フローズンリバー/ソーシャルネットワーク/告白
映画談議 後半戦です。
④フローズン・リバー
★★★★★
これはぜんぜん知らない映画だったんですが、
ツタヤでほかになんかないかなぁと思って借りてみた作品。
サンダンス映画祭などで受賞しているほか、
アカデミー賞の主演女優賞と脚本賞にもノミネートされました。
脚本賞を取ってる映画はおもしろいので、これに決めてみました。
最近、というか数年前から
「母親」がキーワードの映画がけっこう好きで
(ボルベールとかオールアバウトマイマザーとか)、
よく観るんですが、これも「強い母」を描いた映画です。
引っ越しのための貯金をダメ亭主に持ち逃げされ、
2人の息子とともにトレイラー暮らしをしているアメリカ人女性と、
夫を事故で亡くし、子どもを義母に取り上げられながら、
不法な密入国を手伝う危ない仕事をしながら
生き延びている先住民の女性が偶然出会い、
お金を稼ぐために犯罪に手を染めていく。
子どもたちに少しでもいい暮らしをさせるため、
自分の子どもを取り戻すため、
危険な仕事とわかっていながらも犯罪を繰り返し、
徐々にお互いを信頼し合っていく2人の母親は本当にリアル。
そしてアメリカ人女性の息子たちの描き方がすごくいいです。
父親が出て行ったこともわからない幼く無邪気な弟と、
その弟の親代わりになっている兄。
お兄ちゃんのほうが特にいいんですよ。
お金を持ち逃げしたとはいえ、
男の子故に父親のことが大好きで忘れられない。
でも父親のことを口にすると母親は機嫌を悪くする。
母親には反発し続けるものの、
長男として弟の面倒をしっかりと見ているし、
本当は母親のことも助けてあげたい。
その葛藤がものすごくよく表現されていて、泣ける。
この映画のすごいところは、
「無言で語るシーン」だったと思います。
全編通して物静かなシーンが多くて、
セリフも無駄なところは全部そぎ落としたかんじ。
ラストシーンもそうですが、
無言なのにメッセージはものすごく伝わってくる。
多くを語らせないからこそ、
女性の強さが浮き出た演出になっていて、
心を打つ映画でした。
ちなみに、監督のコートニー・ハントは
これが長編デビューという女流監督です。
これはいい映画を観たなぁ、と思える素晴らしい作品でした。
⑤ソーシャル・ネットワーク ★★★★★
こないだ書きました⇒こちら
⑥告白
★★★★☆
やっと映画版観ました。
湊かなえ原作・中島哲也監督・松たかこ主演。
いやーーーー結末を知っていても、
やっぱり気持ちの悪い映画でした。
後味最悪。
実際に映像化されているのでなおさら気持ち悪い・・
スプラッター系だめな人は、やめたほうがいいです。
(ほんとにすごい描写です。血しぶきびゅーーー)
でも、「映画化した作品」としては、
近年稀にみる「原作を超えた映画」ですね!!!
「原作を超えている」という評価が多くて
あちこちのレビューで絶賛されていたんですが、
確かにそのとおり。
ふつう、たった2時間の映画には、
小説の全てを反映できないことが多いので、
それを承知で観るんですが、
これは中島監督のすさまじい構成力により、
あの小説を「映像」として甦らせている!
スゴイ!さすが!
しっかりと原作と見比べようと思ったんですが、
どうやらどこかに貸しているみたいで見当たらないので、
うろ覚えながらの感想ですが・・。
映画化したことによって成功したのは、
「情景描写がリアルに伝わる」という点じゃないでしょうか。
「告白」は、登場人物の語りによって物語が進むため、
小説版では情景は表現されていないことの方が多いのです。
たとえば、先生が冒頭で重大告白をしているシーンでの「教室の様子」。
これは小説にはあまり書かれません。
それを映画では、いまどきの高校の教室を切り取ったように、
とっても見事に差し込んでいます。
先生の単調な語りの中に、教室の騒がしさを混ぜ込んで、
リズムよく見せるという演出!
中島監督、すげーー・・・。
個人的に印象深かったのは、
クラス委員の女の子が少年Aと初めて2人で会うシーンで、
ゴスロリファッションをして現れたところ。
普段は優等生の彼女が、
誰にも見せていなかった「本当の自分」になって会いにきたことで、
心を開いているのがわかる。
小説では、先ほどのとおり情景は描かれないので、
こういう効果は映画ならではですねー。
医療関係の方が指摘してましたが、
小説では「HIV」に対する誤った解釈を
助長する記述が見られるけれども、
映画化にあたってはうまくそこを削除してフォローしているらしい。
松たかこ、最高。すごかった。
泣きのシーンもすごかった。
そして以外にも、岡田まさきのウェルテルがはまり役。
いるよ、ああいう先生。
まぁしかし、本当にすごい出来だと思うのだけど、
そもそもストーリーが激しすぎて、
観終わった直後は「うわああああ、気持ち悪ーーー」
となってしまった。。
堪能できなかったのがちょっと残念。
まぁ正直・・・アカデミー賞の外国語映画部門に、
これを日本代表で出品するのはちょっとやりすぎじゃ・・
という気もしますが、どうなるでしょうね。
⇒と書いていたら昨日落選でした・・。
映画談議つづく