後ろ脚にボルトのようなものを刺されて虐待されている猫がいる、との連絡を受けました。

以前、鎖を巻かれ怪我をして逃げている猫を助けて欲しいとの依頼があり捕獲をしましたが、相談者からはその後、飼うことも治療費を払う事もできない、と言われ、事前に相談者の意向を確認せず軽はずみに依頼を受け、我々に負担のみが重くのしかかる結果となってしまった前例があり、それを踏まえて今回はお断りをさせていただきました。

 

その後、どうしてもその猫を助けたい、というご相談者が現れ、治療費の捻出と保護をお申し出いただいたので、対象の猫の捕獲を行うこととなりました。

 

数年前に、未解決の猫虐殺事件があった現場の近くでしたので、近隣では虐殺犯人の仕業と噂され、私自身も虐待だと思い込み、警察への被害届けを用意してから捕獲に臨みました。

 

まもなく捕獲器に入った猫を観察すると、ボルトのような器具は一切見当たらず、皮膚の一部がえぐれ骨が露出しており、その下の部分がぶら下がっているような状態で、虐待された様子は特に確認できませんでした。

病院で診ていただくと、トラバサミのような罠から逃げる為に脚の一部を失ったのではないか、とのことでした。

動物病院で、断脚の手術と術後の処置をしていただくこととなりました。

 

 
相談者の方はケージを用事し、猫の退院を心待ちにしてくださっています。
 
今回、虐待ではないとわかりホッとした反面、無責任なひとの噂の恐ろしさを目の当たりにする体験となりました。
犯人像だけでなく、犯人の家まで特定され、私たちは関係のない方を根拠なく疑ってしまう過ちを犯していました。
冤罪はいとも簡単に作られてしまうものです。
 
また、現在の日本では、獣の身体を傷つけるような罠は許可されていないものの、トラバサミやくくり罠のように獣を傷つけてしまう罠は、ネットで簡単に入手できてしまう為、個人の敷地内にかけられた罠まで取り締まるのは難しい、とのことでした。
猫や獣が捕まっている状態であれば通報もできるでしょうが、山の中や他人の敷地内において、違法罠の現場を押さえるのは、ほぼ現実的ではありません。
今回の猫は脚の一部を犠牲にして逃げることができましたが、もしも罠から逃げられなければ、誰にも気づかれる事なく猫は白骨となり、単なる行方不明のまま、間も無く忘れ去られてしまうのだと思います。
 
人間も猫も、様々なかたちで日々危険に晒されています。
人間の場合は己の責任で後始末をするしかありませんが、猫の命を人間の責任で奪ってしまうような事があってはなりません。
飼猫は、絶対に外に出してはいけません。
それだけは声を大にして訴えたいと思います。
 
 
 
 
 

餌やり場の猫ちゃんを飼いたいという方のご依頼で、保護をして血液検査やトイレの練習等も完了し、お届けの準備が整った頃、先方から丁重な断りのメールをいただきました。その結果、引き続きこちらで保護する事になった黒猫ちゃんは、少し変わったおんなのこです。



とぼけた顔つきで、人間大好きアピールにも余念がなく、人懐っこい小柄な彼女は、どの猫に対しても分け隔てなく毛繕いを行います。それで怒られたり引っ叩かれたとしても、一瞬悲しそうな表情は見せるものの、ゆっくりとお気に入りの場所にひとり戻ってくつろぎます。


うちで一番の嫌われ者のボス女子みーこに対しても、その態度は変わりません。臆することなく、みーこの毛繕いを何度も何度も試みます。

他の猫を殴ってばかりで舐めてもらった経験のないボス女子みーこは、最初は舐めてくる黒猫ちゃんを殴っていましたが、徐々に心を許し、戸惑いながらも身を委ねるまでになりました。でもやっぱりボス女子のプライドは捨てきれず、時々黒猫ちゃんを殴っています。


結果、黒猫女子は2匹になりました。

ふたりとも同じような短いぼんぼりしっぽで、面倒見がよい性格もよく似ていますが、先住クロちゃんは新入りさんをあまり歓迎はしていない様子。



4ヶ月経ってもシャー言われ続けているおとぼけ黒猫ちゃんは、相手にどんな態度を取られても、毛繕いを試みます。


こんな飄々とした猫に、今まで出会ったことがありません。

この4ヶ月の間に、黒猫ちゃんのお陰で嫌われ者のみーこと他の猫たちの距離も、少し縮まったように感じるのは、気のせいでしょうか。


とはいうものの、先住クロちゃんからはお叱りが…


「もうメンバー増やさないで欲しいんだけど!」

了解しました。ごめんなさい🙏

数年前から時々読んでいるブログがあります。

写真も内容もとても美しく、飾りのない文章で、季節による自然のうつろいや、ちょっとした手料理、お気に入りの映画や本等を独自に現していらっしゃる素敵なブログです。

庭にやってくる野良猫たちも紹介されていて、写真はとても美しく、彼らの自由を尊重した表現をされていました。

数年前、庭に来る子猫を保護し、少し遅れてもう1匹保護をされたようです。

TNRに否定的、という程ではないのだとは思いますが、去勢避妊手術に疑問を抱いていらっしゃるようでした。

時々読み飛ばしてしまっているため、その後子猫たちの手術をしたのかどうかわかりませんが、猫たちは自然に囲まれたきれいなおうちで、とても幸せそうに暮らしています。

外の猫たちが、例え過酷で短い猫生だったとしても、度重なる出産で寿命を縮めたとしても、子育ての一瞬の悦びを体験し、闘いに勝ったり負けたり、そんな経験を積むことのほうが、生き物としての幸せをより味わえるのかもしれない、と、その方のブログを読み、深く感じ入りました。

 

それでも、TNRは続けています。

なぜなら、猫が事故にあっている姿を見たくない、子猫が獣に命奪われる姿を見たくない、そして、猫嫌いな人間に石を投げつけられる姿を見たくない、そう言った自分の感情が止められないからです。

猫のためではなく、人間のための、自分のためのTNRを続けているのです。

 

 

ゴミ屋敷周辺で生活しているシャムミックス君です。

先日、スモーク柄の三匹と共に手術を終えました。

彼は行動範囲が広かったため、保護はせずに元いた場所へリリースしました。

シャムミックス君は、ゴミ屋敷の中に入り浸りだったスモーク三匹が居なくなり、少し寂しげです。

申し訳ないけれど、ご飯の提供は協力するので、どうかひとりで元気に生きててください。

 

TNRの活動を続けていて、心が晴れやかになる事はまずありません。

いつの日か、TNRなんて言葉が、死語になってくれますように。