バイリンガル教育の光と闇 | ミカリュス ブルガリスの心の薬箱

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辛い恋とはさようなら。自分らしく幸せに生きる処方箋をフランス・パリから綴っています。

久しぶりに子供の日本語教育、そしてお子さんを連れた海外移住に興味のある方に向けて、メリットだけではない向き合わねばならない現実について書いてみようと思います。
 
 
ILSランゲージスクールNaomi先生のブログに、JLPT(Japanese Language Proficiency Test/日本語能力試験)のN1レベルの漢字問題とセンター試験の漢字問題を比較した興味深い記事がありました。
 
 
 
<センター試験2017>
第1問の問い1
傍線部(ア)〜(オ)に相当する漢字を含むものを、①〜⑤のうちから選ぶ問題です。

(ア)バイゾウ 
①細菌バイヨウの実験
②印刷バイタイ
③裁判におけるバイシン制
④事故のバイショウ問題
⑤旧にバイしたご愛顧

(イ)ヨウイン
①観客をドウインする
②ゴウインな勧誘に困惑する
③コンイン関係を結ぶ
インボウに巻き込まれる
⑤不注意にキインした事故を防ぐ

(ウ)ヤッカイ
①ごリヤクがある
②ツウヤクの資格を取得する
ヤクドシを乗り切る
ヤッキになって反対する
ヤッコウがある野草を探す

(エ)センコク
①上級裁判所へのジョウコク
コクメイな描写
コクビャクのつけにくい議論
コクソウ地帯
⑤筆跡がコクジした署名

(オ)やされる
①物質をクウする
②ヒを頻用する
エツの心地を味わう
チャクを断ち切る
⑤キョウとして着任する

 
 
 
<JLPT(日本語能力試験)>
*この試験は、以前は過去問を公開していましたが、現在は公開していないので、以前の問題集からの抜粋問題になります。

下線をつけた言葉の( )の部分はどのような漢字を書くのか、1〜4から選ぶ問題です。

①自分の力が十分はっ(き)できる職場を希望する。
1、事業の成功に(き)よする。
2、任務をほう(き)する。
3、産業の(き)ばんを整備する。
4、工事の進行のし(き)をとる。

①自分の力が十分はっ(き)できる職場を希望する。
1、事業の成功に(き)よする。
2、任務をほう(き)する。
3、産業の(き)ばんを整備する。
4、工事の進行のし(き)をとる。

②予備調査が終わり、来週からほん(かく)的な調査を開始する。
1、立派なじん(かく)の持ち主だ。
2、優秀な人材を(かく)ほする。
3、人に危害を加える猿をほ(かく)する。
4、父はみ(かく)が鈍くなったようだ。

③車は、(こ)しょうのため今修理に出してある。
1、面接試験は(こ)べつに行う。
2、5年ぶりに(こ)きょうを訪れた。
3、戦争で多くの子供が(こ)じとなった。
4、その話は大分(こ)ちょうされている。

④クラス(たい)こうの試合の応援に行った。
1、彼なら(たい)がいのことは分かる。
2、問題に早急に(たい)しょすべきだ。
3、昼と夜のこう(たい)制勤務です。
4、見出しはじ(たい)を変えてください。
 
 
(答えはリブログのNaomi先生のブログにあります。)
 
 
 
普段、手書きで漢字を書く機会がなく、パソコンで変換ばかりしている方は、一瞬、戸惑ってしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
 
 
この4択問題が、漢字で書かれていれば、どの漢字が正しいか選びやすいと思うのですが、ひらがなで書かれていると普段から漢字を書き慣れていないと、試験中に緊張していたりするとすぐに思い出せないかもしれませんよね。
 
 
 
 
 
日本人の大学入試の問題(高校卒業レベル)と外国人が受けるJLPT(Japanese Language Proficiency Test/日本語能力試験)の最も難しいN1レベルの比較ですが、やはり外国人向けの表現の方が若干易しいかもしれませんが、日本語ネイティブじゃない方が、これだけの漢字の使い分けができるのはすごいなって思います。
 
