先日、高塚の緑を考える会主催の「まちづくり勉強会」に参加してきました。




テーマは『用途地域制と容積率の問題点』という、建築関係の話は全くド素人の私にとって、完全に「???」なテーマでしたが、先生の話を聞くとよくわかりました。そしてこれまでほとんど考えてこなかった“まちづくり”という視点から日本の未来を考えることができて、すごくよかったです。

先生はドイツ在住で建築家の水島信(まこと)先生。ドイツのまちづくりと日本のまちづくりを比較し、日本のまちづくりの問題点を浮き彫りにしてくれました。

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用途地域制とは
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用途地域制っていうのはきまりのひとつで、“この地域は、これこれの用途(例えば住宅用とか商業用とか)で使う”ということを定めたものです。残念ながら日本ではこの用途地域制がかなりあいまいなようで、“抜け道”がたくさんあるようなんですね。だから一応“商業用” って定められていたとしても、そこに住宅が建てられてしまったり、狭いところにどでかいマンションが建てられてしまったりするそうです。

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容積率とは
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そして“容積率”というは、“この土地には○○%までの建物を建てられる(例えば100㎡の土地で容積率400%の区画なら、400立法㍍までの建物が建てられる)”と定めたきまりですが、これもまた日本は“ゆるゆる”だそうで、とにかく住環境よりも“儲け”を優先させた設定になっているそうです。水島先生曰く、200%くらいで抑えとけばいいものを、400%とか600%とか明らかに大きすぎる設定の場所が日本にはたくさんあるそうで、そのせいで街全体がなんかギュウギュウ詰めになっちゃてるようです。

そしてさらに問題は続きます。

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日本の一級建築士が世界で相手にされない理由
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そもそも行政が定めた用途地域制や容積率自体に問題があるわけですが、残念ながら日本の建築業界では、その過大な容積率いっぱいいっぱいの建物をつくることが美徳とされているそうです。つまり、容積率400%の土地には、きっちりと400%の建物を建てる…。これが上手にできる人が日本では認められ、一級建築士になれたりするそうです(このへんの情報はあまり正確じゃないかもしれませんが、とにかく日本ではそういうことが重視されているということです)。

でもそれってちょっとおかしいですよね…。だって、“住む人がどんな建物を建てたら心地よくなるか?”という視点が欠けていますから。
少なくともドイツでは“容積率いっぱいに建てる技術”よりも“住む人の心地よさ”が重視されているようで、ドイツの街並みを写真で拝見しましたが、日本よりも随分ゆとりがありました。

そんなことで、残念ながら日本の一級建築士たちは、世界で相手にされない状態になっているそうです(もちろん認められている建築士さんもたくさんいるとは思いますが)。

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法を変えるしかない!
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水島先生の言葉を借りると、儲けばかりを優先させて、住環境を貶めるようなまちづくりは
「人権侵害だ!」
とのことです。

そしてこの状況を改めていくには、もう法律を変えていくしかないんじゃないかとおっしゃっていました。

「一人でも多くの人にこの事実を伝え、市民のみんなの意識を高めていって、法を変えていく力を強めていきたい」
と。
私も議員の一人として頑張りたいと思いました。

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個人の所有権と公共の利益
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少し話が変わりますが、「個人の所有権と公共の利益のバランス」について質問がありましたので、少し書いておきたいと思います。

講演会の最後にある方が「日本では個人の所有権が大切にされ過ぎて、空き地であるにも関わらずその土地になかなか関与ができず放置され続けてしまうという問題がありますが、そんなときドイツではどういう対応をしてますか?」と水島先生に質問しました。

それに対する水島先生の回答は、
「ドイツではどちらかと言えば“公共の利益”のほうが重視されます。だから個人が所有権を主張してもそれが著しく他者の利益を損なうならば、それは認められませんね」
というものでした(ちょっとうろ覚えですが)。

個人の所有権と公共の利益のどちらが大切かという問題に明確なラインを設けるのは難しいかもしれませんが、“個人の所有権が絶対優先”という今の日本の考えは改めていく必要がありそうですね。