メールなどは効果的
・記憶されたことの訂正はききにくい:曖昧なことは曖昧に、厳密なことは厳密に表現し、できるだけ肯定的な表現を使う
・想像しにくかったことの振り返り:カトゥーニング(漫画化)、コミック会話などが有効な場合がある
追記:
コミック会話の本
↑
こんな本、見つけました。