 
外国人でこれだけの漢字ができる人は、普段から日本語の本を読んでいらっしゃるのでしょうね。
 
漢字を漢字として覚える学習方法は、初級まではいいのですが、中級以上になってくると読書量が大切になってくると思っています。
 
英単語も同じで、単語帳などで覚えた語彙が使えないのと同じで、漢字も文章の中で使い方を確認しながら多読することで身についていくのだと思います。
 
 
 
 
 
 
ここからは、日本を出て海外で子育てされている方、またはこれからお子さんを連れて海外移住してみたいと考えていらっしゃる方に向けて、私の経験から感じた日本語の維持について書いてみようと思います。
 
現地語が堪能なミックスのお子さんや、両親共日本人の方のお子さんでも、現地の学校に十分馴染んでいらして、現地で高等教育を受けそのまま現地で就職を考えていらっしゃる場合は、また事情が違ってくると思いますので、これから書くことは1例に過ぎないことをご理解の上、読んでいただければありがたいです。
 
 
 
 
 
海外に出て子供を育てていると日本語の遅れが悩ましいところですが、これは本人の能力以前に、どの年齢で日本を離れたかが最大のファクターになってくると感じています。
 
 
例えば、兄弟・姉妹で上のお子さんは8歳まで日本、下のお子さんは2歳で日本を離れた場合、上のお子さんは日本語の読み書き(ひらがな・カタカナ)がすでにできるようになっていますので、年齢に合った本や漫画を与え続けることによりかなりのレベルまで維持できるようです。
 
 
反対に2歳くらいの低年齢で日本を離れてしまうと、日本人のお母さんとの会話を通じて話し言葉はかなりできるようになりますが、読み書きに関しては外国人が日本語を勉強するのと同じ感覚になってしまうのは仕方がないと思います。(現地校の場合)
 
両親共に日本人の場合は、家で大人の日本語の会話を聞くことができるので、ボキャブラリーも増えることが期待できます。
 
 
 
 
我が家の場合、母ひとり子ひとりの暮らしでしたが、フランス移住時には、ひらがなとカタカナが読めて、日本でポケモンやドラえもんの漫画を読んでいたので、現地校での生活で日本人の友人は一人もいませんでしたが、家で漫画や本を読み続けることで、日本語の維持ができました。
 
また会話文の多い漫画のおかげで、男女の話し言葉の違いや目上の人に対する敬語など、日常会話に必要な表現もかなり覚えられたようです。
 
 
日本のテレビはフランス語に慣れるために全く見ませんでした。
 
 
 
また母親以外の日本人と日本語で話す機会がほとんどなかったので、日本語の発音は少し自信がなかったみたいです。
 
日本語で会話できる兄弟がいればまた違っていたかもしれません。
 
 
 
 
現地校の勉強についていくことにプライオリティを置いていましたので、日本語の補習校にも通いませんでしたが、今思えば可哀想なことをしたと思います。
 
母国語で自分を表現する場があるだけで、精神的にかなり違いますものね。
 
 
 
ただ、本だけはたくさん買い与えていました。
ちょうど、その頃オペラ地区に日本語の本が買えるブックオフができたので、年齢に合った本や漫画をたくさん買って読ませていました。
 
 
日本の歴史や地理なども、学習漫画的なものをシリーズで読んでいたので、有名な歴史上の人物や地名は自然に覚えていったようです。
 
 
本を読むだけで特別な日本語の勉強は全くしていませんでしたが、いつか日本語力を証明するものが必要なことがあるかもしれないと思い、14歳の時に、JLPT(日本語能力試験)のN1を受験してみました。
 
 
外国人用の試験なので、受験会場には長年日本語を探求されてこられているのであろう年配のフランス人もたくさんいたそうです。
 
 
日本でほとんど義務教育を受けていないとはいえ、一応日本人なのでこの試験を受ける資格があったのかどうかわからないのですが、パリの試験会場では、普通に願書を出して問題なく受験することができました。
 
 
後日、結果が送られてきましたが、漢字以外の日本語表現のところを1つ間違えていただけでほぼ満点で合格をいただきました。
 
 
 
 
この後、帰国受験をすることになり、7年間のフランス現地校での成績と先生のコメント、フランスで取った数学コンクールの賞状、英語力を証明するためのTOEIC(パリで14歳くらいの時に受けておきました)の結果や通っていたパリのブリティッシュ・カウンシルの成績など、ありとあらゆる使えそうな書類を提出しました。
 
 
その中に唯一、高校の授業についていける日本語力を証明する書類として、JLPT(日本語能力試験)1級の合格証書を同封したのですが、おそらくそれがかなりのキーポントになったのかなと思われます。
 
 
なぜなら、帰国受験の内容が、英語もしくは現地語の文章力と現地での学校の成績を主に見る方式だったので、日本人学校にも補習校にも通っていなかった息子には、日本の高校生活を送れるだけの日本語力を証明するものが、JLPT(日本語能力試験)の結果しかなかったからです。
 
 
 
 
息子が受験した学校の試験は、当日試験会場で配られた紙に書いてある『テーマ』で論文を書くというものでした。
 
使える言語は英語、もしくは住んでいた国の言葉で、日本語は認められていません。
 
B4サイズの大きな紙に2枚、ぎっしりと書くことが求めらました。
1枚しか書けないと不合格、1枚半でギリギリという噂がありました。
 
息子はフランス語でなんとか1枚半以上書いたそうです。
 
 
 
 
フランスの現地校で母国語でない授業についていき、友達を作るのは並大抵のことではありませんでした。
 
ここでは書けない理不尽ないじめにあったこともありました。
 
 
 
でも、最後に息子を救ったのは、日本にいつ戻ってもやっていけるという本人の自信だっと思います。
 
 
 
 
海外移住ブーム、親子留学ブームなどで、海外に出ればミラクルな未来が待っていると夢見ていらっしゃる人も多いかもしれません。
 
 
 
メディアが語る成功例は、体中の皮膚の毛穴から血が噴き出すような苦しみを伴った後の結果であるかもしれないことを忘れないでください。
 
 
 
 
 
外国人用の日本語能力試験の合格証書だけを頼りに、息子は日本の高校で全ての教科を日本語で学びなおしました。
 
 
日本人の高校生のノリについていけず、授業もわからず、テストでは科学も物理も地理も歴史も答えはすべて漢字で書かねばいけませんでした。
 
 
 
 
 
そして3年後、大学受験のためにセンター試験を受けました。
 
現代国語の自己採点は満点でした。
 
 
 
 
今、息子は国際やグローバルと名のつく帰国子女が多い学部ではない語学とは関係のない学問をしています。
 
 
 
結果的に、親が思い描いた将来とは全く違う道に進んでいますが、それで良かったと思っています。
 
 
そして、ここまでこれたのも、異国の地でゼロからやってきた不屈の精神があるからで、今まで歩んできた道に後悔はありません。
 
 
 
あの7年間があったからこそ、今、何も怖くないし、何だってやれる、そして自分の進む道が皆と同じ道でなくても、小さい頃からマイノリティーであることが当たり前だった彼にとっては全く気にならず、マイペースで生きていけるのだと思います。
 
 
(インターナショナルスクールなど多国籍の外国人が集まっている学校とフランスで生まれ育ったフランス人だけの現地校では、学校生活はまた違ったものになってくると思います。インターナショナルスクールは、多国籍な分、多様性に富んでいると思いますが、フランス現地校はあくまでもフランス人になる教育がされています。)
 
 
 
 
 
雪の降るヘルシンキの港で。
 
